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2週間の国外逃亡にて。

夏旅行のきっかけ

結婚してから20年、ぼちぼち続けていることがある。
それは「夏旅行」である。
新婚旅行でギリシャに行ってからというもの、
1週間から10日の旅行は、その後の1年間を過ごすにあたって非常に有効な時間であることが認識された。
33歳まで日本から出たことのなかったジャパニーズがカルチャーショックを受けて変わるまでには大した時間など要らなかったのだ。
そして、3年目まではパリにツール・ド・フランスの最終日を観に行き、なんとなく旅行に慣れたところで、ツアーを使わずに旅程を組んでみようとなった。

旅行先の条件は
「日本人のいない海」
である。

そこで改めて2回目のギリシャでサントリーニ島に行き、時間に縛られない自由な時間をフルで使うことの楽しさを知ることになった。
そこからダン氏(旦那)のスイッチが入った。
どうやら現地の人の体格と自分を比較して、あまりにも負けていると感じたらしい。

「あいつらだけには負けねぇ」

……。ちょっとよく分からないが、それがきっかけでトレーニングを開始。
ただのデブから、当たれる器用なデブに変わってきた。
ちなみに目標は「ドウェイン・ジョンソン」らしい。
日本人ですらないのが若干気になるところだが、格好いいからまあいいか。
そして私にとっても、年間通してのこの期間がとても楽しみなものになったのはいうまでもない。

そして。今回。
コロナ禍の規制緩和が広がり、自由に行き来ができるようになったのを見計らい。
5年ぶり6度目のギリシャとなった。

一番迷ったのは、靴だった

羽田空港ゲート前で出発遅延待ち

今回は、2週間と例年よりも長丁場になったのは、5年ぶりなのもあったが
ダン氏の勤続30周年ということで、長く休みをもらえたとのことだった。
よっしゃ!行こう!(この時点で4月)
となってから、こっちがヒヤヒヤするくらいには直前まで動かない。
パスポートが切れているのに気づいたのは、7月。
飛行機の予約は最終的には10日前、ホテルの予約は1週間前。
実は、コロナ前の旅行で条件が付加されたのだ。

「ジムのついているホテルとプロテインの売っているお店がある、日本人のいない海」

「コロナですっかりサボり気味だったから。今回の合宿はペースを落としていこうと思う」

……。ちょっと何言ってるか分からないが。
2週間前にはアテネまで航空券を確保した様子だった。
私はといえば、その時点から準備を始めた。
始めたら始めたで、悩んだ。
島に行くなら海なんだから、サンダル一択だろう。
だが。ギリシャだ。
そんじょそこらの生やさしいビーチとは違う。
ホテルにプライベートビーチでもない限りは、山越えトレッキングした後にビーチに到着するのがデフォルトだ。
靴。間違いなく荷物になる。
ダン氏がトレーニングするというのなら、今回は一本歯下駄とコンプレフロスも持っていきたい。
すっかり毒されているが、2週間行くのだからいいだろう。

……。よし。いつものHPP履いていこう。
そう決めた。

だいぶ悩んだつもりだったが、文字にするとそうでもないな。
というか、むしろ楽しみになった。
HPPが、アテネの激坂と島のトレッキングにどれだけ耐え得るのか。
靴が決まれば、服装は必然的に決まる。
おかげで準備は楽勝だった。

HPPの凄さ

道なき道を征く先に

さて。ここからが本題(長いな)

ギリシャの西側。
イオニア諸島のザキントス島に到着したのは午前中。
ホテルのチェックインまで時間があったので、
ダン氏がここに行くと決めてからいきたいと言っていた侵入禁止の入江が見えるスポットに向かった。
中途半端な舗装をされたワインディングロードを1時間。
駐車場から、道なき道を登る。
ギリシャの日中は地面が自然発火するくらいの文字通りの炎天下。
日陰などという優しいものはない。
背の低い高山植物がちょびっとしか生えていない。
乾燥して崩れた山肌。削れた岩。
海からの風が吹くと、汗で濡れたシャツが冷えて時々気持ちいい。
汗をかいているのに肌がサラッとしている。
口の中がかわいてきた。ヤバい。脱水だ。
カバンの中の水はぬるま湯になっているが、背に腹は変えられん。

足元は、いつものHPP。
土埃で白っぽくなっているが凸凹道にキッチリ耐えている。
結構な岩道だが踏み込みやすい。
階段よりも坂道の方が歩きやすい感じがする。
気のせいか?

隣では瞬発系ダン氏がヒーヒー言っている。
「いやもう無理だって。やばいって」
何か言葉にしていないと進めない感じなので放っておく。←ヒデェ

語彙力を奪う、あお

なんとか到着して、圧倒される青に目を奪われ。
崖の端に寄ろうとしたら、高所恐怖症を発症したダン氏に必死に止められる。
見てる方は怖いか。そうか。確かにそうだな。
ほどほどにしておこう。

なんだかんだで(色々あったが割愛)ホテルに着き。
その時点で8000歩超。
普段よりも平均2000歩くらいは多い上に、アップダウンがあった。
朝には筋肉痛だなこりゃ。

と思ったが。
明くる朝。
……。おや?出てこない。
強いていえば、殿筋下部にだるさがあるくらい。
特にコンディショニングはしていない。
シャワーを浴びてご飯食べて洗濯して寝た。
歩き慣れないところを歩いた足の痛みもない。
足趾の赤みもなく、皮膚のエラーもない。
あるのは、寝る前にベッドのかどにぶつけたふくらはぎの青タンくらいだ。

どんなサーフェスにおいても、HPPによって体重移動がミッドフットに掛かりやすくなっていて足趾での効率的な蹴り出しができていた。
おかげで床反力を効果的に受け止められたことで状況に応じた姿勢保持が可能になった可能性が高い。

その証拠に、アテネ移動後に行ったアクロポリとリカビトスの丘を徒歩で登り、合計20,000歩以上の登坂の連続でも疲労は蓄積されず、
翌日油断して街中をサンダルで歩いた後、夜中に足趾が攣るとい憂き目にあった。

リカビトスの丘からアテネ市内

帰宅してから靴底を見たら、ヒールがまんまと削れていた。
流石に負荷が強過ぎたか。
HPPだからこれで済んだのか、HPP未装着の靴を履いていっていたらどうなっていたのかと考えると少々恐ろしい。

tetsuji-ya てつじさん(足環境研究所)にご報告

足趾を使うことの重要性。
普段の動きから変えていくことの効果。
真の「予防」とは。

そして20年前と変わらぬフットワークを叶えてくれたHPP。

考えさせられる事ばかりだ。
身体は、本当に健気にできている。

地球の重力に逆らって生きている以上は、
それをどのように効果的に使うかを、頭ではなく身体で捉えるようにできている。
日々使っている道具や身体を根本から見直すことの重要性を、靴が教えてくれた。

それを再認識させてくれたのは、てつじさんと足環境研究所の皆さんだ。
またひとつ、ワクワクが増えた。

…さあ。来年に向けてあとは働くだけだ。
頑張るぞー。

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