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デリーからマナリまでバスで行く場合…



日本語を話すインド人の印象

日本語を話すインド人を見れば「不自然すぎて怖い」とわたしは思うのだが、初めてインドへやってくる日本人はやはり不安で、きっと彼らの日本語に安心感を得るのだろう。だから彼らも日本語を覚えたわけだし、安心させて詐欺を働く。


バラナシからデリーへ

バラナシで2泊したわたしたちは、次なる目的地へ向けて再び移動を始めた。
友人と合流してからのスケジュールは過密だ。正確には「移動が過密」だ。コルカタ、バラナシと来てここからデリーへ飛ぶ。そしてさらにデリーから14時間かけてバスでマナリを目指す。マナリに滞在できるのは1日。弾丸でデリーまで再び帰ってくることになる。
すべて飛行機を使うのならもう少し現地滞在時間も長くなるのだろうが、列車移動やバス移動も含めてわたしは「旅」だと思っているので、このような移動ばかりのスケジュールができあがった。訪れる場所を変えるなり、減らすなりすればよかったのかも知れないが、どこも外すことはできない。むしろ時間があるのならもっともっと増やしたいくらいだった。

バラナシからデリーまでは飛行機だ。わたし個人のスケジュールならここは間違いなく列車移動なのだが、さすがにその時間はない。スパイスジェットでデリーまで飛んだ。
機体は小型のプロペラ機だった。あまり人気のない路線なのだろうか。座席がプロペラの真横だったせいかも知れないが、過去にこれほどうるさい飛行機には乗ったことがなかった。


ISBTへ急げ!

デリーに着いてすぐさまプリペイドタクシーに乗り込んだ。急いで「ISBT」(デリー発着のバスターミナル)まで行かなくては今夜中のマナリ行のバスを逃してしまう。
元々は朝の便の飛行機を買っていたのだが、航空会社の都合で17時発になり、さらにそれが遅れて18時発になり、予定より気持ち早くデリーに着いたとは言え、もう20時なので余裕があるとは言えなかった。食事も取っていないので、できればその時間も欲しい。メトロという方法もあったが、車内が激込みだった場合のことを考えそれは避けた。
何時が最終のバスか分からなかったが、遅くても22時くらいだろと思っていた。丸っと1時間かけ「ISBT」に到着したわたしたちは、チケット売り場らしきカウンターに行き出発時刻を確かめた。
最終は21:50と書いてある。よかった、なんとか間に合いそうだ。バス会社は「HRTC」というところだ。


きな臭い

その場でチケットが買えると思っていたが、下のフロアへ行けと案内された。仕方なくわたしたちはその場を後にし、本当のチケットカウンターを探すことにした。
ひとつ下のフロアに降りると、前からおじさんがやってきて「チケットは持っているか?」と訊いてきた。チケットはこれからだと答えるとおじさんは「プライベートバスがある。1,100ルピーでいい」と言い、自分についてこいと歩きだした。
普段ならこんなものにはついていかないのだけれど、わたしはプライベートバスというものがどんなものか興味を持った。ネットの情報ではマナリまでは14時間。訊くとおじさんは10時間で行くと言う。出発は22時。金額も1,000ルピー程度だろうと思っていたので1,100でも構わないかと思った。21:50発の最終バスも迫っていたが、これで条件がよければ——なんて思ったのがよくなかった。
今降りてきたばかりのスロープを再び上り、正規のチケット売り場からは明らかに離れてしまい、時間がないのでもはや賭けのようになってきていた。
連れていかれたのはバスターミナルの外。この時点できな臭かったが、バスを見せてもらうと普通のバスだ。期待していたコンパクトなプライベートバスではないが、別に悪くはない普通のバスだった。そのまま代理店窓口に連れていかれた。

店の無愛想な男は「1,200ルピー、ここに書いてあるだろ? ふたりで2,400ルピーだ」と言う。おじさんが言っていた金額は1,100ルピーだ。わたしがそのように言うと、男はおじさんと目配せして、それでいいと言った。
時間もなかったし、バスが22時発ならまだ少し余裕があるので、すぐそこのマックにでも行こうと思っていた。今から戻ってしていたらそんな時間もなくなる。友人に承諾を取ってふたり分の座席を買った。
バスに荷物を預ける。チケットでは座席の位置が分からなかったので、そこにいた男に訊いた。そして「やられた」ことが判明した。
最後部の一列席だった……。リクライニングできないし余計に揺れる。最悪だ……。正規の値段がいくらか知らないが、この席で1,100はないだろうとわたしは思った。しかも22時発と言っていたのに、なぜか、そしてまだ誰も乗車していないのにバスは走り出した――。

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