Day.41 機能性ディスペプシアの診療メモ【総合診療トピックゼミ】
<機能性ディスペプシアとは何か>
定義は、「症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないのにもかかわらず、慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患」。
<原則は除外診断だが……>
-除外診断-
器質的疾患として少なくとも除外したいのは下記の通り
◇消化管潰瘍
◇逆流性食道炎
◇ピロリ感染
◇悪性腫瘍
◇膵炎(特に慢性)
◇胆道炎
◇胆石発作
結果として、①血液検査(腫瘍マーカーやアミラーゼなど含む)や②CT、③上部消化管内視鏡を行うこととなるラインナップである。
ただし、病院のセッティングによっては、すぐの検査実施は難しいため、下記の警告症状がなければ機能性ディスペプシアの暫定診断で治療を開始することも許容される。
-Red Flag-
◇体重減少
◇貧血など出血の徴候
◇嚥下困難
◇高齢者
◇腹部腫瘤
◇発熱
<診断基準>
器質的疾患が否定的で、下記のうち1つ以上が6か月以上前に始まり、直近の3か月にも認めている。
1)食後のもたれ感
2)早期腹満感
3)心窩部痛
4)心窩部灼熱感
<治療薬>
-心窩部痛、心窩部灼熱感-
〇ガスター(ファモチジン)20mgを1回1錠、1日2回
〇タケプロン(ランソプラゾール)15~30mgを1回1錠、1日1錠
〇タケキャブ 10~20mgを1回1錠、1日1錠
+
〇六君子湯(2.5g)を1回1包で1日3回
-食後膨満感-
アコファミドやガスモチン、プリンペランやナウゼリン検討
<Column>
今回は、まず使用する薬剤を中心に取り上げましたが、心理療法や抗うつ薬の有効性も示されています。腸脳相関ではありませんが、体中って繋がってるんだなと思わされます。