3,200時間以上をスタッフに還元?配送を遂行し医療現場をサポートするロボットアシスタント「Moxi」
看護職員の人手不足問題をご存じでしょうか?厚生労働省によると、日本の看護職員(保健師・助産師・看護師・准看護師)の就業者数自体は増加傾向にありますが、2025年には3万人~13万人が不足すると考えられています。これは、看護職員の需要に共有が追い付いていないために発生している問題です。
看護職員の人手不足は日本だけの問題ではありません。2020年には世界保健機関(WHO)などが、世界で看護師が約590万人不足しているとの報告をしています。
このように人手不足かつ多忙な医療現場を支援するため、アメリカのDiligent Robotics社はロボットアシスタント「Moxi」を開発しました。
スタッフたちの助手として活躍。配送を得意とする「Moxi」
Moxiは配送に特化したロボットです。薬や備品、PPE(個人用防護服)などの必要なものを運び、スタッフを手助けしています。
Moxiはセンサーで人や障害物を避けたり、アームでドアを開けたりしながらスタッフのもとへ物を運びます。配送時にはMoxiのボディについている引き出しに物を入れて閉めることができるため、物が落ちることはありませんし衛生面でも安心です。
また、Moxiは特別な機器の設置や工事をせずとも利用することができます。導入のハードルが低く、数週間でチームのメンバーとして稼働できます。さらにMoxiは利用すればするほど現場の環境に適応していくという特徴を持っています。人間から学びながら、必要なものが必要な場所に届くよう、最前線のスタッフをサポートしているそうです。
公式サイトによると、スタッフは事務的な業務に時間の最大30%を費やしているとのことですが、物を取りに行くという業務をMoxiに任せることで、その時間を患者のケアなどに使えるようになりました。これは患者にとっても良いことですよね。
患者のケアに時間を使えるように。Shannon Healthの導入事例
Moxiが実際にあげた成果として、ある病院の導入事例をご紹介します。
テキサス州サン・アンジェロという田舎町にあるShannon Healthでは、新型コロナウイルスの流行による過労やストレスでスタッフが離職または大都市の病院に転職してしまうという問題が起こっていました。
スタッフの負担を減らす方法を探していたところ、病院のリーダー陣はMoxiを知ります。リーダー陣は、Moxiによって良い効果が得られるのではないかと予想し導入を決めました。
Moxiは導入後より配送を続け、すでにShannon Healthで15,000以上の配送を遂行し、3,200時間以上をスタッフに還元しています。特に薬局、中央材料室、研究室に関連する配送で活躍しているそうです。 また、スタッフはMoxiをチームの一員として見ており、手を振ったりハイタッチをしたりと楽しんでいます。
Shannon Healthのスタッフはこのように語ります。
「私はMoxiのサポートにとても助けられています。 Moxiのおかげで、ベッドの傍で患者のケアに集中する時間を増やすことができました」
リーダー陣の予想通り、Moxiはスタッフの負担を減らし、本来の業務に集中する時間を確保することに貢献しています。Shannon Healthは今後もDiligent Robotics社と提携し、Moxiの効果を測定していく予定です。Diligent Robotics社は定期的なモニタリングとフィードバックを通して、スタッフをさらにサポートするためにMoxiの改良を続けていくとのことです。
冒頭でも述べましたが、現在世界的に看護師・看護職員が不足しているという問題があります。しかし導入事例からもわかるように、ロボットを活用することで人手不足から来る負担を軽減し、より重要な業務に時間を回すことができるようになります。
Moxiは日本でも様々な科の連携が必要な大病院などで活躍してくれそうです。医療現場の支援のため、今後もこういったロボットが増えると良いですね。
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