幸せですか?
タイトル:幸せですか?
▼登場人物
●湯芽似(ゆめに)カケル:男性。45歳。独身サラリーマン(リストラされて無職に)。
●須久石 真世(すくいし まよ):女性。40代。カケルの夢と欲望から生まれた生霊。
●ドクターと看護師:どちらも一般的なイメージでOKです。
▼場所設定
●カケルの自宅:都内にある一般的なアパートのイメージで。
●街中:総合病院など必要ならで一般的なイメージでOKです。
▼アイテム
●Employment in reality:真世がカケルに勧める特製のサプリドリンク。これを飲むと根気よく就活に励める様になる。
●Stability in dreams:真世がカケルに勧める特製のサプリドリンク。これを飲むと即座に夢が叶う。
NAは湯芽似(ゆめに)カケルでよろしくお願い致します。
イントロ〜
あなたは今、お金に困ってますか?生活に困窮しているでしょうか?
今の時代、リストラの時代と言われて久しく、
資本家だけが得をして幸せに生きられる時代。
お金持ちや特定の人達だけが満喫できる時代。
そんなものになっている節がどこかにないでしょうか。
今回は、そんなしがらみを延々受け続けた末、
ついに自分なりのパラダイスへ飛び込んだ、
或る男性にまつわる不思議なお話です。
メインシナリオ〜
ト書き〈自宅〉
カケル「もうだめだ…!もう終わった!」
俺の名前は湯芽似(ゆめに)カケル。
今年で45歳になる独身サラリーマン。
俺はまためでたくリストラに遭い無職になった。
これまで在宅ワークも散々してきてもう疲れ果てている。
もう働ける気力がない。もう詰んだ。
そんな思いで絶望の淵に立っていた。
すると玄関の呼び鈴が鳴った。
真世「こんにちは〜♪ちょっとイイですか?」
と勧誘セールスを生業としている女がやってきた。
そんな余裕こちとら全く無いって言うのに、
こういうのは日常連続してやってくるものだ。
彼女の名前は須久石 真世(すくいし まよ)さんと言った。
やっぱりセールスの人で、その時自分が持ってきた商品を俺に売りつけようとしてきた。
「もう良いですから帰って下さい」と言ってもなかなかしつこい。帰ってくれない。
でも喋っている内に段々不思議な気になってきた。
彼女が何となく昔から一緒に居た人のように思えてきて、
そのせいか心も開放的になってしまい、つい彼女を部屋に上げてしまった。
そしてもう1つの不思議は、その彼女に対し、恋愛感情がまるで湧かない事。
つまりその気になれないと言う事で、やってきた彼女をどうにかしてやろう…なんて男特有の思惑には一切駆られなかった。
それより自分の理解者になってほしい…と思わされた末、
今のこの悩みをどうでも解決してほしい…!とその気にさせられる。
真世「なるほど、お金に困ってるんですね?仕事も無いからと。でしたらこちらの商品をお勧めしますよ?」
と言って彼女は持っていたバッグの中から
1本の栄養ドリンクのようなものを取り出し、
それを俺に勧めて更にこう言ってくる。
真世「これは『Employment in reality』と言う特製のサプリメントドリンクでして、就活に対する覇気を湧かせてくれる上、心が鷹揚になる効果を秘めています。あ、それとこちらもどうぞ♪こちらは一般に配られている就職用のパンフレットです」
何を言い出すのかと思ったらそんな事。
パンフレットを見た瞬間、拒絶反応が起きてしまい…
カケル「はっwそんなこと今まで散々やってきましたよ。就活に走り回って実際就職して、その挙句に今のこのザマなんです。そんなもん繰り返しにしかならないでしょうw」
もはや俺は就職を諦めていたのかもしれない。
どこへ行ったって所詮は期限付き。絶対辞めさせられる。
何やかや理由をつけて、雇用主は結局自分の事しか考えてない。
社会に揉まれてそれがよく分かっていた俺には、
