顧客は誰なのか?
【私立通信制高校の進路決定プロセスのDX化】
卒業研究のテーマとしては、今までの通信制高校への進路決定プロセスを見直し、DX化を図りながら効率化していく(アプリ開発を伴う)というものでした。
この事業の顧客というと、直接的には、当然、利用者としての中学生及び保護者が挙げられます。
しかし、真の顧客、つまり、料金を支払ってくれる顧客は誰かというと、通信制高校になります。
もちろん、中学生及び保護者そして、業務上利用することになる中学校教員、塾講師などにも、有料プランで課金ということは考えられます。
しかし、アプリの利用としては、原則無料となるほか、有料プランの利用率も低く、さほどの収益は見込めないと考えられます。
やはり、この事業において、一番大切なのは、指導教官からも言われたことですが、「どんなアプリを開発するか?」ではなく、どのようにして「通信制高校側の中で、お金を支払ってくれる顧客を創造していくか?」、そのための戦略が一番重要だということになりそうです。
【顧客創造のための戦略は?】
一般的に顧客創造のためには、「不の解消」から考えるとよいと言われます。
不の解消とはどんなものでしょうか?
いわゆる「不満」「不便」「不足」等を業界の中に見つけることになります。
この通信制高校の進路決定の場合には、生徒募集のところでたくさんの「不」が発見されます。通信制高校側の立場に立って考えてみると、
「不満」
・生徒募集活動が非効率であり、募集担当は通常の教員の業務をストップし、多大な労力をかけて御用聞きのような営業をしている。労力かかりすぎへの不満
・資料請求一括サイトに広告費を払うが、本当に費用対効果のとれるものなのか?そうではないという疑問、不満。もっとよい方法があるはず…
「不便」
・中学校に常に一から高校のことを説明するよう求められるか、無関心な中学校が多い。情報が全く伝わっていないから繰り返し確認が必要という不便。
・生徒・保護者にも何度も同じことを一から説明する必要があったり、理解不足が多かったりするから訂正が必要であるという不便
「不足」
・中学生・保護者の直接のタッチポイントが、来校時の説明。あとは電話等での説明、情報伝達ツールの不足。
・統一された情報伝達ツールがない、IT化、デジタル化が不足している。リアルタイムでのやりとりできるツールなどが不足している。
今、ひとつ、「不満」「不便」「不足」の位置づけが微妙ではありますが、たくさん出てきます。
いかに業界での「不」の解消が進んでいないかがわかります。
当然、同じくらい中学生と保護者、中学校教員にも「不」が見つかります。
次回は、この事業が実現することによる、顧客のメリットについて考えていきたいと思います。