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あタリはズレとおいてけぼりの小石 #1「あたりはずれ」

コツン、コツン
久しぶりにはいた革靴の踵が町の石畳をたたく、音
似つかわしくないその音をまとうことを避けるのは美意識が作用した当然の道理
そぐわないのは私? あの町?
コツン、コツンと靴の音は私をもノックする

コツン、コツン
ここはドアですか? あの町を歩く私
コツン、コツン
ここはドコですか? この街を歩む私

コツン、コツンと進んでいけば
コツン、コツンと刻まれる
ときが過ぎればすこしづつ、おぼろげになる目的地
そうか、それはちがったんだな
もっともっとの確からしさを探ってうなづく
コツン、コツンと刻まれるんだ
コツン、コツンと進んでいけば


靴音が、変わる
さあ、どっちのほうへ?

カシンカシンと、響くビル街
ズチャッズシャッと、溶ける山奥
それとも、フシュフシュ畳の上か
トットットッと、支える床か

経験は思い込みを洗浄して染め上げ、陽光に掲げてさらす圧倒的な力になりうる
踏んだ一歩は増えすぎてありりすぎるセリフを呼吸のように吐き出しつづける
『ミンナ チガッテ ミンナ イイ』
『ソダッタ バショ デ サキナサイ』
ああ、シンプルな言葉たちのあまりにも強大に暴れる力よ
愚かさゆえに翻弄される私は、いつだってすぐに溺れてしまう
潮流、奔流、目的のない「フカイ~」
不快なのか、深いのか、はたまた腐って怪しいのだろか
あぁたりない
はぁ、ずれているのかな


ふと、気づき


目の前に、小さな石ころ
コツン、コツン
ここはドコですか?
コツン、コツンと進んでいけば
コツン、コツンと刻まれるんだね



そうすることが当然だと、思った
そうすべきだと、知っていた

思い切り振りぬいて、キック!!


私は、小石を力の限り蹴り飛ばした!!



ぽーーーーん、ととんで、コツンコツンところがって
そうして、音もなく、止まった小石



その音を、あんまり心地よく思えなかったので
反対方向に、進むようにしてみたんだ
その日のことを、すごくよく、覚えていると
私の中の私は笑った


ねえ、だから君は泣いていないの?
私のアタリは私が決める、と
誇らしげに語った私の笑顔は限りなく美しくて
ああ、こんな風に生きれたらよかったんだねって、私のほうが泣いていた
ああ、たりない足りない
はみでてずれているんじゃないのって
そんなことばっかりで
そんなことばっかりで



3回まわって、ワン鳴きゃいいの?
それがわたしの、土地じゃなくても


ワンと鳴いたら,ハズレはきまりだ



コツン、コツンと進んでいけば
コツン、コツンと刻まれる

コツン、コツンと刻まれるんだよ
コツン、コツンと進んでいけば



あたりをつけていったはいいが
ハンパでズレてしまってばかり
生きる私の嘆きと祈りは
コツンコツンと刻まれた


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大事な大事ないもうと(偽)と突然始めたマガジンへの投稿#1です。
毎週、お題に沿ってなんか書きます。
この組み合わせだと散文誌が多くなると思いますが、
基本フリースタイルですが、あんましなんも決めてないので手探りです


次回のお題は「居酒屋」です。
がんばります。

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