宇都宮突発探訪記①
赤羽駅のホームより乗りし、宇都宮線の窓外にて見ゆる夕方及び宵の景色は、紛れもなく、此の俺れの第二の青春であつたのだ────。
話しは遡り、四日前。
私しは突如として四連休を得た。
余まりの突然のことに困惑する私し。
なにせ、予定といふ予定が何も決まつてゐないのである。
ど、何うしよう。ぷらぷらテキタウに散歩でもしようかしら。
然し折角の四連休なのだから、何かには使ひたいもの。
────あゝ、然うだ。宇都宮へ帰らう!
【プロヽオグ】僕と宇都宮
細かい話しは省略するが、
私しは嘗て、宇都宮の東部に座して偉さうにガクモンを教へてゐやがる、殆どゴキブリとも見分けが付かないハナクソ大学に通うてゐた。
成るほど、授業や実験の内容は丸で覚えてゐない。
然し其処(即ち此の宇都宮といふ地である)で得た色々は、
今も燦然と私しの心に残つてをる。
其んな思ひ出の地・宇都宮。
あゝ帰りたい────。
おゝ帰りたい────。
然しながら、中々帰るタイミングが掴めない。
帰らせてくれ────。
頼むから此の俺れを宇都宮へ帰らせてくれ────。
過ごしたるは、宇都宮への望郷の念が募る日々。
其んなところで、此の四連休である。
此れは最早や、
私しに宇都宮へ行けと云うてゐるやうなもんである。
────といふわけで、
私しは、予てよりの念願を果たすべく、
ひとり宇都宮線に乗りて、北へ向かふことにしたのであつた。
余談①
君は赤羽駅のホームにて、宇都宮線の電車に乗られたことが有るか。
彼れは誠に好い。
といふのも、
発車メロデイが、我々の精神エレフアントカシマシなんである。
私しはもう其れを目当てに、赤羽で乗り換へても良いくらゐの心持ちなんだが、
まあ皆々様に於かれましては、
気が向いたら、赤羽のホームで耳を澄ましてみてくださりたし。
【第一章】宇都宮駅到着
な、何んと。
気が付いたら、もう宇都宮ではないか。
早い。早すぎる。
さすがは、天下の宇都宮。
因みにだが、東京と宇都宮は意外と近い。
余まり知られてゐないが、札幌と函館よりも近い。
要するに、もう殆ど、同じ県内のやうなもんなのである。
さて、宇都宮線の車内での思ひは、
冒頭にてお伝へしたとほりなので割愛いたすとして。
早速、私しは、新たに出来た宇都宮LRTに乗りて、
約束の地・ベルモールへと向かふことにしたのであつた────。
宇都宮突発探訪記②へ続く。