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結奈さんはじっと実花沙さんを見つめます。
結緑 結奈「…、会社のカメラや事情聴取などで調べたところ、あちこち欠陥が発見されました。キャリアコンサルタントについても変更を予定していますし後任はもう見つかっています」
花都 美彩「誉さん、やはり駄目だったか…」
風李 優輪「まぁ、あの人になんか相談しても結局は我慢しなさいの一点張りだったし…」
薔薇島 千寿「千寿たちのことは怖い顔で見てました。装置の故障を実花沙さんのせいにしたあの件から」
風李 愛論「え?逆恨みじゃん…!」
結緑 結奈「…はい。この後も適切な対応がなされず、改善もされていないと判断しました」
夏海 醒治「ワタシもそう思います」
清鐘 歌鳥「後任が見つかっていればの話ですけど…、あれだけ指導しても駄目ならもう変えるしかないですよ…」
結緑 結奈「はい。お力添えできず申し訳ございません。誉さんをキャリアコンサルタントにした僕に責任があります」
金藤 実花沙「そんな!結奈さんは何も悪くない…!!…私が…、私がいろんなことに気づき過ぎたせいで…」
結緑 結奈「ううん!そんなことはないよ。これでも実花沙ちゃんのおかげでパワハラは激減したのでむしろ感謝です!…それに、君の体調不良を聞く限りは鬱の可能性が極めて高いです。…もしだったら、パワハラによる会社都合による退職になるかもしれません。その手続きとかは僕と一緒にやりませんか?…嫌じゃなければだけど…」
風李 優輪「う、鬱…!?」
夏海 醒治「実花沙ちゃん…、ここまで我慢していたのね…」
花都 美彩「色々と悩みはトークでも共有されたんだけど…、そこまで気づいてあげられなくてごめん…」
清鐘 歌鳥「それに、だいたいのことは 美彩から聞いちゃった…。…歌鳥からね…」
風李 優輪「特定の人から嫌がらせ受けてるって…」
花都 美彩「ごめん、みんなに言っちゃった…」
金藤 実花沙「ううん…、それはいいの。遅かれ早かれみんなにわかることだよ。それに、私が勝手にやったことだし…」
夏海 醒治「そんなことはないのよ!みんな実花沙ちゃんに嫌なことした人たちの方が悪いんだから!」
薔薇島 千寿「千寿たちのことも守ってくださいましたし…!」
花都 美彩「…なら、やっぱり退職するか…」
清鐘 歌鳥「実花沙…」
金藤 実花沙「…最後の力を振り絞らせてください、結奈さん。これ以上パワハラが広がらないうちに」
結緑 結奈「うん…!今後は…、うーん、そうだな、イメージ的に言うと…、退職代行ってサービス、知ってるかな?うちにはないんだけどね」
金藤 実花沙「はい」
結緑 結奈「…もう事業所の人と関わりたく…ないよね?」
金藤 実花沙「…はい。私、事務の人たちやベテランの方から冷たい目で見られるの、本当に辛いです。私、あの人たちに嫌がらせなんて一切していません!身に覚えがないんです。そう思うと、左胸が痛くてたまらなかった…!!」
結緑 結奈「なんだって!?状況は思ったよりも深刻だな…」
花都 美彩「だいたいさ!向こうの説明不足のくせに実花沙1人だけで大量のやり直しさせるのは酷すぎる!だったら自分たちがやれよって感じ!」
清鐘 歌鳥「それにさ、きちんと自分の非を認めて謝ってるのにさ、わざわざ人前に出す必要ある?睨みつけるなんて最悪だよ。偉い人も知らんぷりしてたんだってね!」
花都 美彩「当時のこと、ほんとによく耐えた方だよ、実花沙…」
