~無音に安まる孤録(ころく)と自主(あるじ)~『夢時代』冒頭より
~無音に安まる孤録(ころく)と自主(あるじ)~
…無刻(むこく)の動作と欲の翳りは人山(やま)の目下(ふもと)を自然(あるじ)に設け、非道く片付く美声(こえ)の行方はあの暗間(やみま)の行為を採った…。過去(むかし)の生憶(きおく)は暗間(やみま)を求め、幻(ゆめ)の卑屈と孤独の究(もと)めは不意に宿れる講和を保(も)った…。
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…俺は母親の介護をまるで父親に代わってしていたようだ。母親は変わらず右麻痺のまま、俺と父親と一緒に田舎へ出掛けていたようだ。とすると、俺がする母親の介護は、いっときのものだったと思われる。父親は、俺が介護をしているその時だけ、母親の近くにいなかったのだろう。
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…浮薄の経過(けいか)に情事(こと)が流行(なが)れて柔い四季(きせつ)の目下(ふもと)に咲くのは孤独の体裁(かたち)で、幻覚(ゆめ)に広がる奇妙の欲には不意に過ぎ往く未完(みじゅく)が募り、淡く篭れる淡路の横には過去の千夜(とばり)が気色を観て居た…。幻覚(ゆめ)の四季(きせつ)に過去が遠退く一人(ひと)の栄華を夜覚(よざ)めに見て取り、白亜(しろ)い佳日に個々を装う人間(ひと)の暴挙をその掌(て)に採った…。一人(ひと)と欲から児(こども)を引き寄せ、旧い典型(かたち)の孤独にその身を抱き寄せ一人(ひと)の体裁(かたち)にすんなり咎めて、暗(やみ)の許容(うち)から生録(きろく)を詠むのは不解(ふかい)に置き去る人見(ひとみ)と成った…。一人(ひと)と幻(ゆめ)との臆病から成る〝人壁(かべ)…〟の合図は一重(ひとえ)を求めて、暗(やみ)に匿う個録(ころく)静みは向日の感覚(いしき)へその実(み)を保(も)った…。一人(ひと)の生義(せいぎ)に内輪(うちわ)が挙がり、自由に活き発(た)つ嘗ての自然(あるじ)は向日に澄ませる幻(ゆめ)を観た儘、人の化身と一幻(ゆめ)の化身を文言(ことば)に覚ました勇気に留(とど)めて、過去の感覚(いしき)と合力(ちから)の哀れを独歩(どくほ)に転じて感覚(いしき)を買った…。人街(まち)の暗(やみ)から精神(こころ)を引き出し、不彩(ふさい)と過去との身欲(よく)の翳りは人街(まち)の流行(ながれ)と空が集(つど)った…。無知に見限る孤独の栄誉は未知に傅く漆黒差(くろさ)を繕い、女性(おんな)の翳りを未知の生憶(きおく)は不問に沿え得る装いを観た…。過去と内実(なかみ)の詩実(しじつ)の孤独は美彩(びさい)に活き発(た)つ不安を遺し、白亜(しろ)い四季(きせつ)の哀れを素通り、不安と暗黙(やみ)との個録(ころく)の内実(なかみ)は一幻(ゆめ)に問わずの悪夢を発(た)たせて、白亜(しろ)い無刻(むこく)の実活(じっかつ)から成る「後ろめたさ…」を屈曲に観た…。無垢と暗(やみ)との佳日の内実(なかみ)は欲の横目に未知を拡げて、人街(まち)に活き着(づ)く乱心(こころ)の経過(ながれ)は無心に色立つ神秘(ふしぎ)を操(と)った…。過去(むかし)の表面(おもて)に経過(ながれ)を仕留める、日々の空間(あいだ)を無心に描(か)かせる無根の感覚(いしき)に生義(せいぎ)を保(も)った…。一人(ひと)の界(かぎり)に美彩(びさい)を喰うのは未来(さき)と幻覚(ゆめ)との合成を識(し)り、過去と身欲(よく)との懊悩(なやみ)の仕種は器用に見紛う生気を保(も)った…。素人(ひと)と暗(やみ)との生録(きろく)の欲には不明に欲付(よくづ)く試心(こころ)を保(も)ち出し、明るい小宙(そら)から不遇を装う無知に生け捕る喝采を得た…。孤々(ここ)の身欲(よく)から無知を拡げて、一人(ひと)の軽みに輝彩(きさい)が仕留める旧(むかし)と自然(あるじ)の懊悩(なやみ)を乞うた…。一人(ひと)に始まる孤独の模様は既知に脚色付(いろづ)く広さを保(も)って、明日(あす)と現行(いま)との人街(まち)の渋さは使徒に見惚れる乱心(こころ)を描(か)いた…。明日(あす)に架け往く無心の調べは明日(あす)と暗黙(やみ)との素人(ひと)を相(あい)して、疲労に基づく文語(ことば)の生憶(きおく)は自主(あるじ)を任せた孤憶(こおく)を採った…。女性(おんな)の懊悩(なやみ)に幻覚(ゆめ)の自然(あるじ)は一人(ひと)と孤憶(こおく)の欠片(かけら)を寄越して、分厚(あつ)く成り立つ生義(せいぎ)の自然(あるじ)を無垢に画した明日(あす)を気取った…。幻覚(ゆめ)と一人(ひと)との無知の残骸(むくろ)は日々に浮き立つ自然(しぜん)を遺し、幻覚(ゆめ)に始まる自然(あるじ)の人壁(かべ)には無心(こころ)と懊悩(なやみ)の才覚を得た…。一人(ひと)と明日(あす)との身欲(よく)の人形(かたち)は懊悩(なやみ)を忘れた生命(いのち)を保(も)ち出し、小宙(そら)に奮える無刻(むこく)の神秘(ふしぎ)は不悶(ふもん)と価値との空転(ころ)がりを観た…。
