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高瀬隼子さんエッセイ「こわいものをみた」(月1連載)

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小説家・高瀬隼子さんのエッセイ連載が始まります。 連載タイトルは「こわいものをみた」。 タイトルのとおり、ホラー好きの高瀬さんが日々感じた「こわい」をテーマしたエッセイです。 毎…
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#高瀬隼子

「こわいものをみた」8 サウナがこわい(高瀬隼子)

 サウナは平気だが、水風呂に入れない。足首まで浸かるだけでヒィヒィ言ってしまう。銭湯や温…

「こわいものをみた」7 クリスマスがこわい(高瀬隼子)

 クリスマス、わりと好きである。  と、書きだしてみてすでに恥ずかしい。この「わりと」と…

「こわいものをみた」6 「おくつろぎください」がこわい(高瀬隼子)

 用事があって一人遠方へ出かけ、駅近くのホテルに泊まった。チェックインカウンターが埋まっ…

「こわいものをみた」5 新しい恋愛がこわい(高瀬隼子)

『新しい恋愛』刊行から一か月が経った。五つの短編小説が収録された本で、そのうちの一篇のタ…

「こわいものをみた」4 座右の銘がこわい(高瀬隼子)

 時々座右の銘を聞かれるが、そんなものはない。ふつう、持っているものなのだろうか? 座右…

「こわいものをみた」3 殴りたいのがこわい(高瀬隼子)

 子どもの頃、少林寺拳法を習っていた。習い始めたきっかけはいくつかある。近所の友だちが先…

「こわいものをみた」2 好きがこわい(高瀬隼子)

 こわいものが好きだ。もういろいろ無理しんどいストレスフル……と爆発しそうな日は、書店に行って角川ホラー文庫の真っ黒な背表紙を眺め、ぐっときたタイトルの本を買って帰り、風呂に入りながらそれを読む。湯舟の蓋を半分閉めて、その上に水とホラー小説と、調子がいい時は酒も並べる。風呂ホラー小説には日本酒があう。  汗をだらだらかき、湯から出たり入ったりを繰り返して数時間かけて本を読む。うちのマンションの風呂場には窓がないせいか、朝でも昼でもどことなく夜の感触がする。家の中で一番静かな場

「こわいものをみた」1 編集者がこわい(高瀬隼子)

 みなさんは、編集者という職業の人に会ったことはあるだろうか。わたしは31歳で初めて会った…