「本づくり×クラウドファンディング」という挑戦 #10
こんにちは、アンノーンブックス編集部です。
7月30日に発売になったレゲエ・ユニット「MEGARYU」のボーカリスト、RYUREXさんの初著書『何度だって生き直せ』。
「たった一度の『どん底』で人生を終わらせないための本。」というキャッチをカバーに謳ったこの本を、もう読んでもらえただろうか。
今回は、この『何度だって生き直せ』を、なぜクラウドファンディングという方法を使って世の中に広めようとしたのか。著者のRYUさんの想いとアンノーンブックスならではの考え方をお伝えしたい。
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結論から言うと、新刊『何度だって生き直せ』は、クラファン開始からわずか13日という短期間で目標だった200万円をクリアすることができた。それだけじゃない。ありがたいことに、最終的には127%(255万円超)という支援が集まり、うれしいサクセスを手にすることができたのだった。
大勢の人たちに支援していただいたおかげで集まった資金は、当初の予定どおり、書籍やグッズ製作、イベントやオフ会などの費用に充てさせてもらう予定だが、もうひとつRYUさんと僕らはやりたいことがあった。
それは、47都道府県すべての図書館に『何度だって生き直せ』を寄贈することだった。クラファンが予想を上回る結果をおさめたことで、それも叶えることができたのは本当に感謝すべきことだったと思っている。
ところで、そもそもなぜクラファンという選択をしたのか。そこには、RYUさんが僕らに打ち明けてくれた熱い想いがあった。
「生き直してみよう──ようやくそう思えたとき、地元・岐阜の人たちをはじめ、多くの人から本当にたくさんのサポートとチャンスをもらったんだ」
RYUさんは自身が2年前に立ち上げた「世界のタマミヤプロジェクト」の話をしはじめた。それは、RYUさんが生き直すきっかけをもらった岐阜の人たちへの恩返しの意味ではじめたことだった。
「地方創生! 岐阜市駅前の飲食繁華街タマミヤを観光地化させるプロジェクト!」と題して、岐阜県タマミヤ地区を観光地化させ、人が集まる仕掛けをつくったのだ。その時も、資金調達の手段はクラファンだった。
この時、RYUさんが気づいたのは、「応援してくれる人たちとつながり、みんなで一緒に何かを起こすことのうれしさ」だったという。
「もちろん、地元であるタマミヤ地区のよさを再認識できたこともある。でも、それ以上に大好きな地元を盛り上げていきたい気持ちが、人から人へ伝わっていくことのうれしさを実感できたんだ」
つまり、RYUさんは、『何度だって生き直せ』でも“想いの連鎖”を起こし、想いに共感してくれる人たちとつながりたいと考えたのだった。
著者の想いがかたまれば、あとは僕らが動くだけだ。つくった本を全国の人たちの読んでもらいたい気持ちはもちろん大きいが、それが著者の想いがこもった岐阜から発信できるなら最高だ。
そんな想いでクラファンの準備を進めたところで、アンノーンブックス代表の安達は「RYUさんにゴールの絵を見せよう」と言った。
ご存じのとおり、クラファンを成功に導くためのコツはいくつもあるが、そのひとつに「活動報告」をマメに更新する、というアプローチも欠かせない。
プロジェクトをスタートさせた後、そのプロジェクトにどれだけ真剣に向き合っているか一目瞭然でわかるのが「活動報告」の進捗状況ともいえるからだ。
今回の場合でも、RYUさんの気持ちのこもった活動報告をマメに更新することで、応援してくれる人は増えていくことは明白だった。
じつは、ここが編集者の腕の見せどころでもある。というのも、「活動報告をマメにアップしてください」と著者に向かって指示するだけでは、ほとんどの場合、相手は動かないといっていい。
人は誰でも、「やらなければならない」「やるべきだろう」という義務感のもとでは動きたくないし、イヤイヤ動いたとしてもあまりいい結果にならないことは肌感としてわかっている。
では、より自発的に動いてもらう方法は何か?
「人を動かすのも編集者の大事な仕事のひとつ」と考えるアンノーンブックス代表の安達が考えているのは「ゴールの絵を見せる」ということだった。
編集者がゴールの絵を描いて見せることは、著者の心を動かし、アクションを起こすことにつながる、という彼自身の哲学でもあった。
たとえば、RYUさんへのゴールの絵の見せ方はこうだった。
「ライブで盛り上がった時、タオルをグルグル回すパフォーマンスがあるじゃないですか。あれって、アーティストと観客が一体化してメッチャ楽しいですよね。ああいう盛り上がり方がこの本でもできたらよくないですか?」
今回のクラファンのリターンのひとつにRYUさんデザインのタオルがある。もしも、そのタオルを手にした支援者たちがオンラインのイベントに参加できたら?
大勢の仲間とお揃いのタオルをグルグル回しながらRYUさんと一緒に盛り上がれたとしたら? それこそリアルなライブ会場のように一体感が生まれて楽しいと思わない?
……そうやって、ワクワクする未来を想像してもらえたら、著者は自然とゴールに向かって動いてくれるはず。もちろん、これは「みんなと楽しいことをしたい」という熱いハートを持ったRYUさんだからこそ実現可能なことではある。
そして、RYUさんは目標達成のために本当に多くのアクションをみずから起こし、そのことを頭が下がるほどマメに活動報告にアップしていった。それは、僕らの想像をはるかに超えるほどだった。
その結果がもたらしたものは、冒頭にご報告したとおりだ。さらに現在も『何度だって生き直せ』のプロモーション活動は続いている。
アンノーンブックスの本づくりは、いつだってこんなふうに泥臭いやり方で、著者と応援してくれる人をたくさん巻き込みながら進めていっている。
「未だ見ぬ、価値観を。」
僕らの航海はまだはじまったばかりだ。
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