【詩】 黄昏時
『寂しいなんて気持ちはさ、
全部忘れちゃえばいいのにね。』
寂しそうな顔してさ、
君はそんなことを呟くんだ。
寂しいなんて気持ちはさ、
愛しいから生まれるんだ。
寂しいなんて気持ちをさ、
忘れるってのはそういう事。
秋の夕暮れに照らされる君の、
その横顔は遠くを見ていた。
溢れそうな涙を我慢してさ、
口角を真一文字にしたままで。
落ちた夕陽を追うでもなく、
変わりゆく空の色を、見てる。
茜色からだんだん紫に変わる、
そのグラデーションが美しくて。
ひとつ、ふたつ、星が見える。
空は夜へと変わってゆくけど、
僕らは言葉をなくしたままで、
ただ立ち尽くして遠くを見てた。
いつか背中からは朝日が昇る。
その時まで、おやすみしよう。
今日の涙を、乾かそう。一緒に。