見出し画像

~寝室(ねむろ)の初春(はる)から~『夢時代』より冒頭抜粋

~寝室(ねむろ)の初春(はる)から~
 現(うつつ)に見詰めた気楼と自然(あるじ)が精神(こころ)に認(みと)めた活性を識(し)る…。文言(ことば)と織り成す「未春(みしゅん)の残花(ざんか)」は、独創(こごと)に織り成す興味の一種で、花々(はなばな)・白々(しらじら)…、燃える月日を苦手で失い夜半(よわ)の孤独を充分識(し)った。暑い四季(きせつ)の幼春(ようしゅん)だった。一女(おんな)の精華(はな)から気色が生え貫(ぬ)く幻(ゆめ)の一夜(とばり)は安らかでもあり、〝恋〟の小言に御緒慕(おちょぼ)を見抜ける伽藍の様子は明らかだった。一男(おとこ)の叱咤が女性(おんな)を竦ます幻覚(ゆめ)の展開(ながれ)は安堵を運び、夜半(よわ)の〝小人〟を模範に呈(しめ)せる孤高に白けた精華(はな)の鈍気(ムード)は、夜半(よわ)の辺りに華々(はなばな)咲き生く未亡の微温間(ぬるま)を鮮やかにもする…。虚空の様子を幻想(ゆめ)に報せる男・女(だんじょ)の疲れは神秘(ふしぎ)を識(し)らずに、無垢の小躍(おどり)を延々続ける素人混じりの群様(ぐんよう)等には、温厚(あつ)い千夜(とばり)に事始(こと)を掠める幻(ゆめ)の末路を根深く延(ひ)いた…。過去の幻夢(ゆめ)から一通(とおり)を賑わす幻(ゆめ)の宙(そら)には葛藤さえ在り、自ず知り生く精神(こころ)の共鳴(さけび)は模写を忘れて時雨に発(た)った…。独創(こごと)の概(おお)きを女性(おんな)へ見立てる一男(おとこ)の様子は伽藍を識(し)り貫(ぬ)き、脆(よわ)い心理を徒党に合せる旧い〝水面(みなも)〟は揺ら揺らして居て、五月蠅(あわ)い日下(ふもと)に幸先(さき)を識(し)るのは「孤独の信仰(めいろ)の迷走」だった。…女性(おんな)の神秘が男性(おとこ)を産むうち軟い教授が底儚く成り、孤独を忘れた漆黒(くろ)い宙(そら)では一女(おんな)の身重が伽藍々(がらがら)堕ちた。
 闘う側(そば)から幻覚(ゆめ)が暗転(ころ)がる旧(ふる)びた信仰(めいろ)が人間(ひと)を跳び越え、旧(むかし)の信仰(めいろ)に逡巡して生く孤独の雀躍(ダンス)は軽快から成る…。謳う小鳥が宙(ちゅう)へ燃え立ち、手厚(あつ)い守りは天から成った。気球の体(てい)して孤独に流れる宙(そら)へ観え生く「孤独の守り」は、一人(ひと)の両腕(かいな)を幻想(ゆめ)に着かせる〝模様〟を拭き取る人面(じんめん)にも発(た)ち、迷い走らせ生気を彩(と)るのは、夢の無活(むかつ)の乞食であった…。涼風(かぜ)が吹くのは五月(ごがつ)の晴れ間で、幻想(ゆめ)に栄える無人を呈する。孤独の晴れ場は四季(きせつ)の盛(さか)りで、私欲(よく)を忘れて独創(こごと)を描(か)いた…。「無人の眼(め)」をした独創達には暗黙(やみ)の静寂(しじま)が安泰して居り、一女(おんな)の一体(からだ)を華奢に魅せ生く孤奏(こそう)の集成(シグマ)を既視(おおめ)に観て居り、一人(ひと)の精華と人間(ひと)の成果は鈍(くも)りに撒かれて貪欲だった。無想の〝哀れ〟が枯渇を識(し)るうち無為の孕みが概(おお)きく割かれて、幻想(ゆめ)の盛(さか)りに膨張して生く〝個室の傘下〟は〝夜目(よめ)〟を得る儘、俺と隣人(ひと)との気後ればかりを、幻覚(ゆめ)の調子に気安く挙げた…。幻覚(ゆめ)に連なる児(こども)の概(おお)くが宙(そら)を見忘れ〝地引き〟を編み出し、無己(おのれ)の進化を夜半(よわ)に酔狂(くる)わす自体(おのれのからだ)を未完(みじゅく)に採っては、厚い展開(ながれ)を孤独に培う「夢見顔(ゆめみがお)した残骸(むくろ)」を識(し)った。
      *
