スペースシューターに見る調整の痕跡
アプデの告知前に書かないと意味ないので大急ぎで書きます。
スペースシューターのコンセプト
「スペースシューターはどんなブキなのか」を考えます。まずはイカ研究所のロンチ当時の告知ツイートから。
射程が長い
扱いやすい
基本の発射精度控えめ
威力控えめ
連射が速い
撃ち続けてもブレが大きくならない
前線の仲間を援護し続ける
当時、これを読んで違和感を感じた方もおられると思います。この告知、おかしいですよね。「基本の発射精度は控えめ」と「撃ち続けてもブレが大きくならない」が矛盾している。いや、それ自体はあり得る調整ですが、「基本の発射精度は控えめ」で元々ブレが大きいことを示唆しているのに「撃ち続けてもブレが大きくならない」ことを特徴として挙げる意味があるのか、と。
では、その2点を除いて読めばコンセプトが見えてくるかというとそうでもない。実際のスペースシューターとは異なることが書いてあります。「連射が速い」? いやいや、スペースシューターの連射速度は6Fでスシと同じです。「連射が速い」というからには4Fのモデラーと同等でなければおかしい。5Fのシャプマ・わかば・ZAPと同等ならぎりぎりセーフ。でも、スシと同等なのに「連射が速い」ですって?
これで3点排除しました。使用者の主観に左右される「扱いやすい」も排除すると、残るのは以下の3点だけです。
射程が長い
威力控えめ
前線の仲間を援護し続ける
これがスペースシューターのコンセプトです。スプラトゥーンシリーズにおいて「前線の仲間を援護する」行動というのは「敵と撃ち合う味方の足元を塗ってあげる」ことを指すので塗りに主体を置いたブキであることが分かります。(わざわざ「し続ける」って書くならわかば同等のインクタンクを積んでよって気もしますが本稿では触れないことにします)
スペースシューターの射程
コンセプト1で挙げた「射程が長い」を検証します。表にまとめました。以下、数値は スプラトゥーン3 攻略&検証 Wiki さんから拾わせていただいています。いつもありがとうございます。
96・プライムよりやや短く、52・スシより明らかに長い絶妙な調整。スクイクの3.8と比較しても妥当と思われます。
スペースシューターの威力
単発ダメージ・DPSともに最弱。これもコンセプト通りと言えます。
スペースシューターの塗り
塗りブキであるのに96より塗れません。明らかにコンセプトに沿っておらず、「スペースシューターって何ができるの?」と疑問視される原因です。
スペースシューター修正案
以上、スペースシューターのコンセプトと現状の乖離について分析しました。これは推測に過ぎませんが、おそらくデザインされた方と他ブキとのバランス調整をした方が異なるのではないかと思います。もう少し突っ込んだことを言ってしまうと「デザイン時の連射速度はモデラーと同じ4Fだった」のではないでしょうか。だから、告知ツイートでは、事前に広報に回されたであろう撤回されたコンセプト「連射が速い」が残ってしまった。でも、4Fはマズいのです。秒間発射数が15発だとDPSが360.0になり、長射程なのにスシと同等の攻撃力になってしまう。これはスプラトゥーン3のブキバランスを根底から覆す可能性のある数値です。ぎりぎりまでバランス調整を重ねた結果、ゴーサインが出たのは「連射速度6FでDPS240.0」だったのではないかと思います。(ひょっとすると、わかばと同等の110%インクタンクも同時に外されたかも知れませんね)
コンセプトに沿った形で強化する方策は1つしかありませんでした。検討してボツにした案2つもあわせて紹介します。
単発塗りポイントの増量
秒間塗りポイントがモデラー並みになるよう単発の塗りを大きくしてはどうでしょうか。具体的には、単発塗りポイントを6.0Pにすると秒間塗りポイントは60.0P/秒でモデラーと同等になります。射程が1.5倍弱に対して塗りポイント1.8倍ではちょっと塗れ過ぎかも知れません。では、5.0Pでは如何でしょう。適正な数値は調整する人にしかわかりませんね。いい感じに大きくしていただきたいです。
ボツ案:連射速度の向上+単発ダメージのナーフ
先に述べた通り、連射速度がモデラーと同等の4FだとDPSが高くなり過ぎてしまう訳ですが、それなら単発ダメージを下げては如何でしょう。単発ダメージを20.0にすると秒間発射数が1.5倍でもDPS300.0にしかなりません。18.0ならDPS270.0です。ただ、単発ダメージを下げると確定数が増えてしまうのがネックになります。減衰を考慮するとほぼ6確。キルを取ることがかなり難しくなってしまい、手にするユーザが増えるとは考え辛いです。
ボツ案:連射速度の向上+拡散の拡大
なかなか当たらなくすれば良いのではないかと考えました。「連射速度」「単発塗りポイント」「単発ダメージ」「拡散」をモデラーと同等にしたうえで射程だけを延ばす。DPSが多少高くても当たらなければ問題ないはずです。しかし、この方策では違う問題が生じてしまうことに気付きました。「拡散が大きい=連射時の塗り範囲が広い」という可能性を否定できません。ユーザ視点では正解かわからない部分なのですが、わかばやモデラーの塗りが強いのって、真っ直ぐ撃ってもインクをばら撒いてしまうことが影響しているのではないかと思います。事実、同程度の単発塗りポイントに設定されているシャプマの塗りはわかば・モデラーより一歩劣っています。塗りブキであるスペースシューターの拡散をスシ同等の6.0に設定している理由がそこにあるとしたら、この案を採用するのは難しそうです。
まとめ
以上、スペースシューターのコンセプトに沿った修正案を考えてきましたが、書き終えて思うのは「こんなこと、当然検討済みだよね」ということです。ここまで分析すると「塗り」と「与ダメ」のバランスがよく練られていることがわかります。おそらく「とりあえずこれで出して、細かい調整はアプデでやろう」「何よりぶっ壊れにしないことが最優先」と判断為さったのでしょう。単発塗りポイントで調整することも織り込み済みですね。良い仕事を為さっていると思いました。
以上です。ここまで読んでくださってありがとうございました。