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罪の気持ちよさについて

夏休みが終わり、大学生活の新学期に馴染めるようにと努めていたり、バイト探し、バイトのための必要書類や印鑑などを手に入れるために奔走していたら2週間終わっていましたね。忙殺されると気楽なんですけれどもストレスが溜まるんですね。私にとってはストレスの解消には自転車での外出がもってこいなのですが、私は週6で大学の授業があるので、残りの一日しか外出する日がないのですね。その日は日曜日で如何せん自然と人通りが多くて外出しにくいのです。とはいえ出かけたかったので10月13日に水元公園に行こうと思い至り、自転車を走らせました。
 
 なぜ水元公園を選んだのかというと、理由は大きく2つあって、1つ目は東京の千葉側に全く赴いたことがなかったということです。私は愛知から進学のために上京して5ヶ月しか経っていないので、行けていない範囲もまだまだあるんですね。こと千葉側においては浅草までしか行ったことがありませんでしたからね。2つ目は公園がとても広いということです。片道◯時間かけて公園が小さいとさみしいじゃないですか。そもそも休憩しないと私の足は棒になって倒れてしまうのでね。ということでGoogleマップで東京の公園を探して、様々目星をつけた中で白羽の矢が立ったのは此処というわけですね。
 
 自宅から水元公園までは片道約20km弱あるのですが、それほどの距離があるのですから道中に美しいものを沢山見つけましたよ。まずは田原町から浅草までの間の道ですね。浅草と上野に挟まれていながら人通りはとても少なくて、快適に走っていたら商店街に当たりまして、なんか小まつりのような催しがされていて、此処に住まいのある方々が商店街に押しかけて楽しそうに過ごしておりました。凄いですよねこんな都会に一軒家があるの。どういった価値観なのか気になります。続いて隅田川ですね。私は川が大好きで、特に広い川が好きなのですが、日光がよく水面に当たっていて照る様子がそうそう全てを語り得る姿ではなかったですね。次は東京スカイツリーですね。その日は近日稀に見る青天で、聳え立つそれがとても大きく見えました。道なりに真っ直ぐ進んで、荒川。荒川は私にとって2番目に好きな川で、行きでは走りませんでしたが自転車で走るのに丁度よい河川敷を有しているんですよ。また、水面に太陽が照るのはどの川もあるのですが、荒川は並の川よりも一層美しく、そして西側を電車が通り、東側を首都高の明かりが照らしていて尚美しくなるのも素敵なポイントです。まだまだ川を通過します、次は中川。中川は川幅に慎ましさがあることがチャームポイントですね。かわいい系よりも美人系と形容するのが正しい方向でしょう。この川は川幅が広すぎないのも良いのですが、橋も華美でなくて本当に淑女といった印象を受けました。この中川を超えたらもう水元公園まではずうっと住宅街になります。東京とは思えないような静まった地域でした。「静まった」というのは過疎地域にある"廃れた"ということでは決してなくて、地域住民の寝息が聞こえてくるんじゃないかと思えてくるような、生命の残滓ではなく生きている力を感じる街でした……。

 そうして到着した水元公園駐輪場。場所は噴水広場の南西のあたりです。Googleマップにはこの駐輪場が表示されないんですよね。もっと北側の駐車場めがけて北上している最中に見つけたのでそこに停めたという次第です。時刻は15時45分、既に帰り始めようとしている家族連れもいらっしゃいました。早速一通り公園を見渡して、公園の人口割合を表してみましょうか。全体を10とします。家族連れ6、カップル2、老夫婦1、お一人様のおっさんおばさんが1でした。やはり地域に根付いている大きな公園、世帯持ちが多かったですね。概ね予想通りといった感じです。またまた素敵なもの発表ドラゴンになりましょうか。まずは噴水広場にて、帰宅する家族。リアカーの中にバドミントンラケットやショベル、様々遊んだのだろう痕跡を載せた宝物を、親にいいところを見せようと懸命に押す7歳くらいの男子。素敵ですね。一万人が見て一万人が応援と保護者と郷愁の念を抱くでしょう。次は水元大橋。池に跨る平らな橋で、ところどころの赤錆も悪目立ちしないくらいに程よく、虫取り網を持った子供の手を繋ぎ、夫と妻の間に挟んで帰る何処かで見た気がする"あの"家族を見たことが印象に残っています。一通り南側を見た後、公園内をかなり北上してメタセコイヤの森に当たりました。森の中でテントを広げる方や、ベンチに座って「フォーカスゴールド数Ⅰ+A」をやる女子高生らしい方など各々楽しまれている様子でした。次は蓮のエリアを見に行こうとだだっ広い中央広場を縦断して、蓮の葉の群生を見ました。水生エリアの上にかかる水平な木の足場いいですよね。なんていうんですかねあれ。あそこからカエルやアメンボ、なんかめっちゃ高く聳え立つ蓮の葉などを見ました。蓮の葉って水に浮かんでいるイメージがあったんですけれどもあんなに高く葉をつけるものもあるんですね。東側から出て野鳥観察エリアに。白鳥が沢山いらっしゃいましたね。もう暗くなってきていたので、白鳥が尚更存在感を発揮していたように感じました。薄暗い森をずんずんと進み、森を抜けまして広場に戻ってきました。最後にせせらぎ広場で小川を見て満足しました。本当に私は水辺が好きで引き寄せられますね。ハリガネムシに寄生されていたりするんでしょうかね。気付けば園内の街灯でしか道を判別できず、カップルも良い雰囲気になり始めていたので本格的に帰ろうと思い、南下して自転車置き場に向かいました。素敵な公園でした…。翡翠園だけは行けなかったのでその季節になったらもう一度訪れてみたいと思いましたね。

