Second Pain-19
テラー「僕から逃げようだなんて悪い子だな」
ロウ「!!!」
テラー「君も楽になろうよ」
ロウ「ら、楽…?」
テラー「ここまで来れたことは褒めてあげる。教えてあげよう。ここは僕とアングィが創った異世界さ」
ロウ「…え?」
異世界…?
エクスタ「ここは僕らのような人生に失望した子供たちが集められた…」
ロウ「失望した…、子供たち…?」
アングィ「何か心当たりはない?」
ロウ「そ、それは…」
イグザス「ないとは言わないよな?」
ロウ「そ、そんなこと…!!!」
テラー「僕は君のことなんでも知っているよ。君、学校でいじめを受けていたんだろう」
ロウ「た、確かにそうだけど…、優しい人だって…!」
イグザス「お前、ほんとに能天気だな」
ロウ「え…?」
エクスタ「世の中いい人ばかりとは限らないよ。自分の利益のためだけに動く人だっているさ」
アングィ「そう。みんな、結局は自分さえよければそれでいいの」
ロウ「ち、違う…、違う…!!本当に根っから優しい人だって…!!」
エクスタ「残念だけど、世界は君が思っているほど優しくないよ!あははは!!!」
ロウ「!!」
テラー「君、確かもう1人仲がいい人がいたよね」
ロウ「エ、エミリーのこと?」
テラー「そう。この前、君がいないところで陰口を叩いていたよ」
ロウ「嘘…、嘘だろう!?」
アングィ「じゃあこの手鏡をごらんなさい」
僕は差し出された手鏡を覗き込む。
確かに教室で僕がエミリーと別れた後のことだ。
え…?
嘘だろう…?悪口…?よく聞こえる…。
クラスメイトの女子たちを集めてなんかヒソヒソしている…?
ロウ「え…、そ、そんなことが…!?う、嘘だ!これは幻だ!!!」
アングィ「ここまで見てそう言うの?」
テラー「いい加減に自分が置かれている立場を理解した方がいい。君は裏切られたんだよ」
ロウ「!!!」
アングィ「学校の課題でもあなたを利用したのよ」
ロウ「エ、エミリーが…!?」
受け入れろって…?
テラー「これが真実だよ」
ロウ「い、嫌…!!!」
アングィ「それに、両親からも愛されていない」
ロウ「違う!!!僕は!!!」
テラー「愛してくれる人はいないんだよ、君のことを」
ロウ「パパとママの悪口を言わないで!!!」
テラー「悪口?ふーん、そんなこと言うんだ」
ロウ「い、い、嫌…!!!」
テラー「アングィ」
アングィ「はい。ご主人様」
これは…、僕の両親!?嘘…、出張だって聞いてたんだけど…。
アングィ「どうやらあなたは捨てられちゃったみたいね」
ロウ「あ、ああ、うぁあああ!!!!!」
僕は耳を塞ぎ込んでしゃがんだ。
残酷な現実に…!!
テラー「大丈夫だよ。僕が君を愛しよう」
アングィ「ご主人様?」
テラー「…君のことを初めて見た時、一目惚れしてしまった。優しくて可愛らしい…、そんな君には僕からの愛をプレゼントしよう」
ロウ「愛を…?」
テラー「そう。…さぁ、さっきの部屋に戻ろう。イグザス、エクスタ、宴の準備をしてくれないか」
イグザス「ん〜」
エクスタ「いいよ!あはは!!」
こうして僕は2人に例の部屋に連れ戻されてしまったのであった。
アングィ「さぁ、これに着替えて」
ロウ「…」
アングィ「更衣室はここよ」
僕は言われるがままに指定された服に着替えた。
テラー「ふふ、よく似合ってる」
アングィ「ええ」
テラー「じゃあ…、ここに座ってごらん」
ロウ「う、うん…」
アングィ「おめかししましょう」
テラー「君にはしばらく眠ってもらうよ」
そう言われた途端、僕はしばらく眠りに入った。
…これで…、何もかも…、
辛い現実を忘れられるんだ。
ロウ「…。おはよう…、ございます」
テラー「おはよう。よく眠れたかい?」
ロウ「はい」
アングィ「ご主人様、そろそろホールへ向かいましょう」
テラー「そうだね。君も来るかい?」
ロウ「う、うん」
…そして、ホールへ。
アングィ「…ようこそ。ここが宴の場」
テラー「さぁ、ここに座りたまえ」
ロウ「…」
テラー「このまま髪を下ろしているのも可愛いけど…、僕たちがもっと素敵にアレンジしてあげよう」
そう言って僕のヘアのスタイリングを始めた。
ロウ「…」
アングィと名乗る人は僕の髪を櫛でとかし、金髪の男性は僕の前髪に何かをしている。
テラー「前髪編み込もうか。その方が君の素敵なお顔がよく見える」
ロウ「!!」
テラー「大丈夫。怖がらないで」
ロウ「…?」
テラー「ふふ、そう。リラックス…」
僕の前髪をロープのように編み込んで…、黒いヘアピンで留めた。
アングィ「はい」
テラー「完成」
ロウ「?」
アングィ「こんな感じになったわ」
テラー「この手鏡で見てごらん?」
髪型はお団子になった。
僕は…、生まれ変わった…?
アングィ「テラー様、そろそろ…」
テラー「ああ、そうだったね。2人を呼んできてくれるかい?アングィ」
アングィ「はい」