・モデルは知人どきどきクスクス春映画
映画評『青春ジャック 止められるか 俺たちを 2』
2023、日本、井上淳一監督
こんなに笑ったのは久しぶりだ。
館内は7割位の入り。
遠慮すべきだが、堪えることができなかった。
他の人がどうだったか、覚えていない。
それほど没入していた。
我が愛すべき名古屋のミニシアター、シネマスコーレ。
私の映画零年に誕生し、出会い、会員になった。
同館の誕生物語ともいうべきドラマである。
産みの親の故若松孝二監督を井浦新が、同館の木全支配人を東出昌大が演じているが、実にそっくり。
クスクスの始まりだ。
若松監督とは、パーティーや忘年会でお目にかかる機会が多く、話すことも度々。
豪快な方、という印象だ。
映画離れが進みつつあった80年代に、地価が安い名古屋で、自作(ピンクが多い)上映館を作るとは。
名画を上映したい支配人の悪戦苦闘がリアルに迫る。
さらに、若松監督の弟子になった、本作の脚本・監督の井上淳一の成長物語が重なる。
何をやってもドジで、冴えない井上の母校である予備校から、PR映画の依頼が来る。
意外なことに、監督をやれ、と初めて作品を任せられる井上。
この辺りからとんとん拍子にことが運ぶが、
少々胡散臭い。
件のビリギャルの二番煎じのような、井上の脚本が通るとは。
こちらが元祖だとしても。ビリギャルが東大に入るまで、のような話は、女性や学歴社会に迎合しているのでは?
何とか無事にクランクアップするのも、なんだかなあ。
加えて、東大合格発表の思わせぶりな演出。
ちょっとやり過ぎじゃない?
井上監督は、自分を描くのが下手かも?
他者のシーンは大変素晴らしいのに、自分のこととなると、ぞんざいになるようだ。
唐突だったり、過剰だったり、ありえなかったり…。
なので、後半は笑いが減少した。
とくに気になったのは、ラストの郵便局のシーン。
あれで、いい気分が台無しになった。
身内目線で観たので、愛でつつもアラが目についてしまった。
しかし、地元ネタが豊富だし、腹の底から笑えるし、いい映画の部類に入る。
実物に似し俳優ら囀れり
地元ネタ満載映画花ざかり
⭐️⭐️⭐️⭐️(⭐️5つで満点)
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