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恋の骨折り損その大家


 恋の骨折り損の大家になろうと中学の授業中に思った。これは恋のキューピット的な立ち回りを演じながら、依頼主のこころの折れや幻滅などによって成就せぬさまを見届ける分野の第一人者、ということになろうか。いずれにせよ適当な板にマジックでこう書いた。

骨折り損を夢見るあなたのタフガイ せせらぎ相談所

 早速、咲かずに終える恋を夢見る早計な相談者が・・
 聞くと隣のクラスのY子が好きなのだが、本当の恋は人生行路のここぞというときの為に取っておきたい。という。齢13、4にしての達観、M雄、格好の依頼主である。

 早速休み時間に敵情視察に向い、プラス行動マイナス行動の情報を尾行聞き込みなど1週間ほど行い取得する。骨折り損の経験値アップに繋がると胸が連日高鳴る。情報を小出しにしてM雄の焦がれ具合を掌握してゆく。

 ところがである、Y子の話を聞くうちにプラスの話もマイナスの話も彼女を魅力的にしている要素だとM雄は感じ始めたのである。あばたもエクボ現象の発動。M雄の胸は高鳴るばかり寝ても覚めてもY子のこと。

 是は一大事とY子のところへ出向きM雄のあることないことを吹聴することにした。するとそこでもあばたもエクボ現象が発動してしまったのである。なんという由々しき事態だったことだろう。

 僕は後年に至り当時を振り返り気付くことになった。あの骨折り損の大家になるってゆう中二病的な思い付きは、恋のキューピットが僕にきっかけの見当をつけ囁き生まれたものだったのと。


(*'▽')。




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