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あの、すみません、ロジカルコミュニケーションって、後からでも買い足しできますか?

今日は、ビジネススキルとしてよく耳にするものの一つ「ロジカルコミュニケーション」について考えてみたいと思います。
分かりやすく伝える話し方のテクニックであり、論理的な話し方をすることで、相手に分かりやすく伝えるスキルというやつですね。
論理的な話し方できる人、憧れます!🤩
周りからも信頼され、成果にもつながり、まさに「しごでき」な人には必要不可欠な能力。
ではでは、早速何か書籍を買ったり、セミナーに申し込んだりして、行動してみましょう!

…しかし、ちょっと待ってください。

ここまでで共感いただけた方がいらっしゃれば、いったん冷静になって考えてみてください。
私・貴方は本当に「ロジカルコミュニケーション」というスキルが必要なのでしょうか?
本当にロジカルコミュニケーションができていないのでしょうか?

ʕ. ᴥ .ʔ 何がしたいんだっけ?

ロジカルコミュニケーションを実現するには、よく次のようなことが重要とされます。
 ・主観を排除し、具体例やデータをなど客観的事実を使って伝える。
 ・端的に伝える。
 ・結論から話す。

また、外部セミナーやコンサルさんの実施する社内研修などでは、ロジカルな思考をするために「フレームワーク」を使用したり、下準備の仕方をシミュレートしてみたり、「ディベート」を取り入れて実践訓練をしてみたり、というのが多いかと思います。

まず、ここで考えるべきは、ロジカルコミュニケーションを習得したいと思ったということは、今時点これができていないと自覚しているわけですが、それは例えば上記の中で言うと、どの部分でしょうか?

かくいう私も、書籍やコンサルさんから、こうした内容を学び、知識として取り込んだ時は「おー、なるほど!」と、何か賢くなれた気がしました。
そして、仕事の場でも意識するようにして、実践を心がけていたのですが…
結果的には、目に見えた成果は実感できず、気づけば、意識はしているのに、できていない人…という感覚だけが強まっていました。
そして、先ほどの問いに戻ってきたのです。
「あれ?そもそも何ができていなくて、何を改善したらできるようになるんだっけ?」と。

ʕ ·ᴥ·ʔ のっぽとチビ

私の場合、この問いに対する一つの答えを感じたのは、あるプロジェクトで一緒になった上役(プロデューサー)の方の仕事を見た時でした。
圧倒的に判断が早く、各部門への指示が的確で、下からあがってくるエスカレーションや現場でスタックしている問題点の種を、片っ端からバサバサ切り倒していくイメージの仕事ぶりでした。
…というか正直、全体会議等でその方の指示を受けると、皆そのあと残って認識再確認をしあって、「あー、なるほど、これがこうだから、こうなった時を見越してこうしておくのか」という感じでした。他のプロジェクトで割と「しごでき」感を出していたディレクタークラスの大の大人が、あーでもないこーでもないと謎解きをして、やっとプロデューサーの指示の意図と内容を理解し、最後全員しょんぼりして去っていく…というのが定例会の恒例風景となっていました。
将棋や囲碁なんかでもプロの対局を解説無しで見ると、何でそういう手になるのか全くわからない…そんな感覚です。

これが示唆していることは、事象を捉える視野の高さの違い、もしくは見ているレイヤーの深さの違いです。一部は地頭の違いなのでは…と思うところもあるのですが、前向きに捉えると、その仕事における経験値の差とも言えます。

ʕ ·ᴥ·ʔ そもそも

他の記事で、「論理は環境や前提条件(常識やトレンド)によって、変わるものでもあり得る」と記載しましたが、視点にしろレイヤーにしろ、見えている範囲が異なる場合、準じて前提となっている条件の範囲も違うと言うことになります。これではこちらがどんなにロジカルコミュニケーションを実践しているつもりでも相手方にはそうは捉えてもらえない場合も出てくるのです。

つまり、本来的にコミュニケーションは両方向の意思疎通があって初めて成立するので、共有する視野・レイヤーも同程度のものでないと、一方通行になってしまうということです。もちろん、そのために、下準備が重要というのもその通りですが、経験値の差(潜ってきた修羅場の数)に関しては、準備どうこうでそう簡単に埋まるものではありません。また、最終的にどこかでボロも出てきます。

ʕ´•ᴥ•`ʔ そこじゃないかも?

ロジカルコミュニケーションは、確かに相手に伝えるスキルかもしれませんが、これ単体で学んでもあまり効果はないかもしれません。
料理でいうところの調味料的な存在で、そもそも具材が足りていないのでは、どんなにレシピ通りに作っても目指す料理には到達しません。
ビジネスの場において言えば、現状自分の抱えている課題で何が足りていないのかを冷静に把握しておく必要があります。

仮に「君の言っていることは、何を言いたいのか分からない」とよく言われるということに課題を感じるならば、もしかすると、発話に主語が入っていなくて、論理的云々以前に、文法の問題かもしれません。
「言いたいことは分かるが、今回の戦略で重要なのはそういうことじゃないんだ」と言われることは、それは視野の差で、経験則が足りていないのかもしれません。もしくは、相手方の視点が低くて、こちらの捉えている問題点が相手には見えていないのかもしれません。
いずれも、ロジカルコミュニケーションだけでは解決されません。

本当は、現場で一緒になる先輩や上司をトレースし、社内で良しとされる思考の前提条件を取り入れていくこと、そして地道に従事している仕事での件数をこなしていくことが望ましいのでしょう。
はたまた外部コンサル等に客観的に現場に則して分析してもらい、ある程度統一性のある方向性で現場の視野を揃えていく、とか。(まぁ、これは経験上、社内やチームメンバーの心情・価値観は割愛されるので、大抵そこがボトルネックになって終わっていく傾向にありますが。。)

ʕ´•ᴥ•`ʔ ロジカルはマジカルじゃない

とは言え、中途採用で即戦力としての働きを求められる場合などは、こんな悠長なことも言っていられません。
だからこそ、安易に「ロジカルコミュニケーション」という万能スキルに飛びつきたくもなるのですが、まずもって、これは万能スキルではない…ということを知っておく必要がありそうです。むしろ、一周回って「強くしてニューゲーム」でも使いこなせないくらいの超高等技術かもしれません。

なんにせよ、自分を取り巻く環境、社内での役割、会社の価値観、会社の目指す方向性、上役の性質…まずはこの辺りを自分でよく分析し、生き残るために何が必要かを見定める訓練を日々するしかないのだと思います。
誰にでも適用できる万能習得方法がないから、これはスキルとして切り売りされていませんが、言葉悪く言えば、結局そういうものを根底にもっておかないと、後から購入できるスキルの良いカモにされることになりかねません。


ここまで読んでいただいた方、本当にありがとうございます!
コメントや質問があれば、ぜひぜひお寄せください!励みになります。
それでは、また次回!🐨

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