ゆにこぉん『菩薩』Series TypeC
菩薩という言葉は、サンスリット語のボーディ・サットヴァを音の通りに漢字に訳した「菩提薩タ(ぼだいさった)」を簡略化した言葉です。
「如来」が、真理を得て悟りを開いた存在であるのに対し、菩薩は、如来になる為に修行をしている存在です。修行をしながら、人々に寄り添い、福徳をもたらしてくださる仏様の事を指します。かつては「菩薩」とは、仏陀を目指す釈迦のことのみを示していたのですが、大乗仏教からは菩薩の概念が広げられて、菩提を目指す全ての者が全て菩薩とされ、それ以降多くの菩薩が誕生しました。
悟りを開く前の釈迦の姿がモデルとされていて、出家前の釈迦がインド王子だった頃を表わしているためか、貴族のようにきらびやかな装飾を身につけているのが特徴です。例えば、「条帛(じょうはく)」というタスキがけした細い帯状の布や、「天衣(てんね)」という肩から胸側に垂らしている白い帯状の布などの優美な服をまとい、長い髪を美しく結い上げて宝冠をかぶっています。また「瓔珞(ようらく)」というネックレスや「腕釧(わんせん)」というブレスレットなどの装身具で飾り立てていたりします。
「菩薩」は仏教界の序列において如来のすぐ下の位にあり、如来の意志に従ってさまざまな姿に変わります。そのため女性のような姿をしていたり、頭上に顔がたくさんあったり、手が千本あったりと、多様な外観をもつのが大きな特徴です。単体でも崇拝されますが、「釈迦三尊」「阿弥陀三尊」のように、如来像の左右に脇侍仏(わきじぶつ)として配置されることもあるようです。
ところで、「菩薩的な生き方」とは、「自分の幸せと他者の幸せを重ねて行動する生き方」の事を指します。現代社会に欠けている側面を、菩薩像を見ながら考えてみるのも良いかもしれませんね。