米国出願における"陰影"の話
米国特許・意匠出願の際、図面に陰影を施すことを求められるのは、特許業界の方はご存知だと思います。
図面に陰影を施すのは、経験と、何よりセンスが必要ですし、複雑な図面だと相当な時間を要します。正直”陰影は面倒だな”と思う図面屋さんも多いでしょう。
僕は年間数十件は米国用に陰影を施す作業をするので、以前参考資料を探したことがあります。
見つけたのが、KEVIN PLINCE著 "THE ART OF THE PATENT"でした。
古今の米国特許・意匠図面を集めた本で、とくに1800年代後半の図面は僕にとって大変参考になる資料でした。
"THE ART OF THE PATENT"から2図ほど抜粋致します。
先ずは1883年の図面。
まさにアート。美しい図面です。
次は1888年出願の図面。
この図面も素晴らしいですね。
僕の推測ですが、当時は画家や、本の挿絵を描く職人が特許図面も描いていたのでは、と思います。
米国特許の陰影の伝統はこの当時から引き継がれてきたのでしょう。
仕事で図面に陰影を施す際は、どこまで描き込むか毎度悩みどころです。
昔の職人さんのように描き込むと、時間が掛かりすぎ、図面代も馬鹿になりません。
場合によっては逆に図面が見難くなることも。
では、あっさり描けばいいかというと、そうもいかず、補正を喰らうこともあります。この辺は、臨機応変にというのが現状です。
では最後に僕の図面を2図ほど。
先ずはあっさりと陰影を入れたバージョン。
次はOAを警戒してしつこく陰影をいれたバージョン。
お客様の要望により、こうして描き分けも致します。
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