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iDeCoの手紙が届いたタケシ。
タケシはある日の朝、自宅のポストを開けると、一通の封筒が届いていた。
「・・・なんだこれ?」
封筒にはiDeCoの運用状況が記載された通知書が入っていた。
タケシはリビングの椅子に座り、封を開ける。
「評価損益・・・マイナス344円・・・。」
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絶妙な数字だ。
泣くほどでもないが、笑うほどでもない。
そもそもタケシは「とりあえずやっておいた方がいいらしい」という理由でiDeCoを始めた。
深く考えずに続けていたが、これを機に少しは勉強しようと思い立った。
「俺の運用方針って・・・。なんだっけ?」
タケシは封筒の内容をじっくり読んでみた。
そこには投資している商品の名前がズラリ。
しかし、何を選んでいたのか、すっかり忘れている。
「まぁいいか。大事なのは結果だろ・・・って」
「マイナスじゃん!」と一人のりっこみを朝からしているタケシだった。
タケシは考えるのが好きだった一人脳内会議が始まった。
『さてどうするタケシ?攻めるべきだ!リスクを取ってガツンと増やすんだ!』何人かのタケシが脳内でわめいている。
『いやいや、安全第一だろ。老後資金なんだから手堅くいこうぜ!そうだそうだ!』
『タケシさぁ~ そもそも、もうちょっと調べてから投資しろよ!そうだ!そうだ!』
一体、タケシの脳内には何人のタケシがいる事やら・・・。
タケシは頭を抱えた。つぶやいた。
「で、どうする脳内にいる多くのタケシ?」
一人で突っ込みを入れつつ、ふと冷静になってきた。
「まぁ、焦っても仕方ないか。iDeCoは長期運用が前提なんだしね。」
とりあえず、今日はこのまま放置。
次の通知が来る頃には、もう少し良くなっているはず・・・。と
良い方向に考えようと思うタケシだった。
「まぁ~。iDeCoを積み立て放置しとけば、子供達が面倒見てくれるかな俺の老後・・・。」
「それとも、iDeCoのように放置されるかな・・・。」
どちらでもいいかと、
思考は放置したタケシだった
でも、志向は放置しないタケシだった。
おしまい。
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