見出し画像

成田空港からダージリンまで36時間



シリグリからダージリンへ

横に座る男性の出身地はダージリンらしい。何時間くらいで着くのだろうかと尋ねると、2時間くらいだと教えてくれた。
ダージリンは今まさにオンシーズン。ダージリン手前から大渋滞で動かなくなった。結果、4時間を要した。そしてこの少し前、わたしはコメディ映画のようなワンシーンを目の当たりにした。
わたしは閉所恐怖症で助手席は譲れない。しかし隣の彼にも窓側に座りたい理由があった――。車酔いだ。
小さいころはわたしも少しでも車に乗ると気持ち悪くて仕方がなかった。しかし、それも自分で車を運転するようになってだいぶ緩和されていた。だからすっかり忘れていた、車酔いが酷い人も大変だということを。
言葉が分からないので彼と運転手との会話は耳にはいらなかった。だから突然彼がわたしの前を横切って、空いている窓からゲロをコメディ映画のように噴出したのにはめちゃめちゃ驚かされた。自分にかかっていないかも重要だったが、これほどゲロを真っすぐ吐けるとは、コメディ映画も嘘じゃないんだな、と感心した。


ダージリンまで36時間

成田空港を出て36時間。ようやくダージリンに到着した。
宿はBooking.comから予約していた。わざわざ予約する必要もないくらいダージリンには宿がたくさんあるかも知れないが、結局のところわたしの場合、これを使うほうが安い。
中心地からはかなり離れたところだった。周りにはレストランどころか商店もない。立地は少々不便だが、屋上に隣接する広い部屋でぱっと見、いいところだなと思った。屋上からの眺めもいい。ちょうど夕暮れでいい感じに空が色づきはじめていた。困ったことは……電気がないらしい。今日は電気がないそうだ。ホリデーだから明日の10時にならないと電気は来ないということだった。なんじゃそれと思ったが、まぁよくあることだと割りきった。
ただ、まあまあ困る。まず充電ができない、WiFiもない、そしてホットシャワーも浴びられない。ということで、長旅の疲れもあったので早々にシャワーも浴びずに寝ることにした。


ダージリンの宿

ダージリンは標高2,100メーターほどあるのに湿気がすごい。残念なことに部屋はしばらく使っていなかったのかカビが酷かった。シーツや枕もカビだらけ。昨夜慌てて替えてもらった。そして部屋がカビ臭い。長くいては病気になりそうだった。
朝食つきだったので朝食を出してもらった。食パンと玉子焼きとミルクティー。いたってシンプルだ。
10時になれば電気が回復する――。そう思っていたが全然そんなことはなかった。オーナー夫婦のような夫妻が言うには午後2時にならないと電気は来ないそうだ……。昨日は別の……従業員なのか誰だか分からない男性に10時と言われたが、まったくのデマだった。オーナー夫婦も感じ悪ければ、その誰だか分からない男性も信用できない。ただひとり、感じのいい男性がいた。昨夜シーツと枕を替えてくれたのも彼だ。お詫びになのか、バナナを2本くれた。彼だけは、気にかけてくれた。


激しい渋滞

シャワーとか充電とか全部後回しにして、スマホをポータブルバッテリーに繋いで出かけることにした。
車から見た景色はダージリン到着前から絵になりそうだった。この街には世界で2番目に古い鉄道が走っている。線路の上に立ってみたが、見たこともない細さだった。しかも未だに蒸気機関車まで通っているのだ。わたしもそれが見たさに来たというのもある。
往路渋滞が酷かったのにはいつくか原因がありそうだった。まずそもそも道が狭い。車2台がすれ違うには余裕がなさすぎる。そこに鉄道まで走っていて、列車が通るときには車もそれを避ける。なおさら渋滞する……とそんな感じだ。

過去訪れた年の中で、もっとも空気が悪かった街は、ネパールのカトマンズだ。とにかく車が多くて排気ガスが酷かったのを憶えている。マスクを買おうと思ったくらいだ。
ダージリンもまあまあ酷い。この果てしない渋滞にSLの黒煙。カトマンズほどではないにしろ、歩いているだけで具合が悪くなる。それでまだ2日目なのに、もう飽きてきてしまっていた。

いいなと思ったら応援しよう!

Rio
応援ありがとうございます! なんだかいろんなことやていますけど、今後も写真家として活動し続けられるように頑張ります!!!

この記事が参加している募集