Second Pain11
花都 美彩「じゃあ、ちょっと早いけど、これから母ちゃんのところに行くか!」
金藤 実花沙「うん…!!」
こうして、私たちは恋奏さんのところへ。
花都 恋奏「よく来てくれたね」
金藤 実花沙「こんにちは、恋奏さん」
花都 美彩「…おや、見かけない顔だ」
清鐘 弘鷲「ども!清鐘 弘鷲です!」
月ノ宮 奏那他「月ノ宮 奏那他と申します」
地鳴 明吾「地鳴 明吾です!」
花都 恋奏「お友達が来てくれたんだね!よかった…!」
花都 美彩「ま、まぁ…」
花都 恋奏「とりあえず、イベントの詳細について話したいから上がって上がって!」
金藤 実花沙「お邪魔します」
私たちは客間に案内された。
花都 恋奏「…さて、昨日美彩にも話したんだけど、来月に小中学生の子供たちとお遊戯会するんだけど…、参加予定のボランティアがね…、突然来れなくなったという連絡があって…」
花都 美彩「えぇ!?なんで!?」
花都 恋奏「4人のうち1人が心筋梗塞になっちゃって…、バンド活動休止なんだって…」
金藤 実花沙「そ、そんな…!!」
月ノ宮 奏那他「あ、あ、ああの…、その、いつ頃さ、再開なんでしょうか?」
花都 恋奏「それがわからないんだ。来月のイベントには間に合わないね…」
清鐘 弘鷲「こりゃ大ピンチだ」
花都 恋奏「私たちGuilty Labyrinthが出演するしかないかと思いきやみんな業務とかで都合が悪くて…。それに、他のバンドもなかなか見つからなくて…」
地鳴 明吾「僕たちでよければ出ます!…まぁ、初めてのバンドなので決してプロ級とは言えないんですけど…」
花都 美彩「ううん!プロ級だとかアマチュアだとかそんなのは関係ないよ!みんなが楽しんでくれればそれでいいんだ!…あと、ボランティアの内容はカフェだよ」
花都 美彩「カ、カフェ?」
花都 恋奏「うん!子供たちと簡単な工作をしたり、飲み物を差し出したりね」
金藤 実花沙「楽しそう…!大学のゼミボランティアで似たようなことしたことあります!」
花都 美彩「そっか!なら、イメージしやすいかな、実花沙は」
金藤 実花沙「うん!…あと…、簡単な劇を入れるのもありですか?バンド演奏する前に」
花都 美彩「面白そう!」
清鐘 弘鷲「面白いこと考えるじゃん、実花沙ちゃん!」
月ノ宮 奏那他「あ、わ、私、は、話すの…」
金藤 実花沙「あ、台本はわたくしが。奏那他さんに関してはなるべくしゃべりやすい台詞とかになるよう配慮しますね。もし無理そうだったら遠慮なくお伝えください!」
月ノ宮 奏那他「う、うん…!ご、ごめんね…、あ、あがり症で…」
金藤 実花沙「いえいえ!実は前職、鬱で休んでた時に書いてた小説があって…」
地鳴 明吾「…え?」
花都 恋奏「あぁ…、美彩から聞いたよ。…大変な思いをしたんだね…。1人で抱え込んで…」
清鐘 弘鷲「実花沙ちゃん…」
月ノ宮 奏那他「う、鬱…!?」
地鳴 明吾「頑張りすぎたんだ!実花沙さん!無理しないでね!!」
金藤 実花沙「ありがとう。今は回復しているし、もうちょっと明るい感じになるように工夫するよ。とは言ってもダークなストーリーだけど…」
地鳴 明吾「まぁ、その時はみんなで意見交換しよう!」
花都 美彩「そうそう!…奏那他の台詞はなるべく少なめで…、…明吾とか弘鷲のうるさい2人はアドリブで」
地鳴 明吾「え!?」
清鐘 弘鷲「そりゃないよ!!?」
花都 美彩「経費節減」
花都 恋奏「おいおい美彩…」
金藤 実花沙「美彩…、そういうわけには…」
花都 美彩「まぁ、そういう感じでこれからバンド活動だ!」
何はともあれこれから始まるんだ。
バンド活動!