 それほど好きでない娘と付き合う夢を見た。立場は馴染で拗(むく)れた女で、容姿は、少々不良っぽい図書館司書の娘、途中で眼鏡を掛けた器量悪(きりょうあ)しの娘に似て居た事も在った。何か、結婚前提に付き合う事に成って居た。
      *
 苦闘に佇む独人(ひとり)の「勇者」が〝孤独…〟を連れ添い泡沫(うたかた)から消え、分厚(あつ)い空壁(かべ)から巨躯を見出す旧(むかし)の八頭(おろち)をすんなり識(し)った。苦闘に紛れる翌朝(あさ)の身元は無暗(むやみ)に近付く孤独を観た儘、白亜(しろ)い行儀を暗黙(やみ)に手向ける一人(ひと)の自覚(かくご)を揚々識(し)った。過酷な域から小宙(そら)が仕上がる孤独の愛露(エロス)は五体を識(し)りつつ、孤高に紛れた旧(むかし)の寝屋からすんなり上がれる気楼を保(も)った。幻想(ゆめ)の進理(しんり)を両眼(まなこ)に宿して一女(おんな)の気色を陰府(よみ)に知る内、孤独と無刻(むこく)が幻(ゆめ)に塗(まみ)れる死闘の小敗地(アジト)を繰り越し観ながら、幻(ゆめ)に歪曲(まが)れる〝四季(きせつ)の外れ〟は文言(ことば)の不定(スリル)を満喫して居る…。孤独に打たれる宙(そら)の高嶺は幻(ゆめ)の限度(かぎり)に程好く擦(す)れ落ち、未刻(とき)に煩う嗣業の成果(かなた)へ文言(ことば)を追い込む身振りを観(み)せつつ、柔い三日月(つき)から〝影法師(かげほうし)〟を見る精神(こころ)の揺らぎは概(おお)きく成った…。確実から成る不当を呈した甘い連日(ドラマ)は、幻(ゆめ)の美園(その)から固陋を覗ける夜目(よめ)の気色を逆さに観た儘、踏ん切り付かず無垢の空気(しとね)を暗黙(やみ)へ寝かせて落ち着く両眼(まなこ)は、孤独を呈した紅(あか)い宙(そら)から幾つも安転(ころ)がす振り出しを観た…。苦労を識(し)らない旧(むかし)の既憶(きおく)は孤踏(ことう)の一幻(ゆめ)へと躰を割かせず、精神(こころ)の何処(どこ)へも端正(きれい)に咲けない固い生気の寝屋の外(そと)では、男性(おとこ)を呼びつつ一女(おんな)を放(ほ)かせる気楼の同調(シンパ)に〝絶対〟すら見た。文言(ことば)の並びに人間(ひと)が綻び、夜半(よわ)の人陰(かげ)から残骸(むくろ)が跳ぶのは、幻覚(ゆめ)の精気に〝思考〟が名高い未空(みくう)の空気(くうき)の余韻(あまり)であった。白亜(しろ)い活気に追々追い付く孤高の従者は精神(こころ)を忘れて、俺の側(そば)から遠路に活き着く遥か旧(むかし)の外界等には、脆(よわ)い晴嵐(あらし)の〝回天〟から観て、無傷の肢体(からだ)へ元気を識(し)った…。幻覚(ゆめ)の自覚(かくご)に精気を盛(も)り出し孤高の根城に小敗地(アジト)を観るのは、紺(あお)い吐息(いき)から〝思考〟が逆上(のぼ)れる幻(ゆめ)の八頭(おろち)の虐待だった…。一女(おんな)の仕様に呼吸を合せる孤独の肢体(からだ)は煩悩(なやみ)を忘れて、神秘(ふしぎ)の美園(その)から宙(そら)を見上げる佳境の生気を大袈裟にもした。一幻(ゆめ)に小躍(おど)れる旧い空間(すきま)を未活(みかつ)の勇気に作業した儘、男性(おとこ)と一女(おんな)の孤独の末路は健気の信仰(めいろ)を行進して居る…。孤独を覗ける分厚(あつ)い信仰(めいろ)は暗黙(やみ)の許容(うち)へと後退した儘、気後れして生く不活の進理(しんり)を真っ向から見て逆上(のぼ)せて在った。奇特の彼との真っ向勝負が空壁(かべ)を射抜ける血身泥(ちみどろ)さえ識(し)り、孤高の主宴(うたげ)を黄泉へ保(も)ち生く幻(ゆめ)の孤独を温味(ぬくみ)に観るのは、俺の生身(すべて)を愛し尽(き)れない俗世(このよ)の女性(おんな)の無様であった…。急に途絶える女性(おんな)の連絡(あと)から俗世(このよ)に幻見(ゆめみ)る通路を欲張り、暗黙(やみ)の成果(かなた)へ気候を欲張る旧い繋ぎを審理に知った。