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大学授業一歩前(第101講)
はじめに
新たなる始まりの第101講はウギャーさん(吉村大樹先生)に記事を寄稿して頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。是非ご一読下さいませ。
プロフィール
Q:ご自身のプロフィールを教えて下さい。
A:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所フェローの吉村大樹と申します。ネット上、あるいはSNSでは上記の通りハンドルネームで活動していますが、執筆活動も公開しているので本名は間接的に公開していることになります。私は長崎の出身で、大学進学を機に大阪に引っ越しました。大阪外国語大学外国語学部地域文化学科(トルコ語専攻)に入学、その後同大学大学院に進学して修士課程まで在籍していました。さらにその後、神戸市外国語大学博士課程を単位取得退学しまして、しばらくいくつかの大学で非常勤講師の仕事などを細々とやっていました。大阪に18年ほど住みましたが、2014年から2020年1月まではトルコの首都アンカラに渡航し、アンカラ大学日本語日本文学科で講師として務めました。現在は日本に本帰国しており、トルコから連れて帰ってきたねこ(「ぴの」、茶トラオス4歳)と暮らしながら、原稿を書いたりトルコ語を人に教えたり、自分の研究を進めたりするなどの日々を過ごしています。
オススメの過ごし方
Q:大学生にオススメの過ごし方を教えて下さい。
A:月並みですが、自分の好きなもの、うちこめるものを探す4年間になることを願っています。私の場合は、大学で外国語学部、しかもトルコ語というかなりピンポイントな言語を専攻しました。その上で、本当にトルコ語を続けていけそうか、あるいは本当にこの言語が好きなのかを見極める時間としてそれなりに意義があったように感じます。大学生のみなさんにも、自分にとって生涯を通して続けられそうなことやものが何かを大学に在籍している間に追求できることを願っています。
必須の能力
Q:大学生に必須の能力はどのようなものだとお考えになりますか。
A:いろいろあるのでしょうが、「好奇心」、あるいは「探求心」ではないかと思います。これってどうなっているのだろうか、あるいはそれって本当にそうなのだろうか。これらをしかるべき手順で解き明かしていくというのが大学で行われている営みの最も重要な部分だと私は考えていますが、そういった活動の一端をプロの先生たちや大学院生、先輩たちと共有できる貴重な機会となるのが大学での生活だと思います。今はパンデミックのさなか、勉強も私生活もなかなか思ったように活動ができないと思います。その意味で大変不運ではありますが、なんとか制約のある中でも最善を尽くす方法を考えて行動する、ということも大学生(あるいは、大学生以上の大人?)には求められているのかもしれません。
学ぶ意義
Q:ご自身にとっての学ぶ意義を教えて下さい。
A:学ぶ意義もいろいろあると思うのですが、何よりも「楽しい」ということを味わえることかなと思います。語学にまつわることが今のところ自分のライフワークなのですが、新しい語を覚えること、新しい言語についての現象を知ること、分析してみること、すべてのプロセスにおいて楽しむということを一番大事にしています。何より「楽しい」という感情は自分の幸福感に直結するわけで、それが自分にとっては何よりの学ぶ意義であるように思われます。この延長で自分の視野が広がることや、あるいは国や地域を超えた様々な人々との出会いや交流があるといったような、有形無形の意義が付随してくるということになっているような気がします。
オススメの一冊
Q:オススメの一冊を教えて下さい。
A:ずいぶん前に出版された本ですし、読んだことがあるという人も多いかと思いますが、千野栄一 (1986)『外国語上達法』(岩波新書)を挙げてみます。私自身トルコ語をはじめとして、いくつかの言語に興味を持って勉強しているところですが、習う側から見ても教える側から見ても、言語学習のための要点が示されている名著で、今でもその価値は変わらないと考えます。私自身、今でもこの本をたまに読み返します。
メッセージ
Q:最後に大学生へのメッセージをお願いします。
A:かつて自著でも紹介したのですが、トルコ語のことわざに"Zaman sana uymazsa, sen zamana uy."というものがあります。個人的に好きなことわざの一つで、「時機が君に合わぬなら、君が時機に合わせなさい」くらいの意味になります。ものごとにはいずれ好機が訪れるはず、その時に動けるように準備をしておきなさい、という解釈ができるのかなと思っています。いつか訪れるかもしれない好機に向けて、今できる何かをやっておきたいところですね。あと、トルコ語はいいぞ。トルコ語をぜひやりましょう。すぐやりましょう。さあやりましょう。トルk(字数制限)
おわりに
今回はウギャーさん(吉村大樹先生)に記事を寄稿して頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。先生には以前からnoteをフォローして頂いており、今回ご依頼をする形になりました。先生ご自身のnoteも👇是非ご一読下さいませ。
次回の第102講もお楽しみに!!