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事業部門の「攻めを守る」、そしてプラスに変える管理部門へ ー 取締役CFO 倉田編【Unito、5周年】
「暮らしの最適化の追求」をパーパスに掲げるUnitoは、2025年2月25日に事業開始から5年目を迎えます。住んだ日数分の家賃システム「リレント」のビジネスモデルで、新しい暮らしを創る「Living Tech Company」として挑戦を続けてきました。これまで多くの方々のライフスタイルに寄り添いながら、事業の成長に邁進した5年間。
今回は「Unito、5周年」と題し、Unitoをリードするボードメンバーに、これまでの歩みやビジョンを伺いました。
倉田直樹 | 取締役CFO
2009年に首都大学東京 都市教養学部 経営学系(現 東京都立大学 経済経営学部)卒業後、大和証券SMBC(現 大和証券)に入社。未上場企業のカバレッジバンカーとしてキャリアをスタートし、IPO支援業務に従事。ジーニーで執行役員 経営管理部長を務めた後、2015年にマイネットに入社。執行役員としてスマートフォンゲーム業界での事業開発・M&Aを主導し、東証マザーズおよび東証一部への上場を実現。WARC 取締役・執行役員を経て、2024年に当社取締役CFOに就任。
ー 型にはまったCFOでない、私だからこそはまるポジション
Unitoを知ったきっかけを教えてください。
Unitoとの出会いのきっかけは、Unitoの元非常勤監査役である光延洋太さんです。
以前私が他のスタートアップで経営管理部長をしていた際、彼は大手広告代理店のCVC部門の投資担当をしており、株主・出資先の窓口同士として親しくしていただきました。そのご縁がきっかけで、以来10年来のお知り合いでした。
2022年に、前職から独立された光延さんから連絡がありました。
「イチオシのUnitoというスタートアップがあり、そこで非常勤監査役を務めている。管理部門を立ち上げる必要があるので、相談に乗ってほしい」
と言われたんです。最初は社長の近藤さんと光延さん、私の3人でのランチ。このときは管理部門の立ち上げについての一般論を話す程度でした。
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その後も何度か壁打ちに乗っていたのですが、2023年に入ると「上場準備をスタートしたいので、より具体的に教えてほしい」と相談がありました。ちょうど私も自身のキャリアをどうするか考え始めた時期でもあり、徐々に関係性が深くなり、「ぜひUnitoに来てください」と声をかけていただきました。こうしてタイミングが合致し、2024年1月に取締役CFOとして入社する運びとなりました。
ただ、大変残念ながら、光延さんは2023年12月に急逝されました。一緒にお仕事をできることを楽しみにしていた矢先の出来事で、本当に急にバトンを受け取ることになり、天命を感じざるを得ません。「何としてもUnitoを成功させる」という思いを持ってのジョインとなりました。
入社の決め手となったUnitoの魅力は?
大きく3つあります。1つ目は、会社や現場の雰囲気。入社前からメンバーと接する機会があったことで、社長の近藤さんの人柄も含めて、とにかく前向きで純粋な人が多いなという印象を持ちました。
2つ目は事業としての将来性です。キャリア柄、不動産や宿泊という領域に専門性があったわけではありませんが、最初に話を伺ったときから「新規性があり、面白いプロダクト」という印象がありました。さらに深く話を聞いていくうちに「成長性と堅実さを併せ持つビジネス」だと思えたんですね。それこそ「上場」という、企業にとって通過点に過ぎないとはいえ、ひとつの大きなマイルストーンにも、蓋然性高く到達できるのではと感じました。
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3つ目は個人的な挑戦です。平均年齢20代と若いメンバーが多く、会社の体制が整っていないUnitoで、自分が管理部門を中心にどれだけ組織を立ち上げられるか。正直、より知名度があったり、よりフェーズの進んだスタートアップのCFOとして、上場準備とファイナンスに集中して成果を上げるなど、他の選択肢もありました。
ただUnitoの場合、よくあるCFOの理想像である、投資銀行や監査法人出身の大人なスペシャリストが適任かというとそうではなく、むしろ組織のフェーズやカルチャーに合うかが重要だと感じました。
若いメンバーとの関係構築などのフィット感を総合的に考え、自身の性格やこれまでの経験から「Unitoでは、他のCFOにない自分の力を発揮できるのでは」という不思議な自信と、少しリスクを取って挑戦してみたいという気持ちが合致しました。今の私だからこそはまるポジションなのでは、という感覚がありました。
ー 事業部門の「攻めの姿勢」を、管理部門が「守る」
CFOとしての現在の役割と、ミッションについて教えてください。
CFOであり、管理担当役員でもあります。広い意味では、会社の内部管理体制全般のグランドデザインを描き、それに沿ったロードマップを作り、整備していく役割が中心になります。
ひとつ大きなマイルストーンとしては上場準備、そしてCFOとしてファイナンス周り、つまり投資家や金融機関との資金調達の交渉、あるいはIR活動などの「資金面での営業活動」も担っています。
また、これまでさまざまな会社を見てきた経験から、採用や人事制度等のサポートもするなど、必要に応じて手を広げている状況です。
これまでUnitoのCFOとして、また管理担当役員として取り組んだこと、印象的だった出来事はありますか?