引き続き美彩の家で私たちは色々計画を立てていた。
清鐘 弘鷲「さてと…、まずは何をしようかな」
地鳴 明吾「パートは決まりましたし」
花都 美彩「曲はどうしようか。歌詞は僕が書こうかな」
清鐘 弘鷲「じゃあ作曲は俺ね」
地鳴 明吾「僕は…、うーん…」
月ノ宮 奏那他「衣装は私が作るわ。明吾もよかったら手伝ってくれる?」
地鳴 明吾「うん!」
花都 美彩「バンド名は…」
金藤 実花沙「Second Pain」
清鐘 弘鷲「え?もう決めた!?」
月ノ宮 奏那他「は、早…!」
そう、結成するとわかって予め考えていた。
バンド名を考えていたのはどうやら私だけだったようだ。
…みんなの過去を聞いて…、思いついたんだ。
Second Pain。
地鳴 明吾「え!?カッコいい!」
花都 美彩「バンド名の由来は?」
金藤 実花沙「…みんなの過去を聞いた。私と弘鷲さんは大学で次席で卒業したこと、奏那他さんはピアノのコンクールで2位で終わったこと。美彩も確か…」
花都 美彩「うん。2位とかそういうのじゃないんだけどね、プリマドンナに選ばれなかったこと。でもまぁ、実質プリマドンナ決定戦では姉ちゃんと僅差で負けちゃったし…」
金藤 実花沙「美彩…」
地鳴 明吾「僕はゲームの大会で2位になったこと」
金藤 実花沙「みんな、2番目に終わったら悔しいでしょう?」
清鐘 弘鷲「ここまで来れたなら!…という時に最後の最後で抜かれちゃうとね…」
月ノ宮 奏那他「私もトップの人と何が違うのって不満になる」
花都 美彩「僕も」
地鳴 明吾「あれだけやったのにってなる」
金藤 実花沙「Second PainのSecondは2位。Painはその悔しさから生じる痛み。…だからSecond Pain。どう?」
月ノ宮 奏那他「いいと思う」
清鐘 弘鷲「2番目で終わって悔しいからこそこの先走りたくなるよね!」
花都 美彩「まだまだこれからってなるよ」
地鳴 明吾「2番目特有の心の痛みだよね」
金藤 実花沙「そうね…」
地鳴 明吾「そうそう、バンドリーダーは?」
清鐘 弘鷲「実花沙ちゃん」
金藤 実花沙「え」
花都 美彩「僕も同感!」
わ、私がリーダー!?
月ノ宮 奏那他「私も実花沙ちゃんを推薦する!…そ、その…、コミュ力高そうだし」
花都 美彩「実質1番マシ」
地鳴 明吾「僕たちはやかましいからね弘鷲さん」
清鐘 弘鷲「え…。でもまぁ、何もかも得意分野でそれぞれカバーしてこ!」
花都 美彩「なら、僕が副リーダーだな」
…早速みんな動き出した…!
清鐘 弘鷲「作曲なんだけど、実花沙ちゃん、台本だっけ?見せてくれる?」
金藤 実花沙「あ、こ、これから送りますね」
花都 美彩「僕の方も!」
金藤 実花沙「はーい」
台本…、本当はブログにアップする予定だった没小説。
清鐘 弘鷲「おぉ…、暗い雰囲気…」
花都 美彩「そんなに難しい感じはしないし、小学生時代の僕でもわかると思う」
金藤 実花沙「ほんと?よかった…」
清鐘 弘鷲「暗いダークな曲にした方がいいね、ダークファンタジーみたいな」
花都 美彩「僕もこのストーリーに沿って歌詞書いてみる!」
金藤 実花沙「うん、お願いね!」
清鐘 弘鷲「ピアノ、どっかある?」
花都 美彩「あぁ、それならあっち!」
清鐘 弘鷲「りょ!」
さて、衣装組は…?
月ノ宮 奏那他「実花沙ちゃん、キャラクターの設定画あるかな?それを参考にして衣装の材料買いに行かなくちゃ」
金藤 実花沙「あ、こ、これです!」
奏那他さんたちにスマホの画面を見せた。
月ノ宮 奏那他「まぁ!素敵!」
地鳴 明吾「ダークな感じだけどなんか好き!」
金藤 実花沙「えへへ、どうかな…」
地鳴 明吾「僕はもうこのままでもいいと思うな」
月ノ宮 奏那他「うーん、この部分なんだけど…」
金藤 実花沙「あ、この部分、わかりづらかったですね!すみません!描き直します!!」
月ノ宮 奏那他「あ、いや、ごめんね!一部だけ拡大する感じで描いてくれれば助かるよ」
金藤 実花沙「はい!…そうだ!配役決めないと!みんな、どれがいい?」
…という感じでなんやかんや活動が始まりました!