Day.39 血小板減少の診療メモ【総合診療トピックゼミ】
<血小板減少の鑑別疾患>
いろいろ調べましたが、HELP ME DICが覚えが良さそうです。
H: HUS(溶血性尿毒症症候群)、TTP(血小板減少性紫斑病)
E: Ecla,psia(HELLP症候群)
L: Liver cirrhosis(肝硬変)
P: Prosthetic valve(人工弁による物理的な破壊)
M: Marrow(骨髄関連の血液疾患、腫瘍)
E: EDTA(偽性血小板減少)
D: DIC/Drug(Drugについては、特にヘパリン起因性血小板減少症)
I: Intoxication/Infection/ITP(毒物、感染症、特発性血小板減少症)
C: Collagen(膠原病、特に抗リン脂質抗体症候群やSLE)
<鑑別のための検査項目>
◇一般検査の項目では、下記を考えて結果を確認します。
〇末梢塗抹目視で血小板の凝集があれば、偽性血小板減少を疑う。
〇血小板単独減少なら、薬剤性とITPの頻度が高い
◇追加する検査項目
〇HIT抗体:ヘパリン起因性血小板減少を探す
〇ADAMTS13:TTP(血小板減少性紫斑病)で活性低下している。HUS(溶血性尿毒症症候群)でも軽度低下していることがある。
<代表的な疾患を簡単に>
<血小板減少性紫斑病:TTP>
ADAMTS13の活性低下により、血小板凝集能が異常に高い巨大VWFを分解できず、結果として血小板血栓を作り、血小板減少に至る。赤血球も破壊するし、微小血栓が血流を阻害するため、腎機能障害や精神症状も認めうる。
<溶血性尿毒症症候群:HUS>
EHECの志賀毒素(ベロ毒素)が原因となって血管内壁障害から血小板血栓を作って、血小板減少に至るもの。三徴は、血小板減少、溶血性貧血、急性腎障害。
<特発性血小板減少症:ITP>
その名の通り、除外診断で診断に至る。最近は、自己免疫性血小板減少症と呼ばれることがほどんどで、これは血小板に対して何らかの自己抗体が産生されることが本疾患の原因であると分かったため。自己抗体の結合した血小板が脾臓で破壊され、血小板減少に至る。
<Column>
TAMという言葉もあるので、一応ご紹介です。これは、Thrombotic microangiopathyの略称で、血小板が何らかの原因で活性化して血小板血栓が形成(血小板が消費)される病態の総称であり、今回取り上げた血小板減少性紫斑病(TTP)や、溶血性尿毒症症候群(HSU)が原因となります。