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…舞台は、京都のようで愛媛県のようであり、はたまた全く違う、どこか行った事もない他府県のようでもあった。そして俺はどこかの機関から、これまで住んでいた場所とは別の場所へ出張に行かされたようでもあった。しかしまたその出張先でも、所々に見覚えのある箇所はまま在った。
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貴重の人形(かたち)が無垢を装い、早い佳日の流行(ながれ)に添う内、希望を忘れた人物(もの)の順序は一人(ひと)の間際を人形(かたち)に仕立てて、翌朝(あさ)の寝間から過去(むかし)を誘(いざな)う夜目(よめ)の能力(ちから)を生育(そだ)てて行った…。自己(おのれ)の無知から小雨が生く日々の肴(さかな)は四季(きせつ)を忘れて、過去の間際に自己(おのれ)を相(あい)する不名誉に立つ哀れを識(し)った…。気楼の一宮(みやこ)に四季(きせつ)が立つ中「小山(やま)の相図(あいず)…」と合力(ちから)を這わせて、白亜(しろ)く成り立つ不惑(ふわく)の泉は思想を生やせる個録(ころく)を保(も)った…。無根に剥ぎ取る幻想(ゆめ)の内実(なかみ)は柔い佳日の孤独を安らげ、白亜(しろ)く成り立つ人壁(かべ)の空には不名誉に立つ神秘(ふしぎ)と成った…。幻想(ゆめ)の涼風(かぜ)から孤独が素通り、幻覚(ゆめ)と静間(しずま)の個録(ころく)と流行(ながれ)は無垢に彩る不明を保(も)った…。人密(みつ)の活き血に孤独を見詰めて紺(あお)い人形(かたち)と涼風(かぜ)を相(あい)して、人山(やま)の懊悩(なやみ)と小宙(そら)の許容(なか)から分厚(あつ)い四季(きせつ)の遊戯を知った…。自己(おのれ)の無知から懊悩(なやみ)が活き出し、内実(なかみ)と暗黙(やみ)との孤高の信途(しんと)は不遇に寄り着く自主(あるじ)を乞うた…。一人(ひと)と人街(まち)との幻(ゆめ)の宙(そら)から意味を忘れた傀儡(どうぐ)に悩み、一人(ひと)と四季(きせつ)の自由と盛(さか)りは過去に活き発(た)つ迷盲(まよい)を保(も)った…。浮浪の行方に元気が成る時、人山(やま)に活き着く孤独の脆差(もろさ)は朗(あか)るい未知から生活(かて)を拾って、人山(やま)と空との四季(きせつ)を発(た)たせて、一人(ひと)の途次から不本を閉じた…。一人(ひと)と情事(こと)の個録(ころく)の懊悩(なやみ)は幻想(ゆめ)に匿う様子を引き留(と)め、幻(ゆめ)の悩みを杜撰に保(も)つうち過去に流行(なが)れた活き物を観た…。幻覚(ゆめ)の佳日に優れた陽(ひ)を観て、学びの欲から解放され生く無知と未憶(みおく)の孤独が立った…。一人(ひと)と幻覚(ゆめ)との生憶(きおく)の私宝(たから)は迷いに浮き立つ孤独が成って、一人(ひと)に成り立つ無垢の懊悩(なやみ)は夢想に役立つ不論が乞うた…。人街(まち)と生憶(きおく)の孤独の身欲(よく)には私闘の主観(あるじ)と流行(ながれ)を乞うて、幻覚(ゆめ)の経過(ながれ)に生憶(きおく)が発(た)つのは旧来挿話(むかしばなし)の標(しるべ)に成った…。一人(ひと)と景色の孤独が成るのは行方知らずの孤想(こそう)と同じく、幻覚(ゆめ)と意味との旧(むかし)の独語(かたり)は誹謗の気色と人山(やま)を描(えが)いた…。一人(ひと)と佳日の個録(ころく)を靡かせ、一人(ひと)に発(た)たせる佳日と成るのは奇怪に欲張る孤独を疾走(はし)らせ、不和に悦ぶ乱心(こころ)の身欲(よく)には人街(まち)が悩める不彩(ふさい)が成った…。一人(ひと)に近付く街の涼風(かぜ)には軟い無実が不安を好く観て、一人(ひと)と個録(ころく)の懊悩(なやみ)の果てには一人(ひと)に安める浮浪を匿う…。一人(ひと)の無知から精神(こころ)を立たせて、涼風(かぜ)の向きから無産が成り立つ幻覚(ゆめ)と経過(ながれ)の偽証を保(も)った…。一人(ひと)美街(まち)から試心(こころ)が成るのは幻覚(ゆめ)と乱心(こころ)の弄(あそ)びが繁り、無垢に色立つ神秘(ふしぎ)の色葉(いろは)は過去と神秘(ふしぎ)をその眼(め)に宿し、意味に懐ける孤独と暗黙(やみ)には不倖に役立つ武士(もののふ)を見た…。一人(ひと)と暗黙(やみ)との孤独の信仰(めいろ)は幻覚(ゆめ)に信じる自然(あるじ)を吃(ども)らせ、一人(ひと)の未屈(みくつ)に精神(こころ)が成り生く〝不思議…〟ばかりの奇想を彩(と)らせた…。
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