「こわいものをみた」2 好きがこわい(高瀬隼子)
こわいものが好きだ。もういろいろ無理しんどいストレスフル……と爆発しそうな日は、書店に行って角川ホラー文庫の真っ黒な背表紙を眺め、ぐっときたタイトルの本を買って帰り、風呂に入りながらそれを読む。湯舟の蓋を半分閉めて、その上に水とホラー小説と、調子がいい時は酒も並べる。風呂ホラー小説には日本酒があう。
汗をだらだらかき、湯から出たり入ったりを繰り返して数時間かけて本を読む。うちのマンションの風呂場には窓がないせいか、朝でも昼でもどことなく夜の感触がする。家の中で一番静かな場