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【テラスハウス軽井沢編】なぜ麻由には寮長の話が伝わらないのか

今回は私が好きな番組、テラスハウスの話をする。

と言っても今回言及するのは、Netflixの本編ではなく、Youtube公式でアップされていた動画について。そこで2人の内面がよく表れている場面があったので、私の思ったことを書いてみる。

◆動画(前編・後編)

問題の動画は、前編(6分)と後編(9分)で合計15分

※以降、「中村さん=寮長」「古瀬田さん=麻由」とする。敬称略。

◆考察前編・後編)

・前編

自分勝手な言動を繰り返す麻由をプレイルームに呼び出した寮長。これまで何度も指摘してきたにも関わらず、反省の色を見せない麻由に怒りを表す。

『注文が多いな』発言は冗談だった」と言い張る麻由。ただ、冗談とは少なからずその人の本音が含まれてるもの。それに言いづらい本音をウィットに富んだ表現で相手に伝えるのがジョークの使い方だと思う。今回はタイミングも悪く、良くない形で本音が寮長に伝わってしまったように見えた。

麻由は冗談を言いたくなる自分の性格を自覚して、言うべきでないタイミングで冗談を言ってしまったことを素直に謝罪すればよかったと思う。寮長に対して反論している麻由の姿を見るに、心の底で納得できておらず、反省もしていない印象を受けた。また、未だに自分が犯したミスに気づいていないというところに麻由の幼さを感じた。

その後も麻由は「貴くん、だいぶズルいです」というよくわからない反論を重ねる。先程の麻由の"冗談発言"に気分を害した寮長が去り際に「何も言わねえから」と言い逃げをしたと説明する。すぐに謝りに行く機会を作らせなかったのが「ズルい」という主張らしい。

これでは全く反論になっていない。謝りたいのであれば、寮長がお風呂を上がってから言いに行けばよかったし、「謝ろうと思っていた」というのは"後出しじゃんけん"だ。

それに、前編の序盤で麻由はリビングで「(寮長)めっちゃ怖いやん」と優衣に話しており、仮に寮長がお風呂に行かなかったとして、麻由が本当に寮長のもとに謝りに行くのかは想像しにくい。

そもそも、寮長がついカッとなってしまい、冷静さを取り戻すためにお風呂に行ったことの何が悪いのか、この動画を見ただけでは理解できなかった。

このように麻由の発言は、その場限りの支離滅裂な言い訳に私には聞こえてしまった。

・後編

寮長は麻由の"言動"を指摘したのに対して、”態度”を指摘されたと勘違いする麻由。 両者の行き違いに気付いた翔平は、リビングで2人にその事実を伝える。

寮長に不手際が見られたのは今回がたまたまで、毎日食後に食器を洗っていたと麻由は弁解する。一度のミスでここまで責められるのは耐えられないとも漏らしている。

翔平にも咎められた麻由は「前から卒業したいと思っていた」と話し始める。自分では人間関係が上手くいっていると思っていたが、綻びが見え始めたという。メンバーとも向き合う努力はしてきたと彼女は語る。優衣とは、ランチに行って話をして"仲良くなれた"と麻由は話した。

ただ実際には、恋敵の優衣とはノアという片想いの相手を巡って停戦協定を一方的に結んだだけだ。その状態を指して"向き合った"と言われてしまった優衣は思わず吹き出してしまう(4分33秒)。また麻由は勘違いをさらに飛躍させ、寮長に指摘されたことで今後テラスハウス内で冗談を言いにくくなったとメンバーに伝える。

