痩せ型と非肥満型における非アルコール性脂肪性肝疾患が胆嚢ポリープのリスクに及ぼす影響: コホート研究
Impact of nonalcoholic fatty liver disease on the risk of gallbladder polyps in lean and non-obese individuals: A cohort study
Hepatobiliary & Pancreatic Diseases International Volume 23, Issue 6, December 2024, Pages 573-578
Impact of nonalcoholic fatty liver disease on the risk of gallbladder polyps in lean and non-obese individuals: A cohort study - ScienceDirect
Abstract
背景 非肥満または痩せ型の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と胆嚢ポリープ(GBP)との関連はまだ評価されていない。我々は、NAFLDが非肥満・痩せ型においてもGBP発症の独立した危険因子であるかどうかを明らかにすることを目的とした。
方法 腹部超音波検査(US)を受けた無症状の成人331,208人のコホートを解析した。肥満とNAFLDの状態に応じてGBP発症リスクを評価した。
結果 NAFLDおよび5mm以上のGBPの全有病率はそれぞれ28.5%および2.9%であった。痩身160,276人、過体重77,676人、肥満93,256人におけるNAFLDの有病率は、それぞれ8.2%、31.2%、61.1%であった。NAFLD患者では、5mm以上のGBPの発生率が有意に高かった[調整オッズ比(OR)=1.18;95%信頼区間(CI):1.11-1.25]。体格指数が高いことおよびそのカテゴリーもまた、5mm以上のGBPのリスク増加と有意に関連していた。さらに、GBP≧5mmのリスクは、肥満でないNAFLD患者においても有意に増加した(除脂肪:調整後OR=1.36、95%CI:1.19-1.54、過体重:調整後OR=1.14、95%CI:1.03-1.26、それぞれ)。
結論 非肥満・軽度NAFLDはGBP発症の独立した危険因子であり、肥満の有無にかかわらずNAFLDがGBPの発症に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。したがって、脂肪肝が検出された場合には、GBPについてより詳細な評価が必要であろう。
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Hepatobiliary & Pancreatic Diseases International は中国のFirst Affiliated Hospital, Zhejiang University School of Medicineの出している雑誌だそうで、でもImpact Factorは3.6あります。本文は読むことができなかったのですが、ちょっと面白そうだったので取り上げてみました。
33万人という膨大な人数からの解析で、素直に信じると肥満であってもなくても5mm以上の胆嚢ポリープのリスクになる、ということですが、そのインパクトはOR 1.36、過体重でOR 1.14ということです。結論ではNAFLDが胆嚢ポリープ発症に重要な役割を果たしている、とのことですが、インパクトは小さいようです。