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大学授業一歩前(第98講)

はじめに

今回は舞踊学などを研究してらっしゃる吉田駿太朗先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中、作成して頂きありがとうございました。是非ご一読下さいませ。

プロフィール

Q:ご自身のプロフィールを教えて下さい。

A:吉田駿太朗と申します。早稲田大学のスポーツ科学学術院にて、舞踊学や芸術実践について研究しています。研究のテーマは、「振付」を基軸とした、振付家と踊る主体との関係性やダンスにおける偶然性についてです。また、研究者としてだけでなくダンサーや振付家としても幅広く活動しています。Mapped to the Closest Addressをニューヨーク市立大学のパフォーマンス研究者(コロンビア出身)と共に設立し、共同研究や実践活動を長期的に実施しています。

オススメの過ごし方

Q:授業のオンライン化の中でのオススメの過ごし方を教えて下さい。

A:授業のオンライン化が続くと、運動不足になる方も多いかと思います。当たり前のことですが、運動はメンタルヘルスに直結するので、とても重要です。これを機に是非様々な身体運動に関わるオンラインレッスンにも挑戦してみてください(ピラティス、ヨガ、バレエ、ヒップホップ……もちろん、太極拳、空手、合気道などでも結構ですが)。そうした時間をつくることで、勉学もはかどるはずです(激しすぎるダンスだと下のフロアの人に怒られるかもしれないので、ご注意を!)。

必須の能力

Q:大学生に必須の能力を教えて下さい。

A:「自らを知り、自らを治める」能力が必要です。明日、論文発表をするのに、飲んでいていいのか!?に始まり、お金のやり繰り、一日の過ごし方、大学在学中の年間のスケジュール全て、自治が必要なものです。自ら治める…というと、堅苦しく感じるかもしれませんが、おそらく、家庭や学校で、これまでも少しずつ練習してきたことです。大学では、ありのままの自分を大切にしながらも、学ぶこと、またその過程や手法を豊かにするために、自ら考え、自ら治めて、行動に移してください。また、こうした能力は集団の中でも求められ、他の人の「自らを治める」能力を巻き込むことで、次のユニークな考えを見出すこととなるでしょう。

学ぶ意義

Q:先生にとっての学ぶ意義はどのようなものでしょうか。

A:全く異なった発想に出会うこと。好きな分野を開拓していくことに加えて、違った分野の研究の中にも、自分の研究に役立つヒントが隠れていて、それを見つけた時の感動——これが学ぶことの意義だと感じています。一般的には、自分の分野から遠ければ遠いほど、議論や対話が難しいのですが、そうした枠を取り外すことで、異なった発想から研究・実践が生まれ、また他者から学ぶという大きな財産となります。現在、副編集委員として携わっているTokyo Academic Review of Books(TARB)も多様な分野からの学びを私に提供してくれています。

オススメの一冊

Q:オススメの一冊を教えて下さい。

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A:ラウラ・グスタフソン&テリケ・ハーポヤ(2021)『つぼみの本——地球に生きるための手引き』京都市立芸術大学@KCUAです。フィンランド出身の美術家のテリケ・ハーポヤと著述家であり脚本家、劇作家でもあるラウラ・グスタフソンによる学際的ユニット「グスタフソン&ハーポヤ」の「Becoming——地球に生きるための提案」という展覧会が行われ、その際に展示された映像インタビューを基に編纂されたものです。昨今の気候変動の問題から未来の社会を考えるための材料になるのではないかと思い、オススメしました。もちろん、新型コロナウイルス以後の社会を考えるためにも。

メッセージ

Q:学生に向けてのメッセージを最後にお願いします。

A:知識は広く深く。昨今は、隣接する分野の研究の交流だけでなく、遠い分野との交流も重要になってきています。とはいえ、新しい協力体制をつくることには難しい課題が多々あります。その課題を乗り越えるためには、自ら様々な領域に出向いていくことが求められると同時に、異なる分野の情報を収集し、共有することに粘り強くトライしてみて下さい。失敗はつきものですが、幸運を祈ります。 

おわりに

今回は今回は舞踊学などを研究してらっしゃる吉田駿太朗先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中、作成して頂きありがとうございました。芸術を中心とした学問はどこか、私の中で遠い存在だったのでした。ですがそのような「遠い分野」との協働-政治思想史における芸術の役割とか?ーは今後、私のテーマになると思います。次回もお楽しみに!


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