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最近の記事

混合混触危険性を大規模言語モデルで予測する:研究計画と目標

こちらの続きとなります。化学業界に身を置く人にとって避けては通れない、混合混触危険性判定という作業。入力形式が多様(例:純物質、混合物、無機物、有機物、低分子、高分子、粉体、バルク…)であり、かつ未知の組合せを多く含む化学物質の混合混触に対して、危険性を事前に予測しうる汎用的な技術はどのようなものだろうか?というお話でした。 着想ー大規模言語モデルによる物性予測 このような文脈の中、前回の最後に、東工大の畠山先生による「大規模言語モデルによる化学物性の予測」について記事を

    • 混合混触危険性を大規模言語モデルで予測する:はじめに

      1.混合混触危険性とは 突然ですが、もしもあなたの知り合いに、化学業界というヤクザな分野に足を踏み入れている奇特な方がいたら、2次会の終わり、なるべく夜更けごろを狙って「混合混触危険性…って知ってるかい?」と尋ねてみてください。相手はきっと、アリバイを聞かれた犯人のような顔をするか、タチの悪い顧客の相手を年中させられているコールセンター勤務員のような目でこちらを見やるか、はたまたマジで知らないかです(マジで知らないっていう顔をされたら、こと化学に関してその人のことはあまり

      • 木更津駅の図書室(FLAT)に高校生向け原子シミュレーションの教科書を公開しました!

        前回の記事(半年以上も前)にあったように、原子シミュレーションの教科書を作成しておりました。それで、この教科書をどのように公開することが好ましいか、についてあれこれと考えていた時、折よく木更津駅前にFLATというオーナー制の図書室が出来たというニュースを目にしました。 ということで、早速こちらに本棚を1つお借りし、教科書の印刷版を置かせていただくことといたしました。 こちらはFLATで読んでいただいてもよいですし、別途貸出手続きをしていただくことも可能です。もしご興味のあ

        • 補足:どうして高校生を相手に原子シミュレーションについて語り始めたか

          一つ前回の記事で書き忘れていたので補足しておこう。どうして原子シミュレーションの教科書を読んでもらう対象として、高校生を選んだのかという点。その理由はとても単純で、卓越するには可能な限り早くその世界に触れることが一番だからだ。 もう少し詳しく言えば、特に産業の"コメ"ともいえるような材料の開発という分野に関して卓越するには、若くしてその分野に入ることがとても(もう一度言おう。とても)効果的だ。そしてもう一つ辛い現実を話すと、この分野においては、卓越しないと勝負にならないし、

          高校生は原子シミュレーションに夢を見るか、なぜ僕は彼等に夢を見せたいのか、夜半のバーにいるおっさんとの類似性に気づいた話

          前回の記事では、語ることが本質的にもつ危うさを確認したうえで、僕が何故か、高校生に向けた原子シミュレーションの入門書、という随分回りくどい形で、語り始めてしまった理由を探していることを紹介した。今回は後半の理由付けについて、もう少し踏み込んで考えてみたい。 ここで(前回の記事をみればわかる通り、僕は一々語ることに対してつける注釈というか予防線が長くなる傾向がある)まず一つ気づいておかなければいけないのは、多くの人、少なくとも僕にとって語ることというのは、これまた少なくとも語

          高校生は原子シミュレーションに夢を見るか、なぜ僕は彼等に夢を見せたいのか、夜半のバーにいるおっさんとの類似性に気づいた話

          書き始めることについて

          コミュニケーションツールがかつてないほどに発展し、語ることの技術的なハードルはほぼゼロに等しくなったにもかかわらず、なぜだろうか最近は日々、なにごとかについて語ることが億劫になり続けている。これは、語りたいと思うなにごとかについて、より精細に語ろうとするほどに、言葉がもつ構造や階層は深くならざるを得ず、一方で大抵の人々にとって、二階層よりも深い構造を有する文、あるいはその連なりからなる文章を正確に理解することは現実的に難しいということ、さらには、正確に読み取れないことにより当

          書き始めることについて