風李 優輪「プライバシー配慮できないのは最悪極まりない!俺らは完全に実花沙さんの味方だぜ!」
夏海 醒治「ええ!実花沙ちゃんはもう自分を責めなくていいのよ!」
金藤 実花沙「みんな…」
結緑 結奈「うん!実花沙ちゃんはみんなのために頑張ってくれたし信じるよ!…おっと、話が脱線しちゃったけど、退職代行サービスに似たような感じで、会社とのやり取りは実花沙ちゃんの代わりに僕が行います。なので、実花沙ちゃんはもう会社の人と直接話さなくても大丈夫!パワハラで訴訟する時、僕が負担します!知り合いの弁護士さんにもこの件をお願いするつもりです」
金藤 実花沙「結奈…さん…」
結緑 結奈「一部について伺う限りですが、かなり悪質だと感じています。…今回は証拠があれば勝訴できるかもしれません。まぁ、裁判やるかどうかはわからないのですが…」
薔薇島 元気「ふむ…。そういうことが…。実花沙さん、すごくお辛かったんですね…。この件は心絆さんの方に報告なさるのです?」
結緑 結奈「はい。これは重要な問題だと判断しましたもので」
金藤 実花沙「結奈さん…、いいんですか…?お母様が築き上げた会社なのに…」
結緑 結奈「大丈夫さ。親の会社だからどうのこうのとかは関係ないよ。それに、僕らの社員がこれ以上傷つく方がよっぽど辛いよ…」
金藤 実花沙「…」
2代目アイスクリームの女神「…、そうね…。実花沙ちゃんの心のケアをお願いね、結奈ちゃん…」
結緑 結奈「はい。僕には社員の苦しみになかなか耳を傾けられなかった…、そしてカウンセラーの教育不足に責任があります。1人のカウンセラーとして、会社の役員として…、そして一個人として…、社員に退職日まで付き添います」
金藤 実花沙「結奈……さん……」
薔薇島 元気「あなたのお母様…、アマルネさんはすごく心配なさっていましたよ…。体調不良と聞いて…、来週頃には社宅においでになるようです」
薔薇島 千寿「ア、アマルネさんって…?」
薔薇島 元気「…そうです。アルカディア界と歌人界の王族の1人ですね」
えーっ!?すっげー!!!
あの有名な歌姫、アマルネ・アルカディアの…?娘さん…!?
おっと、失礼。私、アマルネさんの大ファンなもので…。
とは言っても、今は金藤姓で生活していらっしゃるんですけどね。
薔薇島 千寿「ふぇぇ…!!」
風李 優輪「あんたの家系、マジですげーな…」
花都 美彩「それに、僕の母ちゃんの従姉でもある。ちなみにおばあちゃんは歌人界の主の妹であり、声楽界という世界の主でもある。…まぁ、そのおばあちゃんに当たる人はもう亡くなってるけど…、とにかく!実花沙は僕の親戚でもあるんだな。ちなみにはとこです」
清鐘 歌鳥「ぎょえー!! 美彩もある意味お姫様やん…!!」
福田 秀眞「 美彩ちゃん、声楽界のお姫様か…」
花都 美彩「まぁ、フツーに接してくれよ」
福田 秀眞「う、うん!」
夏海 醒治「なんか複雑だけど、とにかく親戚なのねぇ」
金藤 実花沙「そ、そんな…。…それよりも、アマるんに怒られないといいのですが…」
福田 秀眞「ア、アマるん…。親のことはニックネーム…。キラキラしていて楽しそうな家庭なんだね」
金藤 実花沙「それほどでも」
2代目アイスクリームの女神「キラキラで素敵だよ!…それより!実花沙ちゃんが怒られることはまずないよ!安心して結奈さんにこれまでのことをお話ししてね」
金藤 実花沙「はい…」
2代目アイスクリームの女神「おっと!今日はもう暗いから…、みんなお家に帰ってゆっくり過ごしてね!」
風李 愛論「はーい!」
こうして皆さんは一旦それぞれの家に帰ったのでした。