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創作アルバイト募集1


■給与
日給:30,000円(特別手当あり、夜間割増有り)
※現金手渡し・作業終了後即日支給

■勤務地
白頭倉庫13号棟
住所:海川市倉里町3-8-12
※倉庫街の中でも使われていない区域に位置しています

■交通
最寄り駅:霞ノ駅(かすみのえき)から徒歩20分
※倉里町行き送迎バスあり(利用者少数)

■時間
23:00〜翌5:00
※作業が早く終われば早上がり可能(給与は変動なし)

■業務内容
・倉庫内の不明物資の仕分けおよび運搬
・破棄された設備の点検および簡単な修繕作業
・一部、封印された部屋の監視(指示があるまで絶対に触れないでください)


■待遇
・交通費全額支給
・送迎バス利用可能
・作業用具(懐中電灯、手袋、簡易作業服)貸与
・休憩時に軽食と温かい飲み物提供
・深夜手当および特別手当支給


■採用対象者
・20歳以上(深夜業務のため)
・体力に自信があり、夜間の作業に対応できる方
・細かい指示に従える方
・未経験者可、特殊な経験・資格は不要
・長時間の静かな環境で集中して働ける方


■注意事項
・作業中に不審な物音や気配があっても、黙々と業務に集中してください
・特定のエリアには危険な設備が残っているため、立ち入りは禁止されています
・業務中に何か奇妙な出来事が発生しても、絶対に独断で調査せず、速やかに担当者へ報告してください
・終了後は速やかに退出し、現場に滞在することは厳禁です
・倉庫内には防犯カメラがないため、特に慎重に行動してください




20代男性の体験談

3年前の冬、俺はあの倉庫のバイトに手を出した。白頭倉庫13号棟、霞ノ駅から歩いて20分、誰も寄り付かない場所だ。大学の学費を稼ぐため、深夜で日給3万という高給に飛びついたのが間違いだった。

夜の11時に倉庫に着いた時、すでに寒さが骨身に染みた。倉庫は古びて、何年も放置されたような雰囲気だった。すぐに「不明物資の仕分け」という作業に取りかかるよう指示された。内容は至って普通。段ボールや梱包された荷物を開け、指示通りに整理するだけだ。しかし、始めてすぐに異変に気づいた。箱の中身が、ただの荷物ではなかったのだ。古い写真、使用済みの道具、錆びた鎖…。誰が何のためにこんなものをここに置いているのか、全く見当がつかなかった。

深夜1時頃、作業をしていた最中に、倉庫の奥から小さな物音が聞こえた。普通なら気にしないが、その日は違った。かすかに聞こえる音は、どこか生き物の気配を感じさせた。頭の中では「詮索するな」という注意事項がリピートされる。しかし、好奇心が勝ってしまったのだ。音がした方へ向かうと、封印された部屋が目に入った。ドアの前には、錆びたチェーンが掛かっていたはずだが、開いていたんだ。まるで「入れ」と言わんばかりに。

俺は手が勝手に動いた。ドアノブに触れると冷たさが伝わり、奥に広がる暗闇が俺を引きずり込もうとする感覚があった。その瞬間、誰かが後ろにいる気配を感じた。振り向くと誰もいない。だが、確かに息遣いが耳元で聞こえたんだ。

その後の記憶は曖昧だ。気が付いた時には、床に倒れていた。時計を見ると朝5時。バイトが終わる時間だった。慌てて立ち上がり、手元を確認すると右腕がしびれて動かなかった。後から病院に行ったら、神経が傷ついていると診断された。理由は不明のままだ。

精神的にも限界だった。倉庫の中で聞いた声や見えない気配が、今も頭の中に居座っている。毎晩、同じ夢を見る。あの部屋のドアが開き、誰かがこちらを見ている。顔は見えないが、視線は感じる。逃げようとするが体が動かない。そして、夢の中で声が聞こえるんだ。「まだ終わっていない」と。

このバイトを辞めた後も、生活は一変した。夜に眠れなくなり、昼間も倦怠感が続く。何より、右腕のしびれが治らないんだ。病院では原因不明と言われ、薬も効かない。それだけじゃない。どこにいても、あの倉庫の気配が俺を追いかけてくるような感覚が消えないんだ。人混みの中でも、一人でいる時でも、常に誰かが背後にいる気がして仕方ない。

白頭倉庫13号棟。あそこに入ってはいけない場所だったんだ。何があるのか、何が俺たちを待っているのか、知るべきではなかった。でも、もう遅い。あの時ドアを開けてしまった俺には、戻る道なんてない。あの場所に何が眠っているのか、答えはもう聞きたくない。だけど、もう遅すぎるんだ。俺の右腕と共に、その記憶は俺の中に染みついてしまったんだ。

傷病:重度の不眠症、右腕の神経痛、精神的な錯乱


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