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大学授業一歩前(第76講)

はじめに

今回は明治大学の宮田憲一先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。私が所属する経営学部では4人目の先生になります。本当に明治大学には感謝です。是非ご一読下さいませ。

自身のプロフィール

Q:明治大学経営学部の教員として、経営史を教えています。高校までは、遊びを優先していたこともあり、家族や古い友人達は、私の現状を不思議がっています。「こうなった」転機は、大学でした。明治大学の先生方や友人達、海外で様々な価値観を持つ人たちに出会い、自分の考え方や世界観が変化したことが大きかったです。ちなみに、学部入学時は、携帯電話が好きで、某通信会社への就職を目指していました。人生どうなるかわかりません、ほんとに。

オススメの過ごし方

Q:大学生にオススメの過ごし方を教えて下さい。

A:自分で好きなように過ごしてもらうことが一番だとは思いますが、それだと何も言っていないことになりますね(笑)。ここでいう「好きなように」は、「周りに流されず」に、自分が気になったもの、やってみたくなったもの、挑戦したくなったものを第一にやって欲しいという意味合いです。他人から「無理」、「大変そう」、「厳しそう」と言われたとしても、それを気になってしまった自分を大切にして、実行していくと、「意義があった」と思える大学生活になるかなと思います。

必須の能力

Q:大学生に必須の能力をどのようなものだとお考えになりますか。

A:「思考力」と「妄想力」を身につけてくれたら、もう十分かなと思います。ここでいう「思考力」は、具象と抽象を行き来しながら自分で考える力を、「妄想力」は、考え方に時間軸を入れて、まだ見ぬ未来を思い描く発想する力を指しています。例えば、何気ない出来事を抽象的な考えと結び付けたり、その逆に、理論的なレンズから一見無関係なモノ同士に類似点を見いだしたり、あるいは、10年後に自分はこうなっていたいから今はこれをする!といった考え方ですね。大学でぜひ養ってほしい。

学ぶ意義

Q:先生にとっての学ぶ意義を教えて下さい。

A:個人的には、「自分になっていく」ことが学ぶ意義かなと思っています。大学の学びでは、それまで「当たり前」とした「世界」に対して、色々な講義や議論を通して、その「当たり前」はどういうことかを考えていきます。その過程で、自分は「この考えは賛成、その考えは支持できない」、この部分は「こう考える」を積み重ねて、自分で「世界」を再定義していくかと思います。そうした学びは、言い換えると、自分がどういう人であるかを発見してく過程なのかなと感じています。

オススメの一冊

Q:オススメの一冊を教えて下さい。

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A:学部時代には、岡本太郎の『自分の中に毒を持て』という本から大きな影響を受けたのですが、どちらかというと自己啓発に近いので、今回は高橋昌一郎(2008)『理性の限界 不可能性・不確定性・不完全性』講談社現代新書を勧めたいと思います。この本は、対話形式で読みやすいかたちで、科学や合理性といったものについて話してくれているものです。世間的に「良し」とされるものが、そこまで確かなものでもないかも?と、少し深く考えるキッカケを得られる一冊と思います。

メッセージ

Q:学生に向けてのメッセージをお願いします。

A:コロナ渦で大変な状況は続きますが、まずは、大学生であることを、それぞれに思いっきり楽しんで欲しいです。その中で、それまでの自分の考えが根本から転換するようなキッカケと、そこから新たな自分の考え方の基盤を作ることができたら、そして、より「自由に」生きるために、ある意味の「不自由さ」を得られたら、それは最高だと思います。いずれにしても、人生の中でも稀有な時間に、多くの「扉」をノックしてみて下さい。

おわりに

他人から「無理」、「大変そう」、「厳しそう」と言われたとしても、それを気になってしまった自分を大切にして、実行していくと、「意義があった」と思える大学生活になるかなと思います。

時として周りの声は自分にとって良いものばかりではなく、厳しい意見もあるかと思います。ですが、周りは周り、自分は自分とある意味割り切って、突き詰めると新たな可能性を開けるかもしれません。次回もお楽しみに!!


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