生保2社の業務改善命令の比較
こんにちは、UCnote担当です。
先日エヌエヌ生命が金融庁から業務改善命令を受けたと正式に発表されていました。昨年、似たような内容で処分を受けたマニュライフ生命と内容の比較をしてみたいと思います。
■結論
保険や販売方法の在り方についてと管理態勢の不十分さについて金融庁からメスが入ったということのようです。
■業務改善命令。マニュライフ生命とエヌエヌ生命の比較。
(以下マニュライフ=M、エヌエヌ=Nと記載。)
▼命令発布日
M:2022.7.14 8.15までに改善計画提出。初回報告は9月末。3か月ごとの進捗報告。
N:2023.2.17 3.31までに改善計画提出。初回報告は5月末。3か月ごとの進捗報告。
Nの方が期間が長いですね。時間がかかりそうと考えているのか、それとも金融庁側のスケジュールの問題なのか、はたまたあまり意味はないのでしょうか。Mはすでに2回ほど報告と対応が進んでいるのだと思われます。
▼改善内容
違いは①でしょうか。Mでは、経営責任はどこ・だれなのか?Nでは、経営姿勢とビジネスモデルについての言及です。②以降は同じです。Mの⑥はNの①に含まれています。
▼処分の理由
M:
①営業優先の企業文化やコンプライアンス、リスク管理を軽視する企業風土
②取締役会が取締役等の職務執行を監督するという基本的な役割を十分果たしていないといった経営管理態勢上の問題や、3ライン・オブ・ディフェンスによる機能発揮が不十分であるといった業務運営態勢上の問題
③対策は講じているものの自主的な改善は十分には期待できない
N:
①経営管理態勢及び業務運営態勢の適切性
②保険本来の趣旨を逸脱した商品開発及び保険募集
③3線管理態勢の整備・確立
④自主的な改善に向けた評価
大枠では似たような内容と感じます。私なりに言い換えると
注意喚起したにもかかわらず、税効果を前提とした保険商品の開発や販売方法が行われていた。
業務管理体制や経営管理体制が十分に構築されていない。
自主的な改善の期待はできない。
と言ったところでしょうか。
なお3線管理や3ライン・オブ・ディフェンスは、営業現場・法令遵守・内部監査の3つのリスク管理態勢ということのようです。
▼ちなみに業務改善命令とは
監督省庁から出される行政処分の一つです。態勢をいつまでに変えるよう指示され、その結果と進捗を定期的に報告する必要があります。改善が見込まれない場合や悪質な場合には、より重い業務停止命令が出されることもあります。このような処分は、対象によって根拠法が異なります。今回は保険業法に基づくものです。
■所感
保険会社は、金融庁から業務改善命令を出されることがあります。いわゆる節税保険について言及されると国税庁を想像してしまい、混同してしまうことがあります。私は「国税庁の通達を守っているのに」と思っていましたが、それとは違く価値観からの処分でした。 保険商品や保険会社、販売方法についての適切さを見直すことが求められています。
■担当の一言
今回は外資系保険会社のため、「やはり外資は不安」という感情もあるかもしれません。一方、理由は違えども国内生命保険会社も業務停止命令が出された過去もあります。今も調査が入っている保険会社もあるようです。肩を持つわけではなく、外資だからではないことはお伝えしたいところでした。現在は日本の保険の歴史140年の中で、きっと何度かあったであろう変革期の一つなのかもしれませんね。あくまで法人保険のお話ですが。
それでは、良い週末をお過ごしください。
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■参考
▼金融庁 報道発表資料
エヌエヌ生命保険株式会社に対する行政処分について
https://www.fsa.go.jp/news/r4/hoken/20230217/20230217-1.htmlマニュライフ生命保険株式会社に対する行政処分について
https://www.fsa.go.jp/news/r4/hoken/20220714-1/20220714-1.html
▼エヌエヌ生命
▼e-Gov.
保険業法 | e-Gov法令検索
第132条第1項、第128条第1項