Day.43 DICの診療メモ【総合診療トピックゼミ】
<DICとは何か>
〇そもそも生理的(正常と言い換えてもよい)な状態にある人は、止血血栓(出血を止めるために血を固める)と、免疫血栓(感染に対して微生物を閉じ込めるために血栓を作る)を”局所的に”作る作用がある。
〇生体の侵襲に伴って、この止血血栓や免疫血栓が暴走し、病的に”全身に”できる病態がDIC(播種性血管内凝固症候群)である。
〇結果として、体中に邪魔な血栓ができると同時に、この血栓形成によって血小板や凝固因子を消費してしまい、必要なところで血が固まってくれなくなる。
<DIC診断基準>
下記のスコアで4点以上であればDICの診断基準を満たす。
〇SIRS
◇0点:該当数0~2
◇1点:該当数3以上
◇2点:-
◇3点:-
*SIRSの基準
体温>38℃あるいは<35℃
心拍数>90/min
呼吸数>20/minまたはPaO2<32mmHg
白血球数>12000あるいは<4000
〇血小板
◇0点:12万以上
◇1点:8万以上、あるは24時間以内に30%以上減少
◇2点:-
◇3点:8万未満、あるいは24時間以内に50%以上減少
〇PT比
◇0点:1.2未満
◇1点:1.2以上
◇2点:-
◇3点:-
〇FDP(D-Dimer換算も可能)
◇0点:10未満
◇1点:25未満
◇2点:-
◇3点:25以上
<DICの分類>
〇線溶抑制型
◇DICの病態として、血栓化が進んでいる状態。
◇敗血症によくみられる型。線溶を抑制するPAI-1が著増する。
〇線溶亢進型
◇DICの病態として血栓化が進むと同時に、ベース疾患の病態の影響で病的な線溶系の亢進が同時に存在している状態。
〇線溶均衡型
◇上記の中間。固形腫瘍に合併することがある。
<DICの治療>
基礎疾患の治療が第一だが、その上で下記方針での対応が検討される。
〇線溶抑制型
◇ヘパリン等を用いた抗凝固療法
〇線溶亢進型
◇プラスミンの活性化に対して、抗線溶療法
◇凝固因子・血小板の不足に対して補充療法
<Column>
書籍を4冊くらいひっくり返しながらDICについて考えましたが、まだ分かってないことが結構多い病態なのだなということが改めて分かりました。多分、こういうことを明らかにするために、医学研究って必要なんですね。