ここまで被害妄想が加速すると誰にも手をつけられない。後編の最後でも麻由が腑に落ちていない表情だったのが気になる。

その一方で、寮長は相当大人な対応をしていると感じた。だいぶ年下の、あまり話が噛み合わない同居人に対して、ここまで正直に腹を割って話をする姿勢に私は好感を持った。

◆テラスハウスに寮長が必要な理由

こういった場面を見ると、寮長がテラスハウスに必要な存在だと強く実感する。

スタジオメンバからは"寮長"と呼ばれ、小室安未の卒業以来テラスハウス内で恋愛をしていないため、存在意義を問われる声が上がっている。

軽井沢編では、共同生活に慣れていない人物が6人の和を乱す場面が多く見られた。卒業メンバーの新井雄大(料理人志望)もその一人だ。

大半のメンバーは大人な対応ができるが故に、自分勝手な態度しかできないとすぐにバレてしまうし、当事者は居心地が悪くなる。それが周りに波及して全体の空気を澱ませてしまっているように見受けられた。

先程の麻由の卒業を匂わす発言は、自分の集団生活における言動を変えることなく、別の場所に行くことを示唆させるものだった。

その様子を「それでは何の解決にもなっていないし、問題から逃げていると指摘されても仕方がない」と年下の優衣に言われてしまう始末。

集団生活において、行き違いが発生するのは仕方がない。大事なのはその歪みにどのように対処していくかということ。 自分の行動パターンを把握して改善していけばより良い環境は作れるはずだし、それを無視して自分の信念を貫いたままだと、生活しづらくなるのは当然のことのように思われる。

恋愛に限らずに共同生活でいざこざが起こった場合に、仲裁し、解決する役割を持っているのは現メンバーの中では寮長が特に秀でている。寮長の存在によって新しい男性陣を迎え入れる枠が減っていることは否めないが、それでも番組の軸として必要不可欠な人物だと私は思う。

◆制作者の巧みな演出

25th WEEKで、この動画をYoutubeに載せる制作側も視聴者の気持ちを揺さぶるのが相当上手いなと思った。

というのも、上記の動画と同じタイミングでアップされた別の動画も麻由に関連するものだったからだ。

麻由が優衣のインスタグラムを見つけ過去をさかのぼると、純粋無垢な今のイメージとはかけ離れている写真があったと聖南に話しかける。

その後、ランチの際に優衣にそのことを問いただしてみる麻由。だがそこで優衣から聞かされたのは、宅飲みは仲のいい幼馴染の男友達で、バーに行ったのは母親と一緒だったということ。

これで麻由が抱いた疑念は勘違いだったと判明する。つまり、この動画も結果的に麻由のイメージを下げるものとなっているのだ。

これらの動画によって、来週か再来週に麻由が卒業宣言しても視聴者に納得感を与えることができる。こうして、事前に伏線を張っておくことで、番組全体をわかりやすい流れに持っていく工夫をしているのだ。

◆全世界を虜にするテラスハウスの魅力とは

テラスハウスは台本を一切用意していないというテイだが、見せ方が非常に巧みだと思う。視聴者にいろんな想像をさせるよう、あえて重要な部分は本編で見せなかったり、Youtubeにさらっと重大な場面を載せるなど、様々な工夫を仕掛けている。

よくよく考えれば、それもそのはず。24時間×7日=168時間のうち、毎週30分程度しか放送できないため、見せる場面を厳選する必要があるのだ。さらに断片的な場面を放送しても視聴者は混乱してしまうので、ある一定のストーリーを示すことで見やすくしている。

考察の余白を多く視聴者に与え、いろいろと想像を膨らませるように仕向ける。それが結果的にテラスハウスの虜にさせることに繋がり、視聴者はついついハマってしまうという流れだ。

純粋な恋愛ストーリーを求めているティーン層にも刺さるし、少し穿った見方をしてしまうアダルト層も引き付けるコンテンツの魅力がそこにはある。

ただ私たち視聴者が意識しないといけないことは、番組内で放送されるのは生活の一部だけであるということ。映っていないところで色んな問題が起きているかもしれないし、私たちには詳しい事情は分からない。

スタジオメンバーの副音声のように、分からないなりにあれこれ推察をしてみるのが楽しむコツ。番組の余白で遊ぶことができるのが、テラスハウスの魅力だと私は思う。「軽井沢編」の今後の展開が楽しみだ。


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永代 明介
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