二次限界
タイトル:二次限界
イントロ〜
あなたは、テレビゲームや映画やドラマ、アニメやコミック、
そんな二次元が大好きですか?
しかしあまり好き過ぎては、現実から足場を失い、
見たことも無い世界に舞い込むこともあるようです。
メインシナリオ〜
ト書き〈自宅でゲーム〉
俺の名前は煮寺宅男(にじ たくお)。
今年で30歳になる独身サラリーマン。
いや、サラリーマンじゃなかった。
いわゆるサラリーマンじゃなく、俺の仕事は自宅ワーク。
一応少なからず報酬はもらっているから、
サラリーマンと呼んでみたまで。
こんな俺の趣味はゲームと映画とドラマとコミック。
それがなければ生きていけないと言うほど、
俺の人生は半ばそれに侵食されていた。
しかし人の世界の物事にはすべて限りがあるもの。
「はぁ。…なーんか、全部、飽きて来ちゃったな…」
となったのは、もう数年前の事だった。
ト書き〈カクテルバー〉
そんなある日、なけなしの金を持ち、
俺は最寄りの居酒屋へ飲みに行こうとした。
でも行ってみると全く見たことのない
カクテルバーがあったので、そこに入った。
なぜここに入ったのかわからない。妙に落ち着いたからか。
していると、1人の女がやってきた。
彼女の名前は草場(くさば)ヒトミさん。
都内でライフヒーラーの仕事をしていたようで、それなりの雰囲気があった。
でもそれと同時に不思議な感覚。
「昔どこかでいちど会った事のある人?」
のような気がして、その点で心が安らいだ。
そのせいか俺は悩みを打ち明けたくなり、
その時の心を全部、彼女に喋っていた。
ヒトミ「そうでしたか。趣味が尽きそうになってて、生き甲斐も何も見失いかけてると?」
宅男「ええ、まぁ」
それは「身近に面白いものがないから」と彼女は言った。そして…
ヒトミ「ではこちらをどうぞ?無料で差し上げますよ。あなたにとって、きっと面白いゲームになるでしょう。それとこちらも。こちらの映画はきっとあなたの心を満たしてくれます」
ゲームと、DVDの映画を1本ずつくれた。
その時気づいたが、彼女に対してはなぜだか
恋愛感情と言うものが全く湧かない。
ト書き〈自宅〉
そして俺はその2つを持ち帰り、楽しんでみた。
めちゃくちゃ面白く、興味を惹かれた。
ゲームはリアルクエストのようなもので、
Googleマップのストリートビューを冒険しながら、
まさに現実でのゲームを楽しめる。
他人の家に勝手に入ったり、気になる女をヤッたり、
街行く人たちを気ままに葬ってみたり…。
ゲームの中にそれなりの武器が用意されていて、
そういうことが本当に容易くできてしまう。
そして映画はその時の俺の興味を満たすものに
順次変わっていくようで、1本の映画ながら、
見るたびにその内容が変わり、また不思議と
現実では有り得ないその変化に心を留めなかった。
この時からもう、俺は何かに取り憑かれていたのだろうか?
ト書き〈公園〉
そしてある日、俺が最寄りの公園で気晴らししていると、
あのバーで会ったヒトミさんが偶然そこを通り掛かり、
俺の元へやってきてまた談笑していた。
そのとき彼女は少し気になることを言った。
ヒトミ「あのゲームと映画、できればそんなにのめり込まないようにしてください」
ヒトミ「お勧めしといてこんな事を言うのもなんですが、あの2つはのめり込むと少し危険なのです」
「え?」と思いながら聞いていくと、どうやらのめり込むことにより
現実を見失い、人生が侵食されてしまう…と言うような
有り得ない事をこのとき彼女は言ったのだ。
宅男「そんなw有り得ないですよそんな事」
俺はずっと軽く聞き流していた。
でも彼女は軽く聞き流さないようにと念を押した。
ト書き〈オチ〉
それから後日。俺は変わらずあのゲームと映画にのめり込んでいた。
この現実を忘れるほどのめり込んだ時、どうやら、彼女が俺の後ろに居たようだ。
ヒトミ「ふぅ、やっぱりこうなっちゃったか。まるで貞子の逆バージョンね」
俺の体は上半身がテレビ画面に飲み込まれ、下半身だけが外に出ていた。
これがパソコンでも、おそらく同じ事になっていたろう。
映画とゲームの違い。それはさほど大したものじゃないかもしれない。
ヒトミ「人の命を司る大事な部分は、全部、上半身にある。その下半身だけが現実にあっても、その人は生きてることにならない」
ヒトミ「頭脳や生(せい)の鼓動は映画やゲームの世界に置き去って、まるで現実では、その架空の世界に生きる判断力や感覚、価値観をもって歩き回り走り回る」
ヒトミ「こんな宅男のようになって居る人、結構、現実に多いんじゃないかしら。私は彼の夢と欲望から生まれた生霊。その夢を叶えてあげたわ。こんな形でね…」
動画はこちら(^^♪
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