LINE APIを活用した鉄道グループ各社のDX動向のまとめ
現在鉄道グループでLINEのAPIを使った共通ID基盤案件の事例が増えてきていて、新規でご相談いただく中で同様の課題を抱える事業者様も多く、この流れは今後もどんどんと増えていくのではと思っています。
鉄道グループでの共通ID基盤案件とは、一つのアプリに鉄道グループのグループ会社のサービスを全部入れるのではなく、LINE公式アカウントやLINEミニアプリを各鉄道グループ会社各社でサービス毎に用意して、そのバックエンドを共通基盤を用意しグループで繋げることにより、ピンポイントでない、顧客の行動データを横断的に入手する仕組み用意することにより、良い顧客体験を実現するための仕組みです。
従来なら鉄道グループのような独自経済圏は、LINEのようなプラットフォームについては部分的な利用で終わり、基本は自前で作る仕組みがメインでしたが、独自でアプリを作ってもユーザーになかなかインストールされない中、LINE公式アカウントやLINEミニアプリはQRコードなどを読み込むだけで、ユーザーとのデジタル接点がフクリションレスに作れ、しかもLINE APIを活用することにより、ネイティブアプリに近い仕組みを企業様で構築できるようになりました。
記事を読んでいる方が気になるLINE API活用時の企業様としてのデータ周りの扱いは下記の日本マイクロソフト様との記事がわかりやすいかと。
そして鉄道グループでの共通ID案件は東急株式会社様が2019年頃にグループ会社の東急ストア様から始まりました。
に記載されていますが、
「ネイティブアプリが7年間で9万人、LINEは1年間で20万人の友だち登録という数字を比較しただけでもLINE導入のメリットは大きい。結果としてグループ全体でLINE活用をより推進することになっていった(乗松氏)」
や
「さらに、LINE公式アカウントの利用増をさらに後押ししているとみられるのが、東急ポイント会員制度との連携である。LINE公式アカウントと東急ポイントを紐付け、東急ストアの利用頻度の高い客には、ポイント還元率が高いクーポンをLINEで送るといった運用を実施している。
このLINE公式アカウント未連携の会員は、月間平均来店回数が6.2回だったが、LINE公式アカウント連携済の会員は9.1回と、約147%まで増加したという(2021年3月、東急株式会社調べ)。」
などの結果も踏まえ、
東急様のID連携顧客基盤が進んでいます。
東急ストアでのLINE導入の話は
が詳しいので参考いただけると。
そして東急様だけでなく、2021年2月15日から西鉄グループ様とLINE福岡で「LINEを活用した西鉄グループのDX推進に関する連携協定」
が進んでおり、こちらも
の図のように、東急様の共通ID基盤と同じ内容が図に記載されています。
JR九州グループ様のWEB上でも
が公開されていますね。
そして先日京阪ホールディングス様も
が公開され、グループ横断の文字が記載されています。
事業者側としては、デジタル接点構築時にユーザーのサービス導入障壁が下がる仕組みは最重要課題だが、過去からの経験上、プラットフォーム上に自社のサービスが乗るのは、データ等含めロックインされそうと頭をよぎってしまうのも仕方ない事かとも思われていたと思います。
ただ、LINE APIを活用することにより、LINE公式アカウントをチャットボット化やアプリ化させそのやりとりを事業者様で用意したWEBサーバーで制御、データを蓄積したり、LINEミニアプリにおいては普通のWEBアプリとほぼ同じ実現方法となるので、LINEをプラットフォームとして意識するのではなく、サファリやChromeのようなブラウザとして扱うような感じとなります。
ネイティブアプリじゃないと制限ありそうって漠然とした懸念がある方は、LINE API Use Caseサイト上にコンテンツだけでなくたくさんのデモが公開されており、開発する為に必要なシステム図やシーケンス図、そして一部はOSSとてソースコードも展開していますので、3Dな表現でバックグラウンドでリアルタイムに位置情報を取るような位置ゲーは無理ですが、そういうアプリ作る予定のある会社様はそもそも少ないと思いますので、一度ユースケースサイトで自社がやりたい事がLINE上でできるかを確認いただければと思います。
大切なのはユーザーと向き合い、繋がり続ける価値を企業として提供できるのか?
地域に根ざした鉄道会社グループ様の独自経済圏のデジタル基盤のユーザーの入り口のフリクションをLINE APIを使い解決いただければと思います。
補足ですがMaaS関連では
のような取り組みをさせていただいており、想い的な内容はIoT Newsの下記インタビュー記事や
日経クロストレンドでも扱っていただいたので是非一読いただけると