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2022年東京ヤクルトスワローズ終盤戦のキーマン:高梨裕稔投手
こんにちは、シュバルベです。今年はなかなかnoteかけておらずすみません。
今回取り上げるのは東京ヤクルトスワローズの背番号14、高梨裕稔投手です。
1.高梨裕稔投手のこれまで
2016年にはプロ3年目で10勝をあげ新人王を獲得、当時在籍していた日本ハムファイターズはその力もあってリーグ優勝・日本一に輝きました。一方で、2017年・2018年と共に100イニング以上投げるも貯金を作ることが出来ず、2018年オフに東京ヤクルトスワローズへ2対2のトレード。スワローズに来てから気がついたら今年で4年目、30歳のシーズンを迎えました。
高梨投手が過ごしてきた4年間の主要な成績はこちら。
![](https://assets.st-note.com/img/1660714523571-gnwpzvy0iD.jpg?width=1200)
19年~21年まで最多5勝、貯金を作ったのは21年だけでしたが、その年にははリーグ優勝を決めた試合で先発登板、日本シリーズでも登板を果たすなどチームの成績にも大きく貢献しました。今年、2022年は8月16日の登板で6勝目をあげ、2桁勝利も視野に入れたキャリアハイを狙えるシーズンとなっています。
高梨投手は毎年エース級のピッチングを見せているとは言えませんが、4年続けて一軍で10試合以上先発登板を果たしているのはスワローズでは小川泰弘投手・石川雅規投手と高梨投手の3人だけです。
特に最下位に沈んだ19・20年もコンスタントに投げてくれる高梨投手の存在はチームにとって非常に助かる存在でした。怪我の少なさ、これが高梨投手の最大の長所と言えるかもしれません。
2.契約更改のコメントから見る高梨投手が大事にしていること
プロ野球選手は個人事業主であり、毎年球団と契約を交わします。契約更改でのコメントはその選手の一年の総括と翌年の豊富が述べられていることが多く、その選手を知る最も有効な一次ソースと言っても良いでしょう。
これまで3度の契約更改を高梨投手はスワローズで行っているので、年次順に見て行きましょう。
・2019年契約更改
「今年は期待に応えられず、悔しいシーズンだった。自分の力を十分に出せなかったが、今年一年でチームにも慣れたし、球場やセ・リーグの特性がわかったつもり。来年はそれを活かしてチームの優勝に貢献したい。前半戦は良かったが、打たれだしてから修正が効かなかった。オフに引き出しを増やして、リーグや球場に合わせたピッチングが出来るようにしたい。今年は最後までローテーションを守れなかったので、もう一度先発のローテーションを守れるように。チームの優勝を一番に考えてやっていきたい」
・2020年契約更改
「結果より内容、一年間先発として投げたことを評価してもらえた。ただ、チームは最下位。自分の成績を見ても悔しい。一年間ほぼ一軍にいて、先発として投げられたことは来季に繋がると思う。今年に関しては、バッター一人一人に対して丁寧に投げることができた。試合は作れたと思うので、そこを勝ちに繋げていけるようにしたい。一番はローテーションに穴を空けないことが目標。ここ2年は勝ち数より負け数が上回っているので、勝ち数が負け数を上回るようにやっていきたい。来年は30歳で節目の年になるので、投手陣を引っ張っていけるようにしたい」
・2021年契約更改
「チームとしては最高な形で終われたと思うんですけど、僕自身としては当然悔しい思いもしました。後半は自分の思うような投球ができて良かったですけど、野球選手である以上、一年間一軍で活躍しないとダメだと思うので、悔しかったです。(来年に向けて)若いピッチャーがたくさん出てきますけど、そこに負けないように、まずは開幕ローテを取って、一年間回れるように。そこを一番に目指していきたいなと思います。」
成績の浮沈によってその年の総括の内容は若干代わるものの、高梨投手が契約更改で語ることは3年間一貫しています。それは、先発ローテーションに入り一年間回ること。先発投手としての矜持が見えるとともに、勝敗や成績以上にローテーション投手として1年間稼働することに最も重きを置いていることがよく分かりますね。
3.2022年の働きとこれから求められる役割
2022年、高梨投手は開幕からしっかりと先発ローテーションに入ることが出来ています。
150km/hを超えるボールがあるわけではないですが、伸びのあるストレートに決め球となるフォーク、大きなカーブ、スライダー、シュートと多彩な球種を駆使してランナーを出しても簡単に返さない粘りのピッチングを披露しています。
ベストピッチは6月23日の中日戦での完封勝利でしょう。
こちらはスワローズで10先発以上している投手6人のQS率を出したものです。
小川泰弘 18先発 QS率61.1%
サイスニード 16先発 QS率43.8%
高橋奎二 15先発 QS率53.3%
原樹理 15先発 QS率40.0%
高梨裕稔 14先発 QS率71.4%
石川雅規 11先発 QS率36.4%
ご覧の通り、高梨投手はQS率70%越えで今のスワローズの主力先発投手陣の中で最も「計算の立つ」投手となっています。ただ、先ほど書いた完封勝利のような試合は少なく、7イニング以上を投げ切った試合は今シーズン僅か2度。それゆえ、中継ぎをあまり使いたくないカード頭に高梨投手は余り起用されてきませんでした。
しかし、スワローズは7月にコロナ禍に見舞われます。高梨投手も陽性となり離脱してしまい、チームの成績も7月中旬~8月頭にかけて下降線を辿ります。そんな今のスワローズを支えているのが高梨投手です。
前回noteの「東京ヤクルトスワローズの「ゆとり運用」を考える」で、高津監督がマネジメントする「ゆとり運用」の決め事の一つは対戦カードの頭は極力長いイニングを投げられる信頼度の高い投手を配置することだと書きました。
こちらがカード頭の先発投手別登板回数です。
小川泰弘 12登板
サイスニード 9登板
高梨裕稔 6登板
原樹理・高橋奎二 5登板
その他3投手 1登板
高梨投手は6度カード頭に登板していますが、そのうちの4登板は7月以降です。その4登板では1勝3敗ですが、De今永投手、T青柳投手×2、C森下投手と対戦しており、3度QSを達成しています。7~8月、小川投手・サイスニード投手の2人のカード頭常連組は調子を落とし6回さえ投げ切れない登板が増える中、高梨投手の先発投手としての格が相対的に上がっています。エースクラスとカード頭で対戦してもしっかりと6イニング投げてゲームメイクをしてくれる、その安定感は現在のスワローズで非常に重宝されるものでしょう。
スワローズに残された8月後半~9月にかけて、順調にいけば高梨投手はあと6回程度登板機会が回ってきます。契約更改で幾度となく語ってきた1年間ローテーション投手として回ること、そうすればシーズンが終わるときには20先発120イニングという努力の証を手にすることが出来ます。
150km/hのストレートがあるわけではありませんし、決して圧倒的なピッチングを見せる投手ではありませんが、高梨投手の今年も含めた5年にわたる貢献は移籍選手として最大級の評価に値するでしょう。
スワローズを連覇に導くピッチング、これからも期待しています。