Second Pain-7
清鐘 弘鷲「…実花沙ちゃん、まさかこんなに美声だったなんてね」
花都 美彩「でもあいつは苦しんでいる。…自分の能力に…」
清鐘 弘鷲「…さっきの歌声か…。悪いことしちゃったな…」
花都 美彩「そうだな…。…実花沙に謝らないと…」
清鐘 弘鷲「俺も…」
実花沙に悪いことをしてしまった…。
バトルを止めるために実花沙は必死になっていた。
能力使ってでも止めようとしてくれたんだ…。
地鳴 明吾「ねぇねぇ!弘鷲! 美彩!さっきの歌声ビリビリってこなかった!?」
…?なんだあいつ。
…あ、同級生の地鳴 明吾じゃん!
清鐘 弘鷲「お、明吾!いたのか!?」
地鳴 明吾「いたもなにも!でっかい音がしたもんだからびっくりしたよ!何事!?」
清鐘 弘鷲「あー、それは…」
弘鷲っていう人はこれまでのことを説明した。
そして、美声だけど破壊的な歌声の持ち主は実花沙であることも。
地鳴 明吾「実花沙さんが…」
花都 美彩「…あぁ…、あいつは大学卒業あたりに目覚めたみたいだ…。その能力ってやつに」
地鳴 明吾「そっか…」
清鐘 弘鷲「クレヴィングって聞いて興味持っちゃって追いかけっこしたら弾幕戦になっちゃった」
地鳴 明吾「もう!駄目じゃないか!あんまり人を困らせちゃ!」
清鐘 弘鷲「悪い悪い!」
花都 美彩「…そういや、あんたら知り合いか?」
地鳴 明吾「うん!弘鷲は僕の幼馴染み!ご近所さんなんだ!」
花都 美彩「ほぇ〜」
地鳴 明吾「んでさ、クレヴィングって何?」
花都 美彩「そ、それは…」
かくかくしかじか…。
地鳴 明吾「そっか…。操った人がまだわからないんだね…」
花都 美彩「そうさ。早くとっちめてやりたいけどねぇ」
地鳴 明吾「うーん…」
花都 美彩「あとさ、あんたらの種族って…」
月ノ宮 奏那他「お、おーい!」
清鐘 弘鷲「お?」
地鳴 明吾「あっ!奏那他!それに…」
金藤 実花沙「…」
花都 美彩「…!」
清鐘 弘鷲「よかった…!戻ってきてくれた…」
月ノ宮 奏那他「弘鷲、興味本位だけで動いたらみんな困っちゃうでしょ。実花沙ちゃん、すごく自分のこと、責めてたよ」
奏那他さんは弘鷲さんを叱った。
あれ?奏那他さんってこういう人だっけ?
清鐘 弘鷲「ご、ごめんごめん!…実花沙ちゃん」
金藤 実花沙「…」
清鐘 弘鷲「その…、ごめんね…?お、俺たちがバトルやめなかったから…」
花都 美彩「ごめん…」
金藤 実花沙「い、いや、謝るのは私の方。みんなを苦しめてしまった。大好きな歌で。…すごくすごく苦しい。ごめんなさい」
清鐘 弘鷲「あぁ!いやいや!俺らの方がごめんだよ…。…ほら、よしよし?」
弘鷲さんはとりあえず私の頭を撫でた。
花都 美彩「おいおい馴れ馴れしいな…、実花沙に…」
月ノ宮 奏那他「相手がびっくりするでしょ…」
清鐘 弘鷲「んー?でも、実花沙ちゃん、怒ってないみたいだし?ね?」
金藤 実花沙「は、はい…」
清鐘 弘鷲「あ、あと、敬語じゃなくていいよ。お互いタメで話そ?」
花都 美彩「別に?それでよくね?」
金藤 実花沙「え?!と、年上に…!?」
清鐘 弘鷲「ふふ、真面目だねぇ。みんなもタメで話そ?」
花都 美彩「まぁ、何かの縁だし」
月ノ宮 奏那他「全くあなたっていう人は…」
地鳴 明吾「ごめんね、実花沙さん…、弘鷲ったら調子に乗っちゃって…。嫌だったら嫌って言いなよ?」
金藤 実花沙「大丈夫!その方が気楽なら」
地鳴 明吾「そう?実花沙さんどんだけ優しいの?」
月ノ宮 奏那他「相手のことをよく考えるし」
花都 美彩「自分のことは後回し」
金藤 実花沙「…?」
清鐘 弘鷲「とりま、この後お夕飯でも食べに…」
金藤 実花沙「ごめんなさい、今日急には…。アマるんが心配しちゃう」
清鐘 弘鷲「アマるん?」
花都 美彩「実花沙のお母さん!」
月ノ宮 奏那他「え?」
地鳴 明吾「あの歌人都を治める神様の妹さんの娘さんだよ!僕はそのはとこっていうやつに当たる」
地鳴 明吾「はとこ!?」
月ノ宮 奏那他「あの歌姫…?!」
金藤 実花沙「みんな、アマるんのこと、知ってるの?」
清鐘 弘鷲「うん。父上と母上の知り合いだよ。ちなみに母上の大親友」
月ノ宮 奏那他「私のママも」
地鳴 明吾「僕のママもね」
金藤 実花沙「アマるん、知り合い多いんだ…」
すごい…。
アマるん、思ったよりも有名なんだ…!
地鳴 明吾「まぁ、今日はもう夕方だし…、また今度この5人で集まろうよ!」
月ノ宮 奏那他「き、急だよ…」
花都 美彩「そういやあんたら、種族は妖怪なんだ?妖気を感じるんだけど…」
月ノ宮 奏那他「う、うん。私たちはアプローズっていう妖怪だよ」
金藤 実花沙「アプローズ…?」
地鳴 明吾「まぁ、ざっくり言うと〜、うーん、僕たちは『ほころび』っていう妖怪の改良版みたいなものかな。そもそも、『ほころび』っていうのは植物の妖怪に種を植え付けられた人は死んだ後に妖怪になるっていう後天性の仕組みだね。あと、もう1つのパターンは親がどちらか片方でもほころびだったら、半人半妖とか半端な種族ではなく、先天性のほころびになるね。雪男、吸血鬼、地鳴とか。アプローズもそう」
花都 美彩「エグい…」
月ノ宮 奏那他「ちなみに私と弘鷲ともう1人か2人…、だったかな…、最初のアプローズとされているの」
金藤 実花沙「強化人間ならぬ強化妖怪ですか…」
地鳴 明吾「僕たちはアムネシア様という始祖に改良されたね。遺伝子操作みたいな感じで」
ほぇ〜…。
清鐘 弘鷲「まぁでも、案外優しいタイプ多いよ?俺らのように」
月ノ宮 奏那他「でも、好戦的タイプも多いね」
地鳴 明吾「弘鷲のように」
清鐘 弘鷲「あはは…。…、実花沙ちゃんってさ、歌人っていう種族?」
金藤 実花沙「はい。人間に近いとされる異世界人です。歌うことに特化した種族です」
花都 美彩「僕はれっきとした人間…とは言い難いけど、歌人の血も混ざってる」
地鳴 明吾「僕たちすごい出会いだよ!こんな機会ないない!」
金藤 実花沙「私も…、みんなに会えてなんか嬉しい…!」
花都 美彩「だな!」
…よくわからないけど、
私たちは一旦別れた。