よりそいデリバリー

人はみんな、寂しさを感じる瞬間に出会う。仕事が終わった静かな夜、一人きりの部屋の中? 忙しさから解放されたときにふと襲ってくる感情。その瞬間、胸の奥にひっそりと湧き上がる寂しさを、どうにかしてやり過ごそうとする。

眠れない。隣には誰もいない。誰かがいたとしても、その人と心が通じ合うわけではない。

そんなとき、好きな作曲家さんが音楽を作っている「よりそいデリバリー」というゲームに興味を持った。

見知らぬ人のもとに「よりそい」を届け、心の空白を埋めるというシンプルな設定。解釈は人それぞれだろうから、ここで詳しくは書かない。

“よりそいデリバリーです。寂しい時、どうぞ私たちをお呼びください。お手伝いできることは何もありませんが、寂しくなくなるまであなたの隣にいます。”

……怪しげなアプリのインターネット広告。半信半疑でゲームをインストールし起動すると、一人の少女が目の前に立っていた。少しずつ人々が集まり、たまり場と化していく家の中で、騒がしくも楽しい夜を過ごす。

彼らはただそばにいてくれる。否定もせず、無闇に全肯定するわけでもない。それでも、余計な感情を交えず、適度な距離感で主人公を静かに肯定してくれる。

このゲームをプレイしていて、なんでかわからないけれど、気づいたら涙がこぼれていた。登場人物の言葉、静かに流れる音楽が心に触れたからかもしれない。普段は意識しない誰かとのつながりの渇望に気づいたのかもしれない。

寂しさに気づいて、その感情に向き合うことは辛いけれど、こぼれる涙が心の重荷を少しだけ軽くしてくれた気がした。

「よりそい」。ただそばにいること。よりそうことで何か現実の問題を解決するわけじゃない。ゲームの中で交わされるやり取りは、そうした「ただそばにいること」。




早くねましょうね。











https://youtu.be/LlU98QwdtuE

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