シェア
巣から落ちたヒナを助けたかった。 雨が降っている。 その事実に気づいたのは、下駄箱で外の景色を見た時だ。 生憎、傘を忘れた私は正面玄関の庇の下で立ち往生していた。 街を見下ろす丘の上に建てられたうちの高校は、その余りに辺鄙な立地から駅どころかコンビニですら、かなり歩かないとたどり着けない。 このまま雨が止むのを待つしかないのだろうか。 今朝家を出るときは抜けるような晴天で、雨の気配なんて1ミリも感じなかった。 「今日雨降るってテレビで言ってたから持ってきなさいよ