文句(ことば)の陰府(よみ)から気楼を知るのが俗世(このよ)の律儀と相対(そうたい)しながら、幻想(ゆめ)へ活き尽(き)る無謀の刹那が〝未活〟に蠢く小春(こはる)を識(そ)った…。幻(ゆめ)の独創(こごと)を余所へ遣るまま無音の自然(あるじ)を凡庸(ふつう)に観て活き、心の肢体(からだ)が四肢(てあし)を拡げる未想(みそう)の遊離を分離と見る内、孤独に対する脆(よわ)い自覚(かくご)は未知に赴き心理を載せつつ、旧い〝四肢(てあし)〟を真向きに酔わせる不装(ふそう)の自覚(かくご)を交互に識(し)った…。孤高に見積もる「増える地道」に無己(おのれ)の自覚(かくご)が不穏を知りつつ、無闇矢鱈の気性の晴嵐(あらし)は呆(ぼ)んやりしたまま八頭(おろち)を抱(だ)いた。孤独の霞が幻想(ゆめ)を問ううち未空(みくう)の自覚(かくご)はげんなりして活き、幻(ゆめ)の寝室(ねむろ)が轟々唸れる「呼気(こき)」を射止める萎びた信仰(めいろ)は、明日(あす)の〝旧巣(ふるす)〟へ空間(すきま)を観て生く孤独の無覚(かくご)の表れだった…。胸面(むなも)を透せる淡い信仰(めいろ)が陰府(よみ)の独理(ドグマ)を暗用(あんよう)しながら、時計の針から未完(みじゅく)が流行(なが)れる旧(ふる)びた宙(そら)へとその実(み)を掲げて、拙い機会(チャンス)を揚々活かせる神秘(ふしぎ)の過憶(かおく)を不純にするのは、幼い独信(ドグマ)を孤高に捉える未活の一歩の始まりだった。幻想(ゆめ)に被(かぶ)さる〝哀れな独理(ドグマ)〟は無想に活き生く肢体(からだ)を相(あい)して、無刻(とき)と現行(いま)との僅かな空間(すきま)を延々愛する無心を観る儘、神秘(ふしぎ)に掌(て)を置く夜半(よわ)に按じた〝旧巣(ふるす)〟の愛撫は、孤独の貴人(ひと)から二重(ふたえ)に浮かれる気楼の神秘(しんぴ)を夢中にして居た…。
 孤独の自然(あるじ)を自覚(じかく)に受け付け幻(ゆめ)の独走(はしり)に恋をするのは、無己(おのれ)の側(そば)から見様(みよう)に近付く旧い勇気の残骸ばかりで、明日(あす)の夜半(よわ)から旧茂(ふるも)を生育(そだ)てる枯渇の栄華をその掌(て)に観るのは、無己(おのれ)の華から葦が零れる幻(ゆめ)の展開(ながれ)の脆味(よわみ)であった。孤独の脆味(よわみ)に無己(おのれ)が発(た)つうち孤独の描写は延々拡がり、透明色した無解(むかい)の道理は矛盾に活き尽(き)る幻想(ゆめ)を切り出し、温厚(あつ)い宙(そら)から創造するのは精神(こころ)の労苦の安歩(あんぽ)であった。幻覚(ゆめ)の吐息に真白(しろ)い四季(きせつ)が揚々照り付け従順(すなお)を介して、一幻(ゆめ)の一通(とおり)に雀が活き尽(き)る萎びた優美(ゆうび)の無乱(ぶらん)の人陰(かげ)には、邪(よこしま)ばかりが純行(じゅんこう)して生く安い上手(うわて)の集成(シグマ)が在った。萌える日(ひ)の粉(こ)を人界(かぎり)に観たまま無性(むしょう)に凍える精神(こころ)の所以(ありか)は、逆鏡(かがみ)に映した〝真綿の八頭(おろち)〟にとことん喰われて衰弱して生く…。
      *
 …眼鏡を掛けた器量悪(きりょうあ)しの娘に似て居る、その不良娘と付き合う事に成ってから、俺は何処(どこ)か大阪(?)の暗いアパートで、一人暮らしをし始めて居た。俺の父母がそこに何度か来た気もする。そこへ頭の禿げ掛かった国立大学出身の初老の親父が遣って来て、俺が態と、ほんの二、三回咳をしただけで、肺癌の可能性をしつこく言って来て、全くその事実は無いのに、親父だけが一人ほくほく繰り返し喋って居た。本当、しつこかった。
      *

いいなと思ったら応援しよう!