彼女の言ってる事が全く魅力に感じなかった。
彼女はそれでも暫くその2つを勧めてきたが、俺は一向に折れなかった。
真世「ふぅ、仕方ありませんね。それでは、こちらはどうですか?」
と言ってまたバッグの中から1本のドリンクを取り出し、それを俺に勧めてこう言ってきた。
真世「こちらは『Stability in dreams』と言って、先程のサプリメントドリンクと同じ種類にはなりますが、その効果は全く違います」
真世「これを飲んだ瞬間からあなたは人生の成功者になり、あなたがこれまで夢に描いてきた全ての理想が叶い、必ず自分の人生に満足する事になるでしょう。いかがです?試してみられますか?」
無料で差し上げると言う。それに惹かれながらも
俺はこの時もう1つの彼女の魅力を知った。
それは他の人にそう言われたって絶対信じない事でも
彼女に言われるとなぜかその気にさせられ信じてしまう。
最後に彼女はもう1度『Employment in reality』の方を勧めて来たが、
やはり俺はそれを断固拒否してしまい、2つ目に渡されたそのサプリドリンク、
『Stability in dreams』の方に並ならぬ魅力を感じてしまい、
そちらを手に取って一気に飲み干していた。
真世「やはりこちらを選ばれましたか。まぁ分かってましたけど…」
変な言い方をするなぁ…なんて思いながらも
彼女は俺がそれを飲んだのを見届けた後、すんなり帰って行った。
一体何の為に来たのかよく分からなかったが、
その後の俺の人生は本当に変わったのだ。
ト書き〈数日後〉
それからわずか数日後。いつもの会社帰りに俺は軽い事故に遭ってしまった。
カケル「痛ツツ〜!」
車に軽くハネられてしまい、俺は道端に転んだ。
運転手はすぐに降りてきて土下座して俺に謝り、
その時なぜか持っていた大金を俺に手渡し、
「これで許して下さい」と示談に持ち込んだ上、
早々に走り去ってしまった。
でも本当に大した事なく、擦り傷程度だったから俺は許し、
それどころかたったこれだけの事でこんな大金を貰えるとは…
と言うそっちの嬉しさと驚きの方が大きく「ラッキー」なんて思っていた程。
ト書き〈大金持ちに〉
そしてもっとラッキーな事がその後に訪れたのだ。
なんと、いつものように夢を買う感覚で買っていた宝くじが当たったのだ。
カケル「…ウソだろ、これ…。ウハハ…ハハハw」
俺は一気に億万長者。この歳にしてとりあえず理想に描いた余生を思えば、
今手にしているこの大金を持って生活の全てを賄えるかもしれない…そこまで思える億万長者に。
そして俺は長年住んできた安アパートから豪邸に引っ越して、今でも優雅に生活しているのである。
ト書き〈総合病院〉
ドクター「ふむ、今は落ち着いてるな。何か変化があればすぐ連絡するように」
看護師「分かりました」
(ベッドに寝てるカケルを少し遠目に見ながら)
真世「楽しい夢を見ているようね。あなたが軽い事故だと思って居たあの事故は実は大事故だった。その時点であなたは夢に入り込み、それから見た自分にまつわる出来事はみんなその夢の中で起きた事。そして回復する事はもうなく、ずっと昏睡のままで余生を終える。それも全ては夢の為。そうなるように調合しておいたのよ、あのサプリメントでね」
真世「私はカケルの夢と欲望から生まれた生霊。その理想を叶える為だけに現れた。カケルはもうこの現実での就職を諦めていた。幾ら働いても同じ事だと自分の中で勝手に決めて、働く喜びさえ放棄していた」
真世「だから本当の夢の中での生活を選んだのよね?延命治療が施されている間あなたはずっと生き長らえる事ができる。それを余生にして、あなたはその夢の中で幸せを掴むのよ。あなたが選んだ道の究極がこれだったんだから」
動画はこちら(^^♪
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