「言葉」が響くのは「信頼関係」があってこそ :メルボルンの小学校で学んだ事
教室内で見た言葉の力。
思い出話を。
新米教師の頃へタイムトラベル。
メルボルン移住後、Secondary School(日本の中学校・高校に該当)で教師の仕事スタート。でも実は、ずっと小学校にいきたいと思っていました。
7年後やっとご縁があって、幼稚園から高校3年までの私立の一貫校へ。
それまでティーンネージャー対象に働いていたので、小学校キャンパスでは驚きが。
20年程前の事だけれど、鮮やかに思い出すカルチャーショック。
国の違い。
ティーンと小学生の違い。
私もまだ若かった!
英語がネイティブではない若いアジア人女性が、身体の大きなオーストラリア人のティーンに対抗するには、最初は威勢を張っていないと負けてしまう。肩を張って教室にたっていたセカンダリーとは違う関係性。
小学校キャンパスで感じたショックをまとめると2点:
① 生徒との距離感
② 生徒に響く表現
今日の焦点は②の思い出。
中でも「え?!今なんて言った?」
二度見したくなる表現力豊かな猛者達=ベテラン教師との出会い。
彼らの表現力は目を見張るばかり。
私自身は、言わない、言えない表現の数々。
文化の違いもあるだろうけれど、個性の違いかな。個性が強い表現は、今でも記憶に残っています。その後の私に大きな影響を与えたと思う時間です。
アクの強い表現に、生徒達がポジティブに反応する姿を見ると、それはまるで魔法!
ただ注意点は、その魔法そのままコピーしても効果なし。
その先生の人としての個性、生徒の性格、先生・保護者/先生・生徒の関係、クラスの様子、クラスのダイナミックス…等、色々な要因が混ざりあって成り立つ表現。
関係が出来ていないのに👇の表現使ったら大問題です。きっと。
忘れられないケースをいくつか。
例⓵ 「頭切っちゃおうか?」😱
その小学校では、2年生で校内1泊キャンプ。
3年生で、初めての校外2泊キャンプがありました。
校外キャンプへ出発するバスを見送る親御さんも涙目。
親から離れて不安になる子も。
数時間すると、ホームシックから「頭が痛い」と言ってくる生徒が。
「先生、頭痛い」と言ってくる生徒に
「あ~大変!頭切っちゃおうか?」
…その生徒は、笑って友達とアクティビティに戻っていきました。
側で見ていて、「頭痛い」という訴えを認めてあげても…と思ったのですが、その生徒の日頃の様子を見て対応したようです。
例⓶ 「校舎の屋根に上って飛び降りてこい!」😱
授業中イタズラをしている生徒に、
「何してる!校舎の屋根に上って飛び降りてこい!」
…その生徒は、笑ってその後(しばらくの間は)タスクをしていました。
例⓷ 「椅子から離れられなくなれば良い」😱
⓶の生徒の隣に座る、イタズラされても相手に言い返せない大人しい生徒。その控え目な生徒に、隣の席のいたずらっ子(例②で登場)に向かって、
「I'm beautiful! 私は美しい!あなたは椅子から離れられなくなれば良い」と言うように伝えるのです。
その生徒は照れながら⓶の生徒にメッセージを伝え、⓶の生徒も笑いながらタスクに戻る。
当時は、驚きながら二度見。
え…、先生よ。
そんなこと言って良いの?
子どもへの影響は?
保護者から苦情はこないの?
生徒の様子を見ていると、笑ってる。
「言葉」の表現力もだけれど、強く感じたのは信頼関係。保護者・生徒と先生・学校の関係がしっかりと築けているからの技。「関係性」の基盤が頑丈だから出来る技。
コーチングで耳にする
Connection before correction。
Firmな中に、冗談エッセンス数滴のお茶目さを、生徒が汲み取っている。このエキセントリックな先生の個性を受け入れている。子どもの懐も深さ。
「くすっ」と笑わせて軌道調整するクラスルームマネージメントは、さすが。使われがちな「Don't」のメッセージでは、言われ慣れた生徒の耳には響かない。
あとこの小学校は、教室がオープンでした。他のスタッフが、お互いの教室を行ったり来たり。だからこそ、他の先生の表現を耳にしたし、私自身の様子も耳にされていたと思う。
究極のところ、教師の発言で何か気になる事があれば、他の大人がお互いを律する事が出来る環境でした。
閉ざされた環境は、怖いです。
学校に行く子どもにとって、1日の時間を一緒に多く過ごす先生からの言葉。笑顔にするパワーもあれば、ある一言が一生残る苦い思い出になる場合もね。
(おまけ)
とっておきの私のお気に入り。
習字の半紙を見ると、今でもMr. Thompsonを思い出します。
習字体験の時。
小学生を相手に半紙の上下を伝えるのに、「スムースな方が上ね」なんて彼は使いませんよ。
あなたなら、なんて言います?
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「アイススケートが出来そうな方が上だよ!」by Mr. Thompson