Day.31 Refeeding症候群の診療メモ【総合診療トピックゼミ】
<Refeeding症候群になるかもと思うとき>
一般的には、しばらく絶食していて食事を再開する場合に発生するのがこのRefeeding症候群ですが、一応ガイドライン的には、こんなときに気を付けてねというのがあります。
◇下記基準のうち1つがあてはまる場合
〇BMIが16未満
〇過去3~6か月で15%以上の意図しない体重減少
〇10日間以上の絶食
〇再摂取前の低カリウム血症、低リン血症、低マグネシウム血症
◇下記基準のうち2つ以上があてはまる場合
〇BMIが18.5未満
〇過去3~6か月で10%以上の意図しない体重減少
〇5日間以上の絶食
〇アルコール依存の既往、または次の薬剤の使用歴がある
・インスリン
・化学療法
・制酸薬
・利尿薬
<Refeeding症候群でモニターするもの>
Refeeding症候群のリスクを抱えている患者では、カリウム、リン、マグネシウム、カルシウムあたりのモニタリングと、必要に応じた補充が必要になります。というのも、栄養が体内に入ると、栄養の処理に伴って、これらミネラルが細胞内に移動してしまい、血管内が電解質不足に陥る可能性があるためです。
また、ビタミンB1については、おそらく検査結果が出るまで時間がかかると思うので、こちらは最初から補充してしまえばよいとされます。不足すると、ウェルニッケ症候群なんかの症状が出てしまいますね。
<Refeeding症候群への栄養開始>
◇5~10kcal/kg/日で緩徐に開始し、徐々に増量する
または
◇体重に対する必要エネルギー摂取量の25%~50%から開始。
その上で、エネルギー量は緩徐にUpし、その間の電解質等モニタリングは継続的に実施。
<Column>
戦国時代に兵糧攻めとか水攻めってあったじゃないですか?羽柴秀吉によるものが有名ですかね?。で……これ、当然食べ物が届かないから、絶食管理になりますよね。その後、降伏して開城、城兵たちは食べ物にありついてガッつく。すると……。Refeeding症候群でバタバタとお亡くなりになったとか。せっかく生き延びたのに悲しい……。