マナリソックスの魅力
マナリ――。
デリーからバスで14時間もかけて、わたしがここへやってきた1番の理由は、実は靴下を買うことだった。
「マナリソックス」と呼ばれるこの地で作られる靴下はとても暖かく、またデザインが強烈にかわいい。わたしは4年前に自分用に一足買い、それをボリビアのウユニ塩湖に行く際に愛用してきた。
この靴下、いったい何の毛で作られているのか、とにかく暖かい。靴下を重ね履きしても寒いといわれるウユニ塩湖で、実用的に使えていることが暖かさを証明している。今回はこれをもっとたくさん買って帰りたいと思っていた。
買いたい数も値段も決めていたのだが、実際買いものは難航した。そして想定していた数も買えなかった。
まず、思っていたより嵩張った。先の旅程を考えると、バックパックに入れて持ち帰れる量に収めておきたかったのだが、それはすぐに満杯になった。
次に金額の問題。前回わたしは100円200円程度で手に入れたの思っていたのだが、どこを探してもそんな金額では譲ってくれなかった。さらに、探しているうちに恐ろしいことが分かった。同じようなデザインなら同じように見えるマナリソックス――。実は素材によって値段が違う。そのことに数店回って気がついた、というか教えてもらった。
わたしが持っているものは「牛」だと思う。前回そのように聞いたからだ。しかし今回見た素材たちは、「羊」「雄牛」「ナイロン」そして「ヤク」だった。
マナリソックスにはこのような柄のデザインが施されているものも多く、この部分はアクリルだという。ちなみにわたしが持っているもののように、もっとシンプルなものもある。
意外だったのは羊(ウール)がもっとも安いということ。天然の羊毛なので、ものによっては汚れているものも結構あった。
ナイロンはデザイン豊富だった。色も多種。天然のものはどうしてもごわつくが柔らかい。ただ暖かさは足りないだろう。
今回わたしが選んだものは「ヤク」だ。例の柄の部分以外は「ヤク」100%で、一番値が張った。
50%混合というものもあったり、柄なしのものもあったが、デザインと実用性を考えるとこの柄つきの100%「ヤク」がもっとも優れていた。
同種のそこにあるものはすべて買ったが、結局11足しか手に入らなかったのは残念極まりなかった。