・デフォルメの十二神将秋の光 姫
円空仏講座の友が円空学会に誘ってくれた。
学会に参加するのは、三重大学で友が主催した女性学会以来だ。
円空仏講座に参加して10年余。師の穏やかな笑顔が、円空の微笑仏に似ており、濃密な内容とともに、毎月楽しみに参加している。
座学以外にも、近場の神社仏閣を訪ねたり、円空展や木喰展に遠征したり、日帰りや1泊旅行もある。
従いていくだけで、大した勉強もしていないが、全く思いがけないところで、円空仏に会うとうれしくなる。
つい最近では、日光の輪王寺がそうだ。
碧南の美術展でも、驚いた。
さて、件の友が、名古屋市千種区にある、鉈薬師の円空仏について、1時間ほど講演した。
かなりマニアックな話だが、大変面白い。
その後、質疑応答があり、全国から集まった40名余の会員による活発なやりとりが行われた。
円空は謎に包まれているので、諸説が飛び交う。
その論議が興味深いのだ。
美味しい松浦商店の弁当をいただきながら、自己紹介やら交流やら。
その後、鉈薬師に移動。
縁日で賑わう覚王山日泰寺を通り抜け、北側にひっそりと佇むお堂へ。
このお堂は明の亡命者で医師の、張振甫が建立したもの。
円空仏の大作17体が祀られており、毎月21日に拝観できる。
円空は彼の注文に応じて、十二神将に彼らのお上に対する怒りを表現したという。
これらの神将に微笑は全くない。
怖いほど怒りまくっている。
なぜか?
鎖国令、キリスト教禁止、外国人差別…。
張の気持ちはよく分かる。
円空も張の思いを汲みとり、唐草模様とデフォルメで、中国風に彫ったのだろう。
同堂にある腰を大きく曲げた太子像は、唐草模様の造形が際立ち、大変ユニークだ。
善財童子像ではないか?ともいわれているが、我が師、円空学会長小島悌次氏は、舎利を抱く聖徳太子像の可能性が強い、と話された。
シュールで現代彫刻にも通じる同堂の円空仏。
拝観は2回目だが、強烈な印象を受けた。
来て良かった。
誘って下さったSさんに感謝!
秋の秘仏ツタンカーメンと相似形
やや腰を曲げ太子像秋うらら
太子像の裳裾に唐草秋澄めり
微笑仏の鼻三角錐秋の声
渡来人の憤怒彫る円空の秋
円空仏に異国の影や秋深し
昼過ぎに仕舞ふ縁日彼岸花
昼いちばんに畳む草市昼呑みす
芸術の秋ミシュランのアートパフェ