見出し画像

~無音に安まる孤録(ころく)と自主(あるじ)~『夢時代』より冒頭抜粋

~無音に安まる孤録(ころく)と自主(あるじ)~
 …無刻(むこく)の動作と欲の翳りは人山(やま)の目下(ふもと)を自然(あるじ)に設け、非道く片付く美声(こえ)の行方はあの暗間(やみま)の行為を採った…。過去(むかし)の生憶(きおく)は暗間(やみま)を求め、幻(ゆめ)の卑屈と孤独の究(もと)めは不意に宿れる講和を保(も)った…。
      *
 …俺は母親の介護をまるで父親に代わってしていたようだ。母親は変わらず右麻痺のまま、俺と父親と一緒に田舎へ出掛けていたようだ。とすると、俺がする母親の介護は、いっときのものだったと思われる。父親は、俺が介護をしているその時だけ、母親の近くにいなかったのだろう。
      *
 …浮薄の経過(けいか)に情事(こと)が流行(なが)れて柔い四季(きせつ)の目下(ふもと)に咲くのは孤独の体裁(かたち)で、幻覚(ゆめ)に広がる奇妙の欲には不意に過ぎ往く未完(みじゅく)が募り、淡く篭れる淡路の横には過去の千夜(とばり)が気色を観て居た…。幻覚(ゆめ)の四季(きせつ)に過去が遠退く一人(ひと)の栄華を夜覚(よざ)めに見て取り、白亜(しろ)い佳日に個々を装う人間(ひと)の暴挙をその掌(て)に採った…。一人(ひと)と欲から児(こども)を引き寄せ、旧い典型(かたち)の孤独にその身を抱き寄せ一人(ひと)の体裁(かたち)にすんなり咎めて、暗(やみ)の許容(うち)から生録(きろく)を詠むのは不解(ふかい)に置き去る人見(ひとみ)と成った…。一人(ひと)と幻(ゆめ)との臆病から成る〝人壁(かべ)…〟の合図は一重(ひとえ)を求めて、暗(やみ)に匿う個録(ころく)静みは向日の感覚(いしき)へその実(み)を保(も)った…。一人(ひと)の生義(せいぎ)に内輪(うちわ)が挙がり、自由に活き発(た)つ嘗ての自然(あるじ)は向日に澄ませる幻(ゆめ)を観た儘、人の化身と一幻(ゆめ)の化身を文言(ことば)に覚ました勇気に留(とど)めて、過去の感覚(いしき)と合力(ちから)の哀れを独歩(どくほ)に転じて感覚(いしき)を買った…。人街(まち)の暗(やみ)から精神(こころ)を引き出し、不彩(ふさい)と過去との身欲(よく)の翳りは人街(まち)の流行(ながれ)と空が集(つど)った…。無知に見限る孤独の栄誉は未知に傅く漆黒差(くろさ)を繕い、女性(おんな)の翳りを未知の生憶(きおく)は不問に沿え得る装いを観た…。過去と内実(なかみ)の詩実(しじつ)の孤独は美彩(びさい)に活き発(た)つ不安を遺し、白亜(しろ)い四季(きせつ)の哀れを素通り、不安と暗黙(やみ)との個録(ころく)の内実(なかみ)は一幻(ゆめ)に問わずの悪夢を発(た)たせて、白亜(しろ)い無刻(むこく)の実活(じっかつ)から成る「後ろめたさ…」を屈曲に観た…。無垢と暗(やみ)との佳日の内実(なかみ)は欲の横目に未知を拡げて、人街(まち)に活き着(づ)く乱心(こころ)の経過(ながれ)は無心に色立つ神秘(ふしぎ)を操(と)った…。過去(むかし)の表面(おもて)に経過(ながれ)を仕留める、日々の空間(あいだ)を無心に描(か)かせる無根の感覚(いしき)に生義(せいぎ)を保(も)った…。一人(ひと)の界(かぎり)に美彩(びさい)を喰うのは未来(さき)と幻覚(ゆめ)との合成を識(し)り、過去と身欲(よく)との懊悩(なやみ)の仕種は器用に見紛う生気を保(も)った…。素人(ひと)と暗(やみ)との生録(きろく)の欲には不明に欲付(よくづ)く試心(こころ)を保(も)ち出し、明るい小宙(そら)から不遇を装う無知に生け捕る喝采を得た…。孤々(ここ)の身欲(よく)から無知を拡げて、一人(ひと)の軽みに輝彩(きさい)が仕留める旧(むかし)と自然(あるじ)の懊悩(なやみ)を乞うた…。一人(ひと)に始まる孤独の模様は既知に脚色付(いろづ)く広さを保(も)って、明日(あす)と現行(いま)との人街(まち)の渋さは使徒に見惚れる乱心(こころ)を描(か)いた…。明日(あす)に架け往く無心の調べは明日(あす)と暗黙(やみ)との素人(ひと)を相(あい)して、疲労に基づく文語(ことば)の生憶(きおく)は自主(あるじ)を任せた孤憶(こおく)を採った…。女性(おんな)の懊悩(なやみ)に幻覚(ゆめ)の自然(あるじ)は一人(ひと)と孤憶(こおく)の欠片(かけら)を寄越して、分厚(あつ)く成り立つ生義(せいぎ)の自然(あるじ)を無垢に画した明日(あす)を気取った…。幻覚(ゆめ)と一人(ひと)との無知の残骸(むくろ)は日々に浮き立つ自然(しぜん)を遺し、幻覚(ゆめ)に始まる自然(あるじ)の人壁(かべ)には無心(こころ)と懊悩(なやみ)の才覚を得た…。一人(ひと)と明日(あす)との身欲(よく)の人形(かたち)は懊悩(なやみ)を忘れた生命(いのち)を保(も)ち出し、小宙(そら)に奮える無刻(むこく)の神秘(ふしぎ)は不悶(ふもん)と価値との空転(ころ)がりを観た…。
      *

いいなと思ったら応援しよう!