Second Pain-18
…ここはどこなんだろうか?
…僕はその不安を拭うつもりで歌っていた。
♪僕は歩き続ける
深く暗い森で 彷徨い続けて
何を得られるだろうか 僕は
ただ一人だけで 心強く
唇噛み締めて 力強く地面を蹴る
嗚呼…、僕はなぜ
嗚呼…、一人で平気なの?
心が孤独に 蝕まれる前に
目的地わからないのに とにかく歩む
たとえこの先が 暗く見えない道でも
歩き続けるよ 僕一人だけでも
ロウ「嗚呼…、歌うとなんか勇気が出てくるな」
建物も出口も見えない。
それでも僕は歩いていく。
…この前、友達とここで遠足に行って来た。けど、それから彼女たちが帰ってこない。
もう1週間も会っていない。
学校ではあんなに元気にはしゃいでいたのに。
ロウ「うーん、やっぱりスマホの電波が届かないなぁ…。まるで山に遭難したみたいだ」
さて困った。どうしたものか。
そう考えていたら…、
テラー「こんなところでどうしたんだいお嬢さん?」
金髪の男性が声をかけてきた。
ロウ「あっ、あの…、お友達を探していて…、知りませんか?」
テラー「お友達かい?」
ロウ「はい…。…最後に会ったのは1週間前です」
テラー「それは大変だ。誰も見ていないな…。でも、もうすぐ夜になってしまう」
ロウ「そうですよね…。…、でも、安全のため、また明日、探しに行きます」
テラー「駄目だ。今日はもう遅い。よかったら私の家に泊まりなさい」
ロウ「え?」
テラー「この森の奥深くに私の屋敷があるんだ。一緒に来なさい。お嬢さんだけで心細かっただろう。あったかいスープでもご馳走しよう」
ロウ「…は、はい」
本当は知らない人に安易について行ってはいけない。
でも、この人はいい人だ。きっと。
悪い人だったら強引に連れて行きそうだから。
僕は金髪の男性についていった。
それから金髪の男性のお屋敷でお世話になることに。
お夕飯のスープ、とっても美味しかった。
テラー「さぁ、お嬢さん、ここが君のお部屋だよ」
ロウ「き、綺麗…」
テラー「自由に過ごしたまえ」
ロウ「ありがとうございます」
…でも変だな。
このお屋敷も電波が届いていないようだ。
ロウ「うーん、このアプリも使えない…。パパとママにどう伝えようか…」
連絡を取ろうとあれこれ試みるも結局駄目だった。
ロウ「しょうがない。明日ここから出て一旦お家に帰ろう。いや、今こっそり帰っちゃおうかな。よし、置き手紙を…」
僕はこの屋敷から出る前に置き手紙を残した。
一旦、この屋敷から出ようと部屋のドアを開けた。
よし、今のところ廊下は誰もいない。
なんせ、もう真夜中だし。
さすがのあのお兄さんも寝ているだろう。
ロウ「…よし」
今がチャンス。
僕が案内されたのは3階。そこからそーっと階段を降りていく。
そーっと…。
ロウ「今のところ順調…!」
この調子…!
…?
僕は足を止めた。
ん?
ロウ「この扉…?」
1階の中央にある真っ赤な扉はなんだろう?
そーっとドアを開ける。
ロウ「あれ?地下室に続く階段?」
僕は興味本位でどんどん地下室に向かった。
ロウ「…?」
階段から降りるとまた扉…?
ロウ「…?」
今度は緑色の扉…?
でもなんか不気味な雰囲気だ…!
それでも僕は勇気を振り絞って開ける!
ロウ「せーのっ!!!」
バンッ!!!
ロウ「…!!!トーマス!リリー!」
扉を開けたら信じ難い事実が…!!
嘘だろう!?
僕の友達が…、
椅子に縛られて捕まっている!?
服もなんか違う…!
しかも意識がない…!!
ロウ「!!!」
ああ!!なんてことだ!!
は、早く!
早く助けないと…!!!
アングィ「あら、いけない子ね」
ロウ「!!!」
まずい!誰に見られた!?
ど、どうしよう!!
見つかってしまった!!
で、でも、ここで引き下がるわけには…!!
アングィ「知らない方が幸せだったのにね…」
ロウ「なんだい君は!?僕の友達に何をしたんだ!?」
アングィ「何って…?睡眠の魔法をかけただけ」
ロウ「魔法だって…!?なんの目的だ!?」
アングィ「あら、幸せにしたいだけよ」
ロウ「そ、そんなの…、どうかしてる!!人の自由を奪って何が幸せだ!」
アングィ「夢の世界にずっと入っていればいいの。この子たちはこの世界に失望している」
ロウ「そんな!あんなに元気そうだったのに!!」
アングィ「でも、気づいてあげられなかった。…あの子たちはあなたがわからないところでいじめを受けていたの」
ロウ「え…?」
アングィ「そこで、2人ともこの森の中に入って…、自分たちから懇願したの。『これまでの記憶を消して楽にして』って」
ロウ「そんな馬鹿な!!記憶が消えたらトーマスたちは…!!?」
アングィ「さぁ、もうすぐお目覚めの時間ね」
…、あっ!2人が目を覚ます…!!
ロウ「2人とも!僕だよ!ベルだよ!!」
イグザス「…誰だお前」
ロウ「リリー!!?」
エクスタ「ベル?知らないなぁ」
ロウ「トーマス!!?何かの冗談だろう!?」
イグザス「知らないな」
ロウ「…!!!」
アングィ「ほらね」
ロウ「…」
もう、駄目なの…!?
ど、どうしよう…!!
イグザス「誰だが知らねぇがお前もこっちに来いよ」
エクスタ「楽になれるよ」
ロウ「い、嫌…!!!」
2人はもう僕の知ってる友達じゃない!!
そう思っていたら逃げようとしていた!!
ロウ「はぁ…、はぁ…!!!」
元いた階段まで引き上げようとする!
後ろを振り返らない!!
僕は無我夢中で上がり続けた!!!
ロウ「はっ…、はっ…!!」
もうすぐ出口!赤い扉!!
希望を信じて扉を開けた。