 まだ家族連れの方もいらっしゃいましたし、散歩おじさんも徘徊していたのでこの街が寝る準備を始めるのはまだまだ遅いようです。この時に思った醜い感情に基づく自分語りを少し失礼しますね。私は人生でなんとか素敵な場所に行こうとして、この機会を逃すと一生東京に行けないと思って受験に臨むも、自分で自分を救うこともできず結局滑り止めの大学に落ち着いて、親の自費と慈悲とで、やっと辿り着けた場所から18時過ぎには帰らないといけないんです。彼らは19時でも20時でも何時でもこの街にいて、いつか家に帰って、また此処で生活を営む権利を得るのです。何も努力してないだろ、と決めつけることはただの私の傲りなので恥ずかしくて言えません。ただただ羨ましく思います。苦しめだとかこれ以上何も望むなとかそんな醜い嫉妬心もありますが、言いません。ただ、自身の運命が恵まれていると思う、俗に言えば、「俺は親ガチャ外れだわ」などと決して思わないようにしていただきたいです。貴方達が自身の境遇に憐憫の心を向けていると腹が立つので。一方、人に言ってばかりではいけません。私がこの地に18時過ぎまで居られたのは何故か。言わずもがな私が恵まれているからですね。育ちは大経済地域、豊田。親は共働き正社員で、大学進学についても理解があり、優秀な兄から何もかも搾取し、学生時代は優秀な友に囲まれて彼らの知恵と知識を貪り、頭が悪いのにも拘らず親の慈悲でこんなにも素敵な場所に送り出されているのです。(まぁ出世払いなんですが。)思うにこの人間は自身の運命を悲観し過ぎではないでしょうかね。被害者ぶるとも言うんですか、貴方は日本でトップレベルに恵まれているんですよ。羨ましく思う気持ちを捨ててほしい。ノビレス・オブリージュを実践してほしい。そんなことを帰る間に考えていました。

 気づいたら中川を超えて荒川の河川敷を走り終えて、隅田川を超えて西日暮里まで来ていました。帰りは行きと道を変えようと思ってたのですよ。行きみたいに大通りを通るのも良いけれど、細い道も使ってみようと。相変わらず帰り道は夜の気温のせいか、すぅっと胸のすくあの感じがやってくるんですね。頭がグラグラしてですね、発狂したくなるんですよ、以前ならね。なんかその日はたしかにすぅっとしたのですけれども、何故か自暴自棄な思いは決して現れなくて。あぁ、楽しかったなと、ただ、それだけ。思うにこの違いはバイトをし始めたことにあるのでしょう。罪って気持ちがいいんですよね。私で言えば、「恵まれた環境に生まれたのにも関わらずエゴで全て台無しにして、親に大金を出させて、私は何もしない」という罪。それが、「恵まれた環境に生まれた、エゴを出して失敗したけれどもお金を少しでも返そうとする最低限の人間」に成長したのですよ。人格面でようやく普通の人間になったということでしょうか。また、罪の気持ちよさを私は知っているので思うことですが、レ◯プって多分やってる側は凄く楽しいんでしょうね。そんな文明人の風上にも置けない人は胸糞悪すぎて死んで欲しいくらいですが。して、希死念慮とか何も湧かなくて、ようやく普通の感想を得られたなって嬉しかったです。それはそれとしてもう一度あれを味わいたいなぁと寂しくも思います。して人間というものは進むものであって、犯すものへと戻るのではなく、先程も書いたように恵まれた環境を活かして何か行動するべきなのです。「お金を納めようと働き始める」なんて当たり前なんですよ。私の恵まれた立場を用いて、優れた友を持つように他者に依るのではなく、私が何かを得なくてはならないのです。そんなことを思った不忍通り。
 
 家に帰りました。時刻は21時07分。総走行距離は42.6kmだそうです。寄り道も結構したので長めですね。足はパンパンですよ。これを書いている14日も左の股関節が痛くてですね、あまり普段運動しない人間がいきなり40km走るもんじゃないと思いましたね。次は何処に赴こうかなと考えています。候補としては井の頭恩賜公園と等々力渓谷公園があります。また公園に行けることを考えるだけで、大学の授業も多少は頑張れるってものですね。では。

    ご読了ありがとうございました。


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