ネコ娘
タイトル:ネコ娘
俺は、ネコ娘と付き合いたかった。
でもこんなことを言えば、
2次元オタクなんて呼ばれ
敬遠されるところだろうが、妖怪はそうではない。
そう信じながら、ネコ娘と付き合いたかった。
昔からそれなりに妖怪の世界に魅了されてきた俺。
でも1人になるとちょっと怖いから、
それ以上は踏み込まなかったのだ。
でも人生それなりに生きてきて
ずっと孤独な状態にあれば、人間はもうイイから、
何か別の存在…自分を救い得るもの…
人間の代わり以上になれる存在を、
誰もが欲しがるのかもしれない。
いやおそらく特定の人たちだけだ、そうなるのは。
それが俺の場合は、妖怪だっただけのこと。
そして魅力と空虚と恋愛と
主義主観の矛先が向けられたのが、ネコ娘だった。
あの女、なかなかやる。
なかなか惚れにくい俺の心を、
すっかり射止めたんだから。
と思い続けていたら、
ある夜、ネコ娘が目の前にやってきたんだ。
「あ、あなた…ネコ娘さん…ですか…?」
娘「ニャ〜〜ゴォ〜!」
何を言っても返ってくる言葉はそれだけ。
あのゲゲゲの鬼太郎で見たネコ娘と全く違う。
第5期、6期になれば
かなりの美人に描かれていたネコ娘だったが、
実際来たのはこれ。これも全然違う。
それから心の中で会話をし始め、
俺たちは付き合うことになった。
しかしここからが大変だった。
ネコ娘と付き合うときには、とりあえず
必要なものを、先に揃えねばならないらしい。
これも彼女が心の中で教えてくれたこと。
キャットサークル、猫トイレ、猫砂、
食器、キャットフード、爪とぎ、歯ブラシ、
爪切り、キャットタワー、
毛布を敷き詰めた寝心地の良い寝床、
そして彼女の場合は
爪とぎ用のグッズとしてカーテンも必要だった。
俺はそれらを全部揃えてやったんだ。
そしてキャットフード。
標準価格のものから高級品まで、
彼女の好みに合わせて揃えてやった。
彼女の場合はチュールはそこそこで、
どちらかと言うと銀のスプーン・缶入りのマグロ味、
そして常食としていたのが
エリザベスキャットフード(サーモン味)、
あとロイヤルカナンと呼ばれる
金色のパッケージに入った高級食、
週に3日、夜9時に食べるおやつとして
ジャガーレーベルのキャットフード、
とりあえずこれだけが必要になる。
(昼間の買い物中)
「…まじかよ。財布ほとんど…」
必死に稼いだなけなしの金がどんどん飛んでゆく。
俺はとりあえず今自宅ワークをしていたから
貯金と合わせてもそんなに無い。
こんなに金が掛かるとは聞いてなかった。
でも、全部揃えてほとんど文なし状態のこの俺に、
更なる悲劇がやってきたのだ。
これは付き合いながら
なんとなく感づいていたことだが
彼女は、夜9時から9時半の間しかやって来ない。
そう言えば、はじめに交際を取り決めた時も
夜の9時過ぎだった。
その30分だけが彼女との交際の時間で、
あとは知らぬ存ぜぬ。
俺の知らないどっかへ飛んで行く。
彼女の甘えタイムがその夜の9時から
9時半までの間だったんだろう。
前に飼ってた俺の猫と同じだ。
しかし甘えタイムと言ったって、
彼女は何か食ってるか、
キャットタワーとかそんなんで遊んでいるだけ。
それを目の前にして、ただ眺めている俺。
親心を、ずっと決め込まされ続ける俺だった。
ただ、金が掛かってしょうがない。
メンテナンス費は尋常じゃない。
「…くそふざけるなよ…」
言ったってもう後の祭り。
彼女に取り憑かれると、逃げ道を無くしてしまう。
交際を決める時、1つだけ条件を言ってくるのだ。
もし別れようものなら、彼女は化け猫になり
引っ掻かれ続けた挙句、食われてしまう…
別の角度から、ネズミ男の気持ちがよくわかる。
それから俺は誰とも付き合う事なく、
ただ働き続け、
彼女との交際環境を整えるだけに尽力していた。
(夜)
娘「ニャ〜〜ゴォ〜!」
また来たようだ。
粗相の無いよう振る舞わなくては…
動画はこちら(^^♪
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