入社後、まずは「管理部門を一からどのように形にするか」が大きなテーマでした。私一人では限界があるので、2024年の前半はチームを作ることに全力を注ぎました。
具体的には、最初は「監査法人出身、できればスタートアップ経験のある、若手の経理マネージャー」という採用難易度の高いポジションの採用を決め、1月から3月は採用媒体でのスカウト送信と面接をひたすら行っていました。
全て一人で行っていたため大変でしたが、Unitoの成長環境などの魅力を伝えて、無事に「監査法人出身、スタートアップ経験のある、20代の経理マネージャー」(現 管理部長)が入社してくれました。続いて6月には、労務担当が入社してくれました。
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さらに監査役会設置の方針が具体化したので、再び採用難易度の高い常勤監査役候補者を探すことになりました。いろいろな方にお会いする中で、旧知のエージェントの方と相談を重ねた結果、2024年11月に常勤監査役として古庄さんが就任されました。
直近では社内異動で経理担当や総務担当を増員するなど、チームを拡充しています。入社からの一年を振り返ると、とにかくチーム作りに奔走した印象が強いですね。
ゼロベースでチームを組成した現在の管理本部。ミッション、カルチャーや魅力を教えてください。
当社全体がスタートアップ的な「攻め」の姿勢なので、管理本部も「守り」だけではなく、「攻め」をしっかりサポートする役割が重要だと考えています。私自身のキャリアで、管理部門だけでなく、営業や事業開発など事業部門の責任者の経験も長く、会社の売上や利益を成長させるのは間違いなく事業部門と考えています。
だからこそ、管理部門にありがちな「ルールだから」「上場準備に必要」「認めない」と突っぱねるのではなく、「ここはこういう理由で必要ですが、手間や不明点は全力でサポートします」というスタンスを大切にしています。
実際、当社の管理本部メンバーは堅い雰囲気ではありませんし、気難しく不機嫌そうに対応することもありません。管理本部に負担がかかる課題に対しても、前向きに対応してくれます。それができていることは素晴らしいことで、そういうチームであり続けたいし、そこが当社の管理本部のカルチャーだと思いますね。
管理本部の強みは?
1つは「素直で前向きな人柄」です。先ほども触れましたが、当社にはそういう方が多い。管理部門の仕事では「ルール通りにやることを求める」という場面が多い一方で、無理に頭ごなしに押しつけたり、事業部門に対する不満を陰で言うようなことはしたくないんです。
今のところはそういった現状を検知していませんし、今後もそういう組織を目指していきたいです。
もう1つは人材の多様性です。会社全体では平均年齢20代、かつスタートアップ等を中心に経験してきた社員が多い中、管理本部では40代から20代前半がお互い敬意を持って働いており、大手企業からスタートアップまで幅広くキャリア形成をしてきたメンバーが大半です。また、子育て中で時短勤務だったり、地方在住でフルリモート勤務のメンバーもいます。
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正直なところ、全社員の年齢が近く、全員が毎日オフィスに出社したいと思っていて、かつできるなら、それはそれで強い組織だと思います。ただ、多様な経験・能力のある方が、必要に応じて働き方を調整することで、能力を活かして活躍できるのであれば、長期的に見てそれも強い組織につながると思っています。
実際に採用の幅も広がりますし、戦力も拡張していきます。年齢・キャリアの多様性や働き方の一定の柔軟性は持ちつつ、生産性を高め続けていきたいです。
現状の課題と、それに対してどのような取り組みをされているか教えてください。
現状、引き続き上場準備を含む管理体制の整備をしています。そういった中で、一般的には「教科書通りに、一旦70点くらいの仕組みを導入してみる」というやり方があります。システムを入れて、ルールを決めて、不完全な仕組みなので現場にも我慢してもらう形ですね。
もちろん当社もそういった要素が完全に排除はできませんが、私は「何の課題を解消するために、これを導入するのか」をとことん掘り下げたいタイプです。システムが必要かどうか、導入のタイミングはいつが最適か、代替手段はないのか、といった議論をいちいち丁寧にやっているため、効率だけを求めるなら遠回りかもしれません。しかし、その分「この仕組みであれば本当に必要かどうか」を考えながら進められるので、会社としてより適した形を模索できると思っています。
これはかなりパワーが要る仕事ですし、手間もかかりますが、その分やりがいも大きいですね。新卒から10年超、市況の悪いときも良いときも見ており、上場支援側での多数事例から、事業会社側での上場準備実務まで経験しているからできる、特殊なスキルだとは思います。
2025年は創業5周年にあたります。今後の目標や事業成長の方向性、この1年をどのようにしていきたいか教えてください。
2024年の管理本部は「組織を形にして、最低限回る状態にする」というところまで漕ぎ着けられたと考えています。いわば「事業部門が攻めて走っているところに、何とか追いついた」イメージですね。
2025年にかけては、その上でしっかりアシストできる組織を目指します。具体的には、経理であれば「月次決算をとりあえず締める」段階から一歩進めて、より精緻な部門別・物件別のPLを提示し、経営判断に生きる示唆を出せるようにしたい。労務であれば、単に勤怠を締めるだけでなく、事前にリスクを察知して「この部分はこうした方がいい」と提案できる状態を目指したい。
いわば「マイナスをゼロにする」フェーズを経て、今度は「ゼロをプラスに変えていく」イメージです。それこそが「攻めを守る」体制の真価だと考えています。
Unitoの管理本部には、どういう方が向いていると思いますか?
一言でいうと「事業部門のパートナーになろうとする姿勢がある人」です。
前述のように、「これはルールだから」「あの部署は何も分かってない」といった態度は取りたくありません。
お互い分からないことや手探りの部分もあるので、相手の状況に合わせてルールを説明しながら、時にはこちらで手を貸してあげる。そういう柔軟さや大らかさを持って、敬意のあるコミュニケーションができる人と一緒に働きたいですね。
今の管理本部にはそういうメンバーが多いので、そうしたカルチャーを維持し、さらに発展させていきたいと思っています。
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