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カモシカ


上流のダムの斜面ではだいぶ水没していた地肌がみえている水量の少ない河原くるぶしあちこち定まらず歩く湿度以上にそもそも乾いた擦過音 干上がり気味の潜在的川底に生きる間の抜けた背の伸びた植物そのエーテルが記憶していたカモシカ は触れていた 眼の焦点が合って像が映し出され ああここで腹を満たしたのかと幻影が告げ解りくることになるのだが釘を打つ音が聞こえる それは冷めやらぬ因習深くの山裾集落から道が突き当たるあたり陽の差し込むことのない林 嘗てのカモシカ生態観察拠点 見つけた五寸釘と藁人形へと振り下ろされる槌が成す音 でありフと 昔に引き戻されるその場で 思い出の中同じくする頃の時空が交錯しわたしは バイクに乗り訪れた土手に若い身体を横たえ降り積もり朽ちゆく葉々に紛れる所在の無さとカサコソ砕けている 質感が纏わっていることに耳